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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第6章 優しさだけじゃ・・・
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自然だ。実に自然だ。自然過ぎて不自然だ。

新しい章になりましたが、もちろん前回までの話は続いていきます。


しばらくはこの話がクラスの話題の中心になっていくのでしょう。

とはいっても、健全な中学生なら次々と新しい話題を見つけていくはずです。


ですよね?

 次の日。

 待ってましたとばかりに登校したばかりの俺に、足草が絡みついてくる。


「お、竹中、おはようさん。昨日はどうだったべ?」


 こいつは本当に何も考えていないんだろうか。朝からコイツの顔を見て最低な気分になった。


「お前に話すことは何一つない。」

「そんなこと言うなや。俺たちの仲だろう?」

「お前と何かを共有する気にはならん。どっか行けよ。」


 コイツとは一秒たりとも会話したくないな。

 大体教室の入り口で話すようなことかよ。ふざけんな。

 誰かほかに話せる奴はいないのか?杉田はいないのか?教室を見渡してみる。


「おはよう。」


 入り口に立っていた俺の後ろから声が聞こえた。振り返るとそこには北田さんが立っている。


「あ、あぁ、おはよう。」


 昨日のことはまるで何事もなかったかのような朝の挨拶。正直にいうと、こっちのほうが怖い。


「お、二人で登校?なんかいい感じなんじゃないべか?」


 足草が吠えている。本気でウザくなってきたぞ。

 どうする?昨日の件もあるからここで絞めておくか?


「そんなんじゃないよ、足草くん。」


 北田さんの冷静さが、とてつもなく冷たく感じる。


「そうなんか?で、で、昨日はどうだったのさ?」


 こいつ、本当にいい加減にしてほしいな。どこまでも空気の読めない奴め。


「何も。何もないから。ほっといてくれる?」

「二人そろって同じことを言うなんで、もしかして、アレですか?」

「足草。本気で殴られたいのか?いま、ここで。」


 殴ってしまいたい。


「わかったよ。また、あとで聞きに来るわ。」

「来なくていい。」


 また後でって。アイツ、本当に何考えてるんだかわからないな。

 そんなことよりも、北田さんがあまりにも普通に話しかけてきたことも驚きだ。『おはよう』って挨拶はしたけど、どう接するべきなんだろう。やっぱり、普通にするべきなんだろうな。


「足草は、本当にめんどくさい奴だな。」

「そうだね。本当に。」


 ずっと入り口に立っていても不自然だよな。

 既に教室内からは奇異の目線が向けられている。別にそんな目線を意識する必要はないんだろうけど。


「ここに立ってても仕方がないね。席に行こうか。」

「そうだね。竹中くん。」


 自然だ。実に自然だ。自然過ぎて不自然だ。

 席に着いたからって何かが変わるわけじゃない。何といっても、北田さんは俺の隣の席なんだ。後ろの席の茜とも昨日のことは話しにくい。

 それに、『それでも、私は竹中くんが好きだよ。』なんて言われたら、好きじゃなくたって意識しちゃうだろう。これは、俺がダメな奴だからか?いやいや、そんなことはないはず。健全な中二男子なら好きだと言われて何も感じないほうがおかしいだろ?


「ねぇ、竹中くん。」

「な、なに?」

「昨日のこと、本当だから。」


 そう言う北田さんの表情は昨日より明るく、今までに見たことのないような笑顔だった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


次の日の足草。

ウザいですね。

そう思ってもらえてば十分です。


それと北田さん。

何かが吹っ切れたかのような感じに見えます。

それとは対照的に悩んでいる竹中。

このあたりに二人の考え方の違いがあるようにも思えます。


北田さんは何を思っているのでしょうか。

以降の話で少しでも触れていければいいなと思っています。

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