表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第5章 友達って・・・
19/235

それは・・・キツイね

前回の足草の暴走から竹中の立場はどうなるのでしょう。それから北田さんも。


恋愛にまつわる事柄はどうあっても他人が制御できることではありません。

学校という狭い空間であるがゆえの恐怖が今幕を開ける。


竹中は無事に乗り切ることができるのでしょうか。

 教室に戻って自分の席に着く。

 しかし、どうも気分が落ち着かない。

 そりゃ、そうだ。全く自分のあずかり知らぬところで何事かが進行しているはずだ。

 落ち着けるわけがない。


「なぁ、バカ夕人。なんかあったの?」


 周りの騒動を聞きつけて戻ってきた小町が尋ねてきた。


「いや、ちょっとな。」


 正直言って答える気にはなれない。


「どしたの?大丈夫?」


 小町は心配そうに顔を覗き込んでくる。

 その顔を見るとちょっとだけ落ち着く気がする。


「はぁ。あんまり、大丈夫とは言えないな。」

「小町ちゃん、今、夕人くんは大変なことになってるのよ。」


 茜が困ったような表情を浮かべながら俺たちのもとにやってきた。


「茜・・・、勘弁してくれよ。」

「まぁねぇ。夕人くんがどうこうしたわけじゃないからねぇ。」


 確かにそうなんだけど、この現実は確実に俺に跳ね返ってくる。


「なんだよ、それ。どういうことだよ?」

「ちょっと、説明は難しいかも・・・。あ、小町ちゃん、あとで教えるよ。」


 はぁ。本当にどうなるんだよ。そこに、さらに追い打ちをかけるように環菜がやってくる。


「ちょっと、夕人くん、どうしたの?なんか廊下で大騒ぎになってるけど?」

「環菜まで・・・。今、本気で凹んでるんだって。」


 廊下で大騒ぎっていうのはただごとではない。

 下手するとクラスで、いや、学年全体でも知らない奴はいないんじゃないのか?


「環菜、小町、ちょっとこっち。」


 茜が二人を連れて行った。どうやら事情を説明してるみたいだが。俺にとっては余計なお世話としか言いようがない。



「バカ夕人・・・。どうするの?」


 茜から事情を聴いたであろう小町が泣きだしそうな顔をしている。


「どうするって言ってもさ。」


 俺だってどうしたらいいのかわからない。


「でも、足草くんにはもう言っちゃったんでしょ?夕人くんの気持ちは。」


 そう、それが厄介なんだよ。北田さんと直接話してれば・・・。


「はぁ、足草のヤツ・・・」


 足草に対して怒りがフツフツと湧いてくる。


「でもさ、女の子にとって告白って、かなりのエネルギー使うんだよ?それは分かるでしょ?」

「それは分かるって、茜。だからさ。どちらにしても俺が直接言われて、そして答えるべきだったんだよ。」

「ねぇ、夕人・・・。本当に好きとかそういう感情はないの?」


 小町。なんで追い打ちをかけるようなこと言うんだよ?


「こういうと、ヒドイ奴と思われるかも知れないけど。考えたことさえなかった。」

「それは・・・キツイね。」


 小町のセリフは俺と北田さんのどちらに向けての言葉なんだろう。


「そこまで。もう、起こってしまったことはどうしようもないわよ。あとは、夕人くんに任せるしかないでしょ。」


 環菜くらい突き放してくれたほうがありがたいんだが、心なしか声が震えてるような気がする。俺の気のせいだろうか。


「いやぁ、みんなお疲れ~。ん?なんだね?君たちは。深刻そうな顔して。」


 何も知らない杉田が戻ってきた。今更、説明する気も起きないな。


「あ、北田さん、戻ってきたよ。」


 茜の声で、皆が席に戻っていく。状況を飲み込めない杉田もとりあえずはその流れに乗るみたいだ。あぁ、これから未だ経験したことのない修羅場っていうのを体験するのか・・・


 それにしても、どうやったらこの奇跡的状況が出来上がるんだ?

 もちろん奇跡といっても不幸のほうの奇跡だ。

 まず、俺の席は、廊下側から二列目で前から三番目だ。普段はとても居心地が良い場所だと思っている。けど、今日ばかりは本当に最悪だ。なぜなら、俺の左隣の席は北田さんで、さらにその左隣の席には足草。俺の前の席は環菜で後ろの席は茜。ついでに言うと小町は足草の前の席だ。杉田の席だけは窓側の遠い席だ。こういう時は女子よりも男子の力を、というよりも杉田の力を借りたいところだったのだけど、こう離れていちゃ杉田の援護は期待できない。。


 北田さんは教室に戻ってきてすぐ、俺のほうを見ることもなく席について顔を伏せて泣き出してしまった。状況を察しているのかどうかわからないが、クラスの男子がいろいろと囃し立ててくる。そして率先して騒いでいるのが足草だというのだから、たちが悪い。

 それを何とか環菜と茜がいさめようとするが、どうにも収まりがつかない。それに俺だってどうしていいのかわからない。

 そうこうしているうちに、北田さんの友達の女子たちが四人ほど彼女の席の周りに集まってくる。つまりは俺の隣だ。この場から消えてしまいたいほど居心地が悪い。


 耐えられなくなって教室から一旦外に出ようと思ったとき、五時間目のチャイムが鳴った。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


あれよあれよという感じで話が進んでいきます。

ここで恐ろしいのは竹中自身は特に何もしていないということです。

足草の一言から始まってしまったこの事態。

無事に収拾できるのでしょうか。


竹中にしても北田さんにしても被害者のように思いますが、みなさんはどう思いますか?


自分だったらどう行動するのか。

そう考えながら読んでいただけると楽しいのかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ