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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第7章 Two of us -俺たちの中の二人-
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Two of us -翔と夕人-

タイトルの通り、翔と夕人の入浴シーンです。


はい。

別に見たい人は多くないと思うので、結構あっさりと描写しています。


大事なのは会話の内容です。

ではサクッと言ってみましょう。

「銭湯って、面白いんだな。」


 泡風呂に入りながら思わず呟いた。


「だなぁ。大きい風呂って気持ちいいよなぁ。俺さ、温泉とか好きでさ。群馬にいたときはよく草津に行ってたんだよ。」

「草津?なんか聞いたことあるな。あぁ、あれか。草津で治せないのは恋の病とかそんなヤツ。」

「そうそう。草津節だよ。まぁ、そんな感じの奴だね。」


 ほう、草津節っていうのがあるのか。北海道のソーラン節みたいなものかな?


「名前は聞いたことあるけど、有名なんだよな。」

「日本三大名湯のひとつって言われてるけどな。湯畑が有名でさぁ。結構いい感じだよ。」


 三大名湯か。そりゃスゴイな。北海道は歴史が浅いからそういうのにランクインすることないもんな。


「機会があったら行ってみるよ。」

「ぜひ、そうしてみてくれ。」


 杉田が地元自慢するのは初めてのような気がする。つまり、それくらいいい温泉ってことかもなぁ。

 登別温泉と比べたらどんな感じなんだろう?登別も負けてないと思うんだけどなぁ。


「それにしても、この前は大変だったなぁ。」

「あぁ、北田さんな。なんかよくわからんけど、急に片が付いたみたいだけど。どうしたんだ?」


 いつかは話さないといけないんだろうけど、女の子のいるところじゃ話をしたくないし。そういう意味では今が一番いいタイミングかな。


「実はさ。いろいろあって急に片が付いたんだ。」

「いろいろねぇ。まぁ、言いにくいこともあるんだろうけどさ。片付いて良かったな。けど、話せる時が来たら話してくれよ。」

「あぁ。ありがとう。」


 こういう時に無理に聞き出そうとしないあたりが杉田のいいところだよな。


「じゃ、これでようやく、自分の恋に向かっていけるんじゃないか?」

「自分の?」


 今は好きな人っていうのはいない。だから、恋愛云々なんてのはないんだけどなぁ。


「そうさ。茜、環菜、小町。みんないい子じゃんか。」


 どういうつもりで言ってるんだよ。確かにいい子だとは思うけどさ。


「そうだな。俺もそう思うよ。」

「だろ?それに、今日、小町とかなりいい感じに見えたけど俺の思い過ごしか?それとも小町と付き合うことにしたのか?」


 こちらに向きなおって『答えろよ。』という視線を送ってくる。


「まぁ、実はそうだ。・・・なんて言えたらいいんだけどな。違う。」

「だよな。実花がさ。『あの二人はいい感じなんじゃないか』ってずっと話してたんだよ。でもさ。たぶん違うと思うって俺は言ったんだよ。」


 やっぱり、そういう話になってたんだな。


「そんなに仲が良さそうに見えるかな?」

「見えるよ。そりゃあな。けど、なんていうか友達以上恋人未満って感じに、かな。」


 それは的を射た表現だと思う。確かに小町とは昔よりは仲良くなった気がする。


「そっか。そんな感じに見えるんだね。」

「あぁ。でも、仲が良いことは悪いことじゃないさ。」

「そうだな。」

「けど、自分の気持ちにも正直にな。」

「は?俺、なんか嘘ついてるか?」


 思い当たることはない。でも杉田に言われると不安になる。


「環菜のこと、どう思ってるんだ?」

「去年フラれた相手。」


 ちょっとぶっきらぼうに答えたかもしれない。


「まぁ、あれは俺もちょっとは悪かったとは思う。まさかあんなことになるとは思わなかったしさ。」


 別に、杉田が悪いわけじゃない。きっと何かが悪かったんだ。何かはわからないけど。そうじゃなかったら今でも普通に友達をやってられるわけがない。


「もう、イイんだよ。環菜のことはさ。それに約束だしな、環菜との。」

「ん?なんだよそれ?」


 もう一年も前のことだ。あの時は自分の気持ちがはっきりしなかった。

 好きかと聞かれたら好きだろうけど、本当の好きっていうことがわからなかったんだと思う。

 仲の良い女の子のことが好きっていう感じだったんだろうな。たぶん。自信はないけど。


「フラれた時に言われたんだ。『今まで通りにそばに居て欲しい、友達として。』ってさ。」

「そんなこと言われたんか?」


 そう問いただされると記憶の中だから曖昧だけど・・・確かそんな感じだ。


「たぶん。」

「ふ~ん。まぁ、女の子ってやつは複雑だからなぁ。俺たち男よりも。」


 天を仰ぐようにして杉田が言う。


「そうだよなぁ。」

「一生かかっても理解できないんだろうな。」


 女の子に限らず、他人のことなんて一生理解できないだろうけど、特に女の子は分からないだろうな。


「そうかもしれんね。」

「そうだ、ちょっと気分変えるために露天風呂に行かないか?」

「だね、行こうか。」


 そう言って長く入っていた泡風呂から上がって露天風呂に向かい、空を見る。まだ完全に夜のとばりは降りていない。

 外は温泉で暖められた体にはちょうどいい気温だった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


翔と夕人の会話でした。

あまり踏み込んだ話はしてないですね。


一つだけあげるなら、環菜の話でしょうか。

これが夕人の本心なのかはわかりませんけれどね。


どちらにしても、

ここまでで、みんながどう言った気持ちでいるのかがわかってきたと思います。

これからどんな展開になっていくのでしょうね。

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