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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第8章 Just between us -ここだけの話-
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夜も徐々に更けてまいりました

茜の驚きの告白のあと、みんなでワイワイ騒ぎながら宴会中です。

あとは誰が先にオチるか、それだけの問題になりますね。

「ねぇねぇ、夕人くん。ちょっといい?」


 珍しく実花ちゃんが俺に声をかけてくる。なんだろう?


「いいけど?どしたの?」

「ここで言うのはちょっと・・・ね。」


 はぁ。なんだよ。とりあえず、『了解したよ』という合図を送る。

 さて。どうやってここから出るかな。


「翔~、ちょっとトイレ借りるねぇ。」


 実花ちゃんがさっそく切り出す。


「あ、俺も行ってくる。」

「おう、場所分かるよな?」

「大丈夫だよ。」


 そう言って二人で席を離れる。幸い、みんなは話に夢中みたいでこちらには興味がないようだ。まぁ、トイレに行きたいのは本当だったから、実花ちゃんとの話はその後だな。


「あのね、相談があるの。」

「いや、ごめん。その前にトイレ行かせて。」


 実花ちゃんは話をするためだけにトイレに行きたいって言ったのか?廊下に出たとたん切り出してきたから驚いた。


「あ、じゃ、あたしも行くかなぁ。」


 とりあえず、俺たちはトイレに行って、その後、廊下で話をすることになった。



「で、相談って何かな?」

「えっとね・・・」


 実花ちゃんはなんだかモジモジしている。まぁ、杉田のことなんだろうけど。


「なに?恥ずかしいこと?」

「え?違うって。あ、いや、違わないかな・・・」


 さっぱり話が見えない。


「なんだよ。はっきり言ってくれたほうが嬉しいんだけどなぁ。」

「うん・・じゃ、言うね。」

「うん。」


 実花ちゃんの顔が真っ赤担っている。彼女がこんな表情をするなんて珍しい。

 そしてフゥッと息を吐き、意を決したように俺の顔を見て話し始めた。


「・・・今夜、翔の部屋で一緒に寝るよね。」

「そうなるのかな。」

「それ、私と代わってっ。」


 なんだ。そんなことか。別にそこまで気合いを入れるようなことじゃない・・・


 って、うわっ、マジ?

 なんて衝撃的な申し出だ。

 それってつまり、その、そういうことなんだよな?


「お、おう。分かった。んじゃ、適当な時間に居間に行くわ。細かいことは、その、解散するときにでも・・・っていうか、マジでか?」

「あ、夕人くん、声が大きい。翔にも内緒なんだから・・・」

「いや、ごめん。でも、なんか・・・いやいや。え?」


 俺が動揺してどうする。でも、それってつまり、ほら。やっぱり、そういうことだろ?


「よろしくね。」


 そう言って実花ちゃんは居間に戻っていく。俺はその姿を見送ることしかできなかった。それにしても、実花ちゃんって、すげぇ積極的なんだな。

 ・・・驚いた。



 それからしばらくは宴会が続いたが、小町がウトウトし始めたところで解散となった。時間は11時半くらい。明日のことを考えたらこのくらいで解散なのがちょうどいいところだ。環菜が小町に声をかけて女の子たちが寝る部屋に連れていこうとしている。俺の人生の中では言葉でしか聞いたことがない客間というものがあって、そこでみんなで寝るらしい。本当に杉田の家って立派過ぎる。これじゃ、もう俺たちは誰も家に呼ぶことなんてできやしない。


「んじゃ、私たちも寝ましょうかね。」


 茜がそう宣言して解散となった。


「じゃ、12時くらいで大丈夫?」


 声をひそめて実花ちゃんに聞く。


「うーん、12時半くらいかなぁ。」

「わかった。」


 そう短い会話を交わす。


「じゃ、明日は8時くらいに居間に集合で。おやすみ~。」


 杉田が時間を決めたところで本当の解散だ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


積極的な実花の行動です。

夕人もさぞかし驚いたことでしょう。


でも、寝室を抜け出したら茜や環菜が気がつきやしませんかね?

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