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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第5章 友達って・・・
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なんで俺がそんなことしなきゃいけないんだよ

五時間目は終わりました。


放課後はどんな展開になっていくのでしょうか。

どうなるにしても、無事にはすまないでしょうね。

 こういう日は一刻も早く家に帰りたい。幸いにして五時間目で本日の授業はは終了だ。

 なのに・・・なぜに掃除当番なのだろう。間が悪いことこの上ない。特別教室の掃除ならいざ知らず教室の掃除当番。これでは逃げ出すこともできない。しかも、味方となり得そうな杉田や小町、環菜と茜はそれぞれ別の場所の掃除当番だという。サイアクだ。

 北田さんが早く帰ってくれれば明日からまた仕切り直しなんだが・・・


 まぁ、考えてみても仕方がない。とりあえず掃除をしよう。お気に入りの回転ほうき・・・そう言えばこれって北海道独特の表現だったような。杉田が言ってたな。えっと、なんだっけ?自由ほうきだっけ?あはは。なんて現実逃避しながら教室の隅に設置された掃除用具入れに向かう。

 なんだか、妙に視線を感じるなぁ。やっぱりさっきのアレが原因なんだろうな。けど今さらどうしようもないさ。さぁ、掃除をしよう。マイほうきをゲットしていざ尋常に掃除をっ、と振り返った時、すでに異変は起こっていた。


「ちょっと、なんで北田さんをフッたのよ?」

「あんなにいい子なのにっ」

「ありえない。馬鹿なんじゃないの?」


 えっ、ええっ?なんだ?この状況はっ?北田さんと仲良くしているであろう女子たち四人に囲まれてる?しかも、後ろには北田さんが控えてる?北田さんはうつむき加減ではあるけれど、もう泣いてはいないようだ。それにしても、どうしてこんなことになるんだよ。


「何とか言いなさいよ。」


 こういってきたのは石井さんだ。文武両道の彼女はクラスでも人望が厚かった子のはず。なんでこんなことをするんだよ?


「どういうつもりなの?」


 細木さん・・・保健委員の彼女は物静かな印象を持っていたのに・・・


「どうって言われても、困るんだけど・・・」

「はぁ?何が困るっているのよ。なっちゃんと付き合えばいいじゃない。」


 なんだよ。なんなんだよ、こいつら。


「いや、だからさ、俺は北田さんに何か言われたわけじゃなくて・・・」

「そんなことは聞いてないの。なんでフッたのって聞いてんの。」


 石井さんは俺を睨みつけながらまくし立ててくる。


「だからさ。フルとかフラれるとかじゃなくてさ。北田さんに告白されたわけじゃないし。」

「現にこうやってなっちゃんが泣いてるじゃん。それってさ。あんたがフッたからでしょう?何言ってるの?言い訳?」


 石井さんの言うことに他の女子たちは『そうだそうだ』という表情で頷いている。


「言い訳じゃねぇよ。本当のことを言ってるんだって。」


 嘘は何一つ言っていない。実際に、北田さんに何か言われたわけではないし、俺も何かを言ったわけじゃない。ただ、足草が暴走しただけだ。


「じゃ、どうしてなっちゃんが泣いてるのよ。全然意味わかんないじゃん。」


 意味が分からないのはこっちだ。石井さんの言っていることもわからない。


「とにかく、責任取りなさいよね。」


 責任?何の責任だよ。大体、俺は責められるようなことはした覚えがないぞ。やっぱり、これははっきり言うべきなんだろうか。


「俺が、何をしたって言うんだよ。」

「はぁ?わけわかんない。あんた何言ってるの?私の言ってること聞いてた?」


 呆れたとでも言いたげな表情で石井さんはさらに迫ってくる。


「だから言ってるだろう。俺が何したんだよ。はっきり言ってみろよ。」


 こうなったらヤケクソだ。出たとこ勝負で行ってやる。


「え、だから、あんたがなっちゃんをフッたんでしょう?」

「フッてねぇよ。そもそも何も言われてない。」

「だって、足草にそう言ったでしょう。」

「足草が何を言ったかは知らない。けど、俺は足草から聞かれたことに答えただけだ。それで何を思いこんだか知らないけど、いろいろやってるのはそっちだろう?俺は何もしてねぇよ。それに、俺に何を望んでるんだよ。付き合えって言ってるのか?まだ何も言ってこない相手と。それに俺の気持ちも考えられないような相手と話すことなんかねぇよ。押し付けてくんな。」


 しまった。言ってしまった。ここまで言うつもりはなかったんだけど、つい売り言葉に買い言葉っていうやつか?マズいぞ。女子相手に口撃して勝てるわけがないのに。


「だから、ちゃんと返事して付き合いなさいって言ってるのよ。」


 石井さんは俺の言葉をまるで聞いていないかのように言ってきた。


「何度言えばわかるんだよ。返事のしようがないだろう。何も言ってこない相手に。」

「だから間接的に言われたでしょ?」

「間接的ってなんだよ。直接言えよ。」

「・・・・・」

「・・・掃除の邪魔だからどいてくれよ。」


 女子たちはそこをよけようとはしない。まだ言いたいことでもあるのだろう。


「なんだよ。邪魔するのか?」

「・・・わかったわよ。じゃ、これだけは約束しなさい。」


 四人の中では石井さんがリーダー的な立場なんだろうか。さっきから話しているのは俺と石井さんだけだ。


「なんで俺が約束しなきゃいけないんだよ。しかもお前らと。関係ねぇだろ。」

「関係なくない。私の親友が泣いてるんだよ?」

「その親友さんとやらは何も言わないじゃないかよ。それはその『親友』とやらの代弁のつもりなのか?」

「そうよ。私はなっちゃんの代弁してるの。」

「そうか、自分の言葉じゃなくて人に語らせるのが得意なんだな。俺はそういうのはキライだ。言いたいことがあるなら自分で言え。自分で言えないからって人に言わせるなよ。」


 今のも言い過ぎだったかもしれない。


「自分では言えない時だってあるでしょう?」


 石井さんの言うことはわかるけど、今は違うだろう?


「そうかもしれないな。俺は知らないが。」

「と、とにかく、ちゃんと話しなさいよ。そのために、今日はなっちゃんを家まで送っていきなさいよ。こうなったのはあんたのせいなんだから。」

「はぁ?なんで俺がそんなことしなきゃいけないんだよ。」


 何を言っているのかまったくわからない。


「そのぐらいはいいじゃない。男でしょう?」

「男とか、女とか関係ないと思うけどな。」

「とにかくっ。いいっ?ちゃんと家まで送っていくこと。その時にちゃんと話をしなさいよ。いいわね?玄関で待ってるから。」


 そう言って北田さんたちは出て行った。教室に残されたのは俺一人。いつの間にか教室掃除のメンバーまでいなくなっている。なんだよ。『君子危うきには近寄らず』ってやつか?まったく、俺に拒否権はないのかよ・・・

 それにしても、どうしたもんだろう。帰りに送っていく?それって、一緒に帰らなきゃいけないってことかよ。信じられないな。なんで好きでもない女の子と一緒に帰らなきゃいけないんだ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


チーム北田の圧倒的パワー、お感じ頂けたでしょうか。

竹中は良く対処したと思っていますがどうでしょうか。


この状況で誰にもフォローしてもらえないは辛かったと思われます。

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