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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第10章 Heated battle -白熱戦-
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優勝者はみんなに命令できる権利が与えられます

翔と夕人は発明品の改良に取り組んでします。

では女子たちは?オセロに興じているのでしょうか。

 一方その頃、オセロ大会に興じる女子たちはどうなっているのだろうか。


「よしっ、今回はあたしの勝ちぃ。」


 どうやら実花が優勝したようだ。


「ねぇ、もうそろそろ止めない?私はそろそろ限界だよ。もう疲れちゃった。」


 こう茜が言うのも当然のことだろう。今は第六回大会が終了したところなのだから。


「そうねぇ。今日はそろそろお開きにしましょうか。」


 環菜の提案もあって実花と茜がオセロの片付けを始めた。


「んじゃ、結果を整理してみよっか。まず第一回の優勝が茜。第二回は私で第三回も茜。で、第四回が・・・えっと、環菜ちゃんで、第五回はまた茜。で、今回が実花ちゃんだから、茜の圧勝かぁ。」


 どうやらもっとも優勝回数の多い者が例の賞品を行使する権利を与えられるということになっていたようだ。


「つまり、私が皆に一つずつ命令できるんだね?」

「そういうことになるねぇ。で、あたしは何したらいいの?」


 片付けながら実花が問いかけ、茜も片付けの手を止めずに簡単に答える。


「そうだねぇ。今考えてるけど・・・ちょっと面白いこと考えてるよ。」

「うっわぁ~、茜のことだから何かエグイこと考えてそうだわぁ。」

「なにそれ?ひどくない?」

「だってさぁ。なんかそんな気がするもん。」


 唇を尖らせながら実花が茜の機嫌をうかがうように言う。


「大丈夫だって。そんなエグイことはしない・・・かなぁ。」

「やっぱり・・・いやぁな予感しかしないよ。」


 茜が何を考えているのかわからない以上、追及しても仕方ないのだが小町たちも気になっているようだ。


「早めに決めて欲しいんだけど。」


 そう切り出したのは環菜だ。


「ま、それはそうだけど・・・夕人と杉田は部屋に戻ったのかな?」


 小町はようやく気が付いたのだろうか。オセロに熱中するあまり周りに目がいっていなかったようだ。


「戻ったみたいだよ?第二回大会の途中でね。」


 そう答えたのは茜だ。茜にはいつも周りを見渡す余裕があるのだろう。


「つまんなかったのかなぁ。」


 少しだけ不安そうな表情で小町が実花に問いかける。


「かもねぇ。翔と夕人くん、弱かったから。」


 少し笑いながら答える。


「大丈夫だって、あの二人のことだから部屋で何かやってるんだよ。」


 環菜が『心配いらないよ』という表情で小町に伝える。


「でも、明日の予定とかどうしよう?全然決めてないよね。」

「そうだねぇ~。ちょっと二人を呼んでこようか?」


 そういうと実花は居間から出て行った。


「明日は藻岩山に行くんだっけ?」


 小町が環菜に確認する。


「うん、天気次第って言ってたね。暖かいし大丈夫なんじゃない?」

「帰りが何時になるかってとこだけかな。」


 三人の会話が若干ぎこちない。お互いに顔を合わせようとしないのはどうしてなんだろう。


「・・・」


 それぞれが無言で何かをしている。

 小町はオセロを片付け終わり、その場所でそのまま座ったまま指先をいじっているようだし、環菜はソファに座ったまま何かを考え込んでいるようだ。茜はというと窓から外を眺めているようだ。


『気まずいなぁ・・・』


 そんな声が聞こえてきそうな雰囲気だった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


どうして気まずくなっているのでしょう。

やっぱり王様ゲームのように命令権をかけての勝負だったからでしょうか。

でも、命令されることが怖いのは、自分が命令権を持った時に実行しようと思っている内容が凄まじいものだからでは?

それを自分がされると怖い。

そういうことなんだと思いますけど。


でも、他人に拒否権を発動できない命令をされるのは怖いですよね。

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