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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第6章 優しさだけじゃ・・・
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夕人くんちょっといいかな?

あれから数日経ちました。

チーム竹中の動きがとても静かですが、どうなっているのでしょう。


ということで、今回は本当に久しぶりに実花ちゃんもそろったフルメンバー参加の会話になります。

暗い話なんて忘れて、仲良し達の掛け合いをお楽しみください。

 それから数日間。

 北田さんはあの日のことなんてまるでなかったかのように話しかけてくる。むしろ、前よりも積極的なくらいだ。何とかこの事態から逃れたいが、打開策がない。無視するのもおかしな話だし、かといって仲よくしようとも思わない。いったいどうしたものか。

 そう言えば、杉田は環菜に話してくれたんだろうか?席変えの件。特に何も起こらないけど・・・それによくよく考えるともうすぐ夏休みなんだよなぁ。そう考えると、席変えは二学期になってからのほうが無難だよなぁ。


「ねぇ、夕人くんちょっといいかな?」


 そう声をかけてきたのは環菜だ。


「ん、あぁ、いいよ。どしたの?」


 ちょうど席変えのことも考えていたし、いい機会だから聞いてみようか。っと、教室じゃ話しにくいんだよなぁ。


「あのさ、教室にはちょっと居づらいんだ。屋上でもいいかな?」


 今は幸いにして放課後だから、環菜の都合さえよかったら・・・


「いいよ。屋上で。」


 そういって、環菜は先に出ていく。


「お、おい、ちょっと待ってくれよ。」


 俺も慌てて後を追う。そして屋上に着いた俺は思ってもいなかったものを見た。


「な、なんでみんなここにいるんだよ。」


 そこには、杉田に実花ちゃん、小町に茜のいつものメンバーがそろっていた。


「いやいや、あたしたちが夕人くんを連れてきてもらったんだよ、環菜ちゃんにね。」


 実花ちゃんがこともなげに言う。


「え?なんだよ。どういうことだよ。普通に呼んでくれれば良かったのに。」


 いつもと違う感じで呼び出されると変な感じがするじゃないかよ。


「そうなんだけどさ。なんか、最近の教室の雰囲気、良くないじゃない?それにさ。足草がうるさいじゃん。」


 小町がこともなげに恐ろしいことを言う。


「まぁ、そんなに大したことじゃないよ。話ってのはさ。ただ、夕人の気晴らしにさ。話でもしようぜって。俺が頼んだんだよ。」


 杉田、お前ってやつは。なんてイケメンなんだよ。


「みんな、気を使ってくれてありがとう。」

「気にすんなよ。俺たちは友達だ。仲間だろう?」


 他のみんなも頷いている。いつもなら臭く感じるセリフなんだろうけど、今は本当にうれしい。


「もうすぐ夏休みじゃない?なんか遊びに行ったりして気晴らししたいよね。」


 杉田の隣から離れようとしない実花ちゃんがこう切り出してきた。


「そうだよねぇ。来年は受験勉強とかしないといけないかもしれないけど、今年は遊べるもんね。」


 茜が勉強なんてことを言うなんて。どうしたんだ?


「それは、勉強してる人のセリフだと思うなぁ。」


 小町が鋭い突っ込みを入れる。


「えぇ、それってひどくない?小町ちゃん。まるで私が勉強してないかのようだよ。」

「え?してたの?」


 環菜の一言が最も強烈だ。


「あはは。相変わらずだよなぁ、みんな。なんか久しぶりに笑ったよ。」


 本当にありがとう、みんな。俺はみんなみたいな友達がいて幸せだよ。


「いやいや、そこはね?『相変わらずだなぁ』ではなく。『茜はちゃんと勉強してると思うよ?』とかっていうとこだよ?夕人くん。」

「あぁ、ごめん。勉強してるの?茜?」


 俺も悪乗りしてみる。


「えぇ、夕人くんまでそんな言い方しなくても。」


 泣きまねをする茜の頭を『よしよし』といって撫でている実花ちゃんの姿が面白い。


「ま、この際だから勉強のことは置いといてさ。ホントにどっかに出かけよっか?」


 杉田までこんなことを言い出すなんて。俺のことを気遣ってくれてるのか?


「どっか行くって言ってもさ。お金とかあんまないぞ?俺。」

「それは私もだよ。」


 小町が俺の言ったことに頷きながら言う。


「実はね、そこでみんなに朗報なのだよ。」


 杉田が大きくふんぞり返りながらニヤッとしながら続ける。


「なんと、うちの両親が夏休みの間、何日か海外に行ってしまうらしいのですよ。何と俺を置いて。」

「いや、翔・・・それって自慢なのかなんなのかわかんないけど。」


 実花ちゃんが言う通りだ。それじゃただの寂しい自慢にしかなってないぞ?


「まぁまぁ、ちゃんと聞いたか?俺を置いていくってことは、俺んちには俺しかいないってことだ。で、幸いにして俺んちにはちょっと広めの部屋が二つある。ということはだな。みんなで・・・」

「あっ、お泊り会できるってこと?」


 実花ちゃんが杉田の最後のセリフを奪ってしまった。杉田は恨めしそうな顔を実花ちゃんに向けながら『そゆこと』とだけ言った。わかるぞ、杉田。最後まで言いたかったよなぁ。


「へぇ、それはすごいね。みんなの都合が合えば楽しいかも。」


 環菜も乗り気みたいだ。


「そういうことなんで。みんなで日程調整しない?なんか食材持ち寄ってみんなでご飯作ってもいいし、あ、庭でバーベキューでもいいぞ?なんかそんなセットもあった気がするしさ。まぁ、肉買う金がないけどな。」

「杉田よ、とてもいい提案だが、何個か聞きたいことがあるんだけど?」


 ふと思いついた違和感を伝える。


「なんだよ、夕人。なんでも聞いてくれ給へ。」

「いやさ。まず、風呂とかってどうすんの?さすがに男風呂と女風呂はないでしょ?」

「あぁ、確かにないけど、近くに銭湯あるぞ?」

「そうか。それなら大丈夫か。あ、でもあと一個。なんでお前は親と一緒に行かないんだ?」


 そうそう。それは気になってたんだよという表情を浮かべるみんな。しかし、杉田はこともなげに言う。


「あぁ、そんなことか。うちの親父はさ。年に何回か海外に出張に行くんだよ。で、せっかくだからって母親も行っちゃうんだよ。まぁそれだけのことさ。ちなみに去年は花火大会の時にも行ってたんだよ、確か。で、今回はアメリカに行くって言ってたかな。俺は学校とかあるしさ。放任主義っぽいとこあるんだよ。うちの親ってさ。」


 あぁ、そういうことか。だからあいつはあんなに大人なところがあるのか。中学生の俺が言うのもおかしな話かもしれないけど、アイツの大人っぽいところってそういうとこから来てるんだな。なんとなく自立してるような感じがしてたんだよ。俺は杉田のことを全然わかってなかったのかもしれない。


「翔、かわいそぉ~。私たちが慰めてあげるからねぇ。」


 実花ちゃんが杉田にガバッと抱き着き杉田は目を白黒させている。杉田め。いつもチャラい感じのこと言ってるけど実花ちゃん一筋だからな。でもって、下ネタ好きの癖に意外にシャイなところあるんだよ。


「お前らは相変わらず、ラブラブなんだなぁ。ちょっと羨ましいぞ。」


 二年生になって栗林さんと違うクラスになってしまったから、毎日こんなシーンを見せつけられることはなくなったが、休み時間のたびに消えることが多い杉田は彼女に会いに行ってるに違いない。


「だよねぇ。いいよねぇ・・・あぁいう感じって。」


 環菜が少しだけ目を細めてみている。さっきよりちょっとだけ俺との距離が近くなってる気がする。


「けどさぁ、なぁんで私が慰めてあげなきゃいけないわけ?」


 いつの間にか俺の右横にいた小町が続けて言う。

 小町が痛いとこを突く。


「それって私たちには相手がいないからってこと?


 茜が実花ちゃんを軽く睨む。あぁ、そうだよな。俺たちは負け組ですよ。


「いやぁん。そんな気にしなくてもいいわよぉ~。私たちは夜は翔の部屋でラブラブに過ごしますからぁ。大丈夫よん。」


 実花ちゃんの発言の意味するところがよく分からんが、他の三人の女子たちは激しく反応した。珍しく杉田もアタフタしている。


「ちょっと、それって、どういうこと?」


 初めに口火を開いたのは茜だ。腕を組みながらキッと睨みつける。


「その発言はちょっと・・・聞き捨てならないわね。」


 環菜も腕を組み、厳しい口調で言う。


「そういうこと言っちゃうんだぁ。へぇ。実花ちゃんがねぇ。」


 小町の言い方にもなんだかトゲがあるぞ?


「なんだよ?どうしたんだよ。別に一緒にいるだけならいいんじゃないの?」


 だろ?だって、アイツらは付き合ってるんだしさ。部屋で一緒にいたっていいんじゃないのか?なんでそんなにむきになってるんだろう。


「はぁ、夕人くんはお子ちゃまなんだよね。」


 茜が『呆れた。』という表情で天を仰ぐ。


「じゃ、じゃあ、私もバカ夕人と夜に一緒の部屋で楽しく過ごすからいいもん。」


 何を実花ちゃんに対して対抗意識を燃やしてんだよ、小町。と思った瞬間、俺の右腕にしがみついてくる。うわっ、なんだよ?体を押し付けてくんなよ。っていうか離れろ。


「そうねぇ~。私もそうしよっかなぁ。」


 今度は環菜がそう言って俺の左腕にくっついてくる。お、おい。何なんだよ。それに、胸が当たってるってっ。


「あら?それなら。」


 茜は慌てふためいている俺の後ろにスッと回って、首に腕を絡ませながら右肩に顎を載せてきた。茜の声がすぐ耳元から聞こえる。


「私も、そうしちゃおうっかなぁ。」


 おい、ちょっと待て。とっても嬉しい状況なんだが勘弁してくれぇ。


「だぁああ、お前ら離れろぉ~。」


 そう言って一生に一度あるかないかの幸せな時間を自ら終わらせる俺。


「あははぁ、やっぱり夕人くんをからかうと面白いね。」


 茜はいち早く俺から離れたみたいで、こっちを見ておなかを押さえながら笑っている。


「ホントよねぇ。面白い。」


 環菜も俺の腕から離れて茜と一緒になって笑いだす。小町だけはギュッと目をつぶったまま、俺の右腕にまだしがみついている。なんでそんなに必死にくっついてるんだよ。はぁ。


「夕人ぉ。俺、すっげぇお前のこと、羨ましんだけど。代わってくれ。」


 その瞬間。実花ちゃんの右フックが杉田に炸裂した。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


え〜、突然ですが出演者代表として杉田翔くんにここに来ていただきました。


私 :今回は出番が微妙ですよね。コント的なこともやってますけど。

杉田:そうですね。でも、たまにこんな感じもいいのかなって思ってますよ。

私 :そうなんですか?では、そういうことで。そして、今回は私の要望を受けてくれてありがとうございます。

杉田:要望?なんのことですか?

私 :いや、ほら、合宿的な話ですよ。

杉田:はぁ。そんな話ありましたっけ?あれは俺がそうしたいと思ったから提案したわけですから。別にあなたに言われて決めたというわけじゃないです。

私 :そ、そうでしたか・・・。

杉田:そうですよ。それに、全員参加できるかわからないですからね。できれば楽しい合宿にしたいとは思っています。当然ながらサプライズも用意していますし。

私 :サプライズですか?ちょっとだけその内容を教えてもらえませんか?

杉田:それを教えたらサプライズにはならないので。申し訳ないです。

私 :そうですね・・・あ、もう一つお聞きしたいことがあるんですが。

杉田:なんですか?

私 :杉田くんの家はお金持ちなんですよね?どうして北海道に転校してきたんですか?

杉田:え、それをここで話すんですか?

私 :はい、できれば。

杉田:う〜ん、話すなら夕人に話しますよ。ここで話すのはちょっと・・・

私 :そうですか。すみません。

杉田:いえ。もう話は終わりですよね?俺はみんなのところに早く戻りたいんで。

私 :はい・・・ありがとうございました。


すみません。何も聞けませんでした。

この企画が好評でしたら、また、出演者に話を聞いてみたいと思います。


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