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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第7章 Two of us -俺たちの中の二人-
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思っているよりイイ感じ

さて、茜と環菜以外の四人は銭湯に行くようです。


どうも今回は小町の積極性が高いようですね。

勉強会の時も合宿前日の買い物に関しても。


なんというか、夕人は幸せなやつですね。

 杉田の家の玄関で、茜と環菜に見送られ銭湯に向かう。

 なんかこれって結構不思議な光景だったよな。

 夏休みってなんかすごいな。

 銭湯には行ったことがないけど、どんな感じなんだろう?

 結構人がいるのかな?

 四人でこんな感じのいろいろな話をしながら歩き、今は目的の駅で地下鉄を降りたあと、銭湯まで歩いてる途中だ。


「なぁ、竹中。」

「ん?なに?」


 杉田とこうやって話すのは久しぶりだな。一学期のラストはかなり立て込んでたから、あんまりのんびりとできなかったもんな。


「小町といい感じなのか?」

「いや?そういうのはないけど。」


 今ここに小町もいるのにそういうこと聞くのか。


「ということは、環菜は誤解してるんだな。」

「まぁ、その話は今はちょっとやめとこうか。小町もいるしさ。」

「そうだな。風呂で話そうか。誰も聞いてないだろうしな。」

「ちょっとぉ、美女二人を放っておいて何話してるの?」


 実花ちゃんが不服そうに言って、そのまま杉田の腕に絡みついていく。最近の二人ってあんなに親密なのか?


「美女かどうかは置いといて。ちょっと話してただけだろう?なんでそんなに拗ねてんだよ。」


 杉田のあしらい方も慣れてるって感じだ。


「あの二人って、本当に仲がいいよね。」

「そうだなぁ。もう一年以上付き合ってるんだもんなぁ。」


 小町も俺と同じように考えていたのかな。実花ちゃんは杉田と腕を組んで楽しそうに何かを話している。


「なんかなぁ。あの二人があんなに仲がいいと、私たちもそんな二人に見えるかな。」

「ん~、どうかなぁ。もしかしたら、そう見えるかもな。」

「じゃ、試してみてもいい?」


 そう言って俺の返事を聞かないままに腕を組んでくる。


「あっ、おいっ。なんだよっ。」

「いいじゃない。減るもんじゃないんだし。」


 そりゃ減るもんじゃないけど、なんだかなぁ。


「いや、汗とかもかいてるからさ。」

「それは平気。暑いときはみんな同じだよ。それに今日はそこまで暑くないし。」


 いつもとは違って積極的な小町だけど、なんだろう。イヤな気はしない。


「まぁ、そうかもしれないけどさ。」

「なら、いいじゃない。」


 いいのか?いや、どうなんだ?でも、まぁ、いいか。


「まぁ・・・フリなら、いいけど。」

「そう?ホントに?」


 そう言って小町は俺から離れていった。どうしたんだ?


「どうした?」

「何でもないよ。」


 茜と知り合ったのは二年生になってからだった。

 けれど小町とは結構長い付き合いになる。二人とこんなに仲良くなるなんて思わなかった。

 小町との最初の出会いは、去年の夏だからもう一年くらいだ。杉田との自転車接触『未遂』事件がきっかけだった。それのおかげで学校でも少しずつ話すようになっていった。

 いつからだっけ?小町が男の子っぽく話すようになったのは。気が付いた時にはそんな感じだったかな。でも、最近はであった頃の小町に戻ったような気がしてた。


「何考えてたの?」


 小町に聞かれて我に返る。


「小町と出会ってからのこと思い出してた。」

「なんでそんなこと思い出してたの?」


 そう言って小町が再び腕を組んでくる。


「特に何も。なんとなくかな。」

「そうなの?でも、偶然だったよね。」

「そうだね。それに、杉田の感じが面白かったよな、あの時。」


 そう。あの時の杉田は持ち前の運動神経をしっかり発揮して勝手に転んでケガをしたんだ。あれは驚いたけど、今思い出すと本当に面白い。


「ホントだよね。私は全然ケガもしなかったけど、杉田が転んじゃうんだもんね。」

「そうだよなぁ。それにしても、偶然っていろいろあるもんだよね。」

「そうだね。私もこんなにみんなと仲良くなるとは思ってなかったしね。」


 出会いのきっかけは確かに杉田との自転車のことなんだけど、仲良くなったのは別のことがきっかけだ。


「学校祭の時だよね。」

「そうそう。あれは傑作だった。」


 小町があれと言ってるのは一年生の学校祭の時の出来事だろう。他のクラスの出し物を杉田たちと見て回ってた時。小町が絡まれてたんだ、他の一年生に。ほら、小町ってちっちゃいから小学生とか言われてからかわれてたんだよな。その時のことを言ってるんだろう。


「まぁ、あれはなぁ。からんでたヤツが悪い。どう見てもな。」

「そうだよねっ、なんか今思い出しても腹立ってくる。」


 そう言って小町は組んでる腕に力を入れて頭をガンガンぶつけてくる。俺と小町との身長差は結構あるから、頭が上腕に当たる。ちょっと痛い。


「ちょっとやりすぎたかもしれないけどな。」

「いや、あれはスカッとしたよ。」


 なんであんな感じで絡まれてたのかは知らないけど、知り合いが絡まれてたらいい気はしない。で、ちょっとやらかしたってことだ。もちろんケンカしたわけじゃない。ちょっとやり込めただけだ。まぁ、軽く小突きはしたけどな。


「そっか?でも、アレのおかげで俺はまた要注意人物になりかけたぞ?」


 ちょっと笑いながら小町の顔を見る。


「そんなことになって無いって。目撃者もいっぱいいたんだから。」


 今度は頭をすりよせてくる。


「まぁな。それはいいとしてさ。やっぱり懐かしいよ。」


 それにしても、どうして俺にはこう、トラブルが舞い込んでくるんだろう?


「でもね、やっぱり嬉しかったよ、勇者くんっ。」

「なんだよそれ。勇者とか言うなよ。」

「おぉ~い。ずいぶんと仲良しだなぁ。」


 俺たちの少し前を歩いていた杉田が、こちらを見ていう。

 小町は驚いたかのようにパッと俺の腕から離れた。


「そんなことないって。ちょっと昔の話してただけだよ。」


 俺の言ってることはまるで言い訳だ。だから続けてこう言った。


「まぁ、仲が良いってのは否定しないけどな。」


 そうだよ。何を否定することがあるんだよ。仲は良いさ。


「確かに。二人の仲がいいのは否定しないよ?でもねぇ。」

「なんだよ、実花ちゃん。」


 その言い方にはちょっとひっかかるとこがあるんだけど?

 『う~ん』と腕を組みながら実花ちゃんはさらに続ける。


「仲が良すぎな気がする。なんかあったの?」

「何でもないよ?ホントに。今までと一緒。」


 小町が両手を顔の前で振りながら否定とも肯定ともつかない言い方をする。


「別に、仲がいいことはいいんだけどねぇ。」


 実花ちゃんはやっぱり納得がいかないみたいだ。


「まぁまぁ、それはいいとしてさ。銭湯についたから入ろうよ。」


 杉田は何事もなかったかのように提案してくる。


「そうだね。入ろうか。」

「待ち合わせしないとね。えっと・・・一時間後くらいでいいかな?ここの休憩所があるからそこで。」


 そんな感じで、それぞれ風呂に入ることになった。

 もちろん男女別だ。


 何かを期待したって、それには答えられないぞ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


前書きにも書いたように、夕人は幸せなやつでしょうね。

確かに色々と事件には巻き込まれてはいますけど、結果的には良い方向に向かっていますし。


さて、次回は入浴シーンですか。

期待している方もいらっしゃるんでしょうかね。


でも、改めて言いますが。

ここに登場しているのは中学生ですからね。

その辺りをお忘れなきように。


ま、多少は期待してください。

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