とんでもない行動
皆さんは誰かの秘密を知ってしまった時どうしますか?
もちろん黙っている
おもしろい!誰かに話さなきゃ!
この二択でしょうか。
そして、この選択によってその人の人間性がみえるような気がします。
あ、でも、秘密の内容にもよりますよね。
七月も一週間くらい過ぎたある日の昼休み。夏休みまであと二週間くらい。
その日は平穏な一日だった。昼休みまでは。
いつもと同じように登校し、杉田とアホ話に花を咲かせ、みんなと笑い話をする。
そんないつも通りな日常だった。
しかし・・・・
「竹中、竹中っ。ビックニュースだべ。」
そう言いながら廊下を走ってきたのは足草だ。
あいつにとってのビックニュースなんて俺にとっては大したことじゃない。それに、アイツにかかわるとたいていろくなことにならないし。どうせ、夏休みの宿題とかその手の話だろう。そう高をくくっていた。
「なんだよ、足草。騒がしいな。」
「いやいや、だってすごい話なんだぞ?」
なんだよ一体。めんどくさいなぁ。
「すごい話って、お前、昼休みは委員会じゃなかったのか?」
「そうそう、その委員会での出来事なんだって。」
「なんだよ。話が全然見えてこないんだけど?」
「今の委員会の時に、北田が隣だったんだけどさ。」
まぁ、それはそうだろうな。で、それがなんだっていうんだ?
「あぁ、そうか。それがどうしたよ?」
「俺さ、ちょっと聞いてみたんだよ。北田に。」
「前置きが長いな。なんだよ。早く言えよ。」
「じゃ、行くぞ?よく聞けよ?」
「わかったって。大体、お前、声がでかいよ。」
「いや、だって興奮しちゃうべや。」
いい加減めんどくさくなってきたぞ。
「そーかそーか。じゃ、もう行ってもいいか?」
「いいから、ちゃんと最後まで聞けって。」
「わかったからっ、少し落ち着いてしゃべれよ。」
「えとな、北田に『好きな奴いるのか』って聞いたんだよ。で、『うん』って答えたんだ。」
まぁ、好きな人くらいいるだろうよ。
「うん、で?」
「それでな?俺が、『当ててやろうか』って言ったんだわ。そしたら、また『うん』て答えたからさ。言ってみたんだよ。」
なんかこの手の話は聞かないほうが良さそうな気がする。
「あ~、なんか、それってあんまり俺に言わないほうがいいんじゃないのか?」
「いや、そんなことないべ。でさ、『竹中だろう?』ってさ。」
なんだよ。なんでそんな話になってるんだよ。バカなんじゃないか?
「はぁ、お前、バカなんじゃない?そんなことあるわけないだろうよ。」
「いや、そしたらさ。首を縦に振ったんだよっ。北田はさ、竹中のことが好きなんだってさ。それでさ、お前に言わなきゃと思って走ってきたんだべや。」
なんて奴だ。仮に足草の言うことが本当だとして、なんでそれをここで言う?ここは廊下だぞ?みんなに聞こえてるじゃないかよ。
俺に伝えたいっていうのは、まぁ百歩譲ってわかるとしても。
北田さんがそれを許したのか?それにはそうは思えない。
北田さんの気持ちを考えたのか?コイツのことだ。絶対に考えているわけがない。
「はぁ、そうなのか・・・。」
「そうなのかって、お前。どうなんだよ?」
どうなんだと聞かれても。正直、答えに困る。俺は直接言われたわけでもないんだし、そもそも、なんでこいつに答える必要があるんだ?
「なぁなぁ、どうなんだよ?お前は北田のことが好きなんだべか?」
「・・・なぁ、足草。お前って本当にバカなんだな。それをお前が聞いてどうするんだよ?」
「そりゃ、お前の答えを伝えるに決まってるじゃないか。」
何をわかりきったことを聞いてるんだコイツ、という表情で俺を見てくる足草。
なんだよ。なんなんだよコイツ。それにしても、北田さんもなんでこんな奴にそんな話するんだよ。
「お前が北田さんに伝えることはない。俺が本当に北田さんに言われたら答える。」
「なんだよ。隠すことないべ?嬉しいだろ?」
「そりゃ、好きって言われて嬉しくない奴はいないけどさ。」
「お、それ、お前も好きってことでいいのか?」
コイツの考え方の飛躍が、俺には理解できない。
「だから、そうじゃなくて。お前には答えないって言ってるんだよ。」
「いいから、こっそり言ってみ?」
ダメだ。もう何を言ってもこいつには届かないだろうな。
「・・・わかったよ。けど、北田さんには言う必要ないぞ?」
「わかったって。で、どうなん?」
「答えるも何も。俺の中で北田さんをそういう対象で見てなかったよ。」
「そうなのか?」
「あぁ、それに、お前は声がデカい。少し静かにしろ。」
俺が言い終わらないうちに、足草はどこかに走っていった。
おい・・・まさか。
アイツは何をする気なんだ?
昼休みはまだ少しだけ時間が残っている。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
今回の更新は短めです。
短めですが、ここからは怒涛の内容になっていきます。
足草は本当に余計なことをしてくれます。
これが中学生といえばそれまでなのかもしれないですが、それにしても問題の有りすぎる行動だったと思います。
次章の内容は当然、この内容を受けての話になります。




