うまくいかない日常
前章から一気に時間が進みます。
あの出来事があってから夕人たちはどうなっているのでしょうか。
東京から戻ってほんの数日後。
何事もなかったかのように新学期が始まった。真新しい制服に身を包んだ新入生も入学してきて、俺たちも三年生になったんだなって自覚するようになってきた。中学最高学年っていう自覚。今年は高校受験だっていう自覚。義務教育最後の年っていう思い。いや、これは特にないかな。
そして、六月初旬にある修学旅行。今クラスはその問題で大盛り上がりだった。
「では、皆さんには修学旅行中に行動を共にするグループを決めていただきたい。」
相変わらず堅苦しい話し方だなぁ、学級会長としての稚内くんは。俺や翔もあんな感じだったか?いや、絶対に違う。そうであると信じたい。
環菜は苦笑いをしながら稚内くんの横に立って副会長としての責務をこなしているみたいだ。そして、俺が環菜の顔を見ているのがわかると軽く首を傾げて目だけでさらに笑って見せた。
「夕人よ、修学旅行は一緒のグループになるしかないぞ。」
翔が遠くの席から飛ぶようにやってきた。三年生になった初日に席変えがあった。いや、教室自体が異動になったわけだから、心機一転っていうのはわかるんだけれども、クラスメートが変わったわけではないんだから心機一転も何もないもんだ。で、俺は窓際の最後尾。昼寝のための環境が整う素晴らしき場所。翔は天王山というべきクラスの中心の席。いや、まさに文字通りど真ん中って言うだけなんだけれどな。
「ん、好きにしてくれていいよ、さして興味もないしな。」
修学旅行が楽しみじゃないなんてことはない。楽しみだよ、そりゃあさ。でも、今まで通りにはもう、無理だ。あの日以降、俺たちはバラバラになっちまった。いつものように盛り上がるというわけでもなく、淡々と時間が過ぎていくという感じだった。映画に出るという貴重な体験もしたのだけれど、それすら色褪せたものに感じた。
東京にいた間中、翔と実花ちゃんは色々とみんなの仲を取り持とうと頑張ってくれたが、茜は終始元気がなかったし、青葉は必要最低限のことしか話さないし。環菜は・・・そう言えばいつもとあまり変わらない感じだったような気がするな。
「はぁ・・・お前は一体何を言っているのかと。俺はそう思うぞ。」
そう言いながら俺の頭をバシバシと叩いてくる。
「イッテェなぁ。何すんだよ。」
翔の手を軽く払いのける。正直に言えば一年生の時に戻ったような感じだった。賑やかではないけれど、翔と二人、それなりに楽しくやっているっていう感じだ。
「お前のノリが阿呆のように悪いからだ。俺なんか・・・俺なんかなぁ。観光ガイドまで買って研究してたんだぞ?浮かれポンチなんだぞ?それなのに・・・お前ときたら・・・」
ガックリと肩を落としながら右手に握り締められた青森県の観光ガイドが見える。おいおい、それって車で旅するときのアレなんじゃないか?めっちゃ付箋が見えるけれどさ、何か勘違いしているだろう、お前。
「悪いな。なんかさ、気が抜けたっていうか。」
俺は乾いたような笑い方で翔に返事をした。しかし、翔は俺の言葉を全く無視して話を続ける。
「それに、聞いたか?今回の修学旅行には自由時間というものがないらしいっ。」
翔が言っているのは自由に街を探索できる時間っていう意味での自由時間だ。そんな時間はないけれど、もちろん夕食後から消灯までの時間の間に普通の自由時間くらいはある。
「しゃーないだろが。何年か前に誰かが何かをやらかしたって話なんだからさ。」
俺は机に片肘をつき、あくびをしながら答えた。
この『やらかした誰か』というのが、あの川井さんだということを知らない夕人だった。
「夕人くん、翔くん、一緒のグループで行こう。」
環菜が笑顔でやってきた。この三人で話しているとなおさら一年生の時みたいだな。あの時は同じクラスだった実花ちゃんもいたけれど。
「おー、いいねぇ。もちろん環菜も一緒だぜっ。俺の計画の中には環菜も入ってるぞ?あとは小町と茜だなっ。」
修学旅行では五人一組のグループを作らないといけないらしい。翔と環菜と俺ってことで三人だから当然残りの人数は二人だ。
「だーかーらー、小町って呼ぶなって言っただろ?」
青葉が相変わらずの感じで翔に蹴りを入れている。いや、そうなのか?この姿も少し前の青葉とは違うんじゃないか?そう、強いて言うなら二年生の初めのころっていうか、なんだか男の子っぽい喋り方をしていた頃の青葉のようだ。
「へーへー、悪ぅございました。じゃ、俺も青葉って呼ぶかぁ。夕人が呼んでるみたいにさ。」
「おぅ、それでいいんじゃないか?ったく、一年も経ってやっと気がついたのかよ。」
青葉と翔の会話。何気ない会話なのだけれど、今までとは何かが決定的に違うような、そんな気がしてならない。
「ふーむ。わかったわけじゃないのだが。」
翔は顎に手を当てながら青葉の顔をジロジロと見ている。
「な、なんだよ。ジロジロと見てんじゃねぇよ。」
青葉が半歩だけ身を引いて翔の顔を見ている。
「髪、切ったのな。短い髪もいいな、似合ってんぞっ。」
翔が親指を立てながらグッドのサインを送る。
「うざっ。あんたに言われるまでもなく、髪は切りました。この方が楽なんだよ。」
自分の髪を右手で触りながらしかめっ面で翔の顔を見る。青葉は長かった髪をバッサリと切った。まるで、バレー部時代のローザのような髪型だ。
「でも、小町ちゃん。そこまで切っちゃったら、かえって手入れが大変じゃない?」
環菜が青葉の髪を触りながら顔を軽く眉間にしわを寄せている。環菜の髪は少し伸びてもうすぐ背中の真ん中まで届きそうなくらいになった。とは言え、校則では長い髪はまとめなくちゃいけないから髪ゴムで軽く縛ってある。だから正確にはどのくらいの長さなのかはわからない。
「そうそう、意外に寝癖とかさぁ。だから毎日、朝シャンだよ。長いほうが楽だったかも。」
青葉は笑いながら両手を頭の後ろに持っていった。まるで、小学生の男の子とような仕草だ。小さめの身長がなおさらそれを感じさせる。
「よっし、髪の話は男どもにはわからないからその辺で切り上げてもらおう。それより、あと一人だ。茜は?」
翔が手を軽く叩きながら二人の話を中断させる。
「さぁ?その辺にいるとは思うけど?」
そう言いながらも青葉も茜を探して教室を見渡す。
「茜は・・・自分の席に座ってるね・・・」
環菜がいち早くそう言って茜に声をかけに言った。
「さっすが、環菜。仕事が早いねぇ。」
まるで他人事のように翔が鳴らせない口笛を鳴らそうとする。
「相変わらずダッセェな。口笛も吹けねぇのかよ。」
青葉が翔を小馬鹿にしたようにニヤッと笑みを浮かべた。
「そうなんだよ、これだけはいつまで経ってもできん。」
翔は真面目な表情を浮かべて頷くが、青葉がその言葉を聞いて『はぁ?』と言葉を返してきた。
「それ以外にもあんたは運動も、料理も、絵もダメじゃない。何言ってんの?」
冷たく事実を言い放つ。でも、本当のことだからしょうがない。
「ひどくね?青葉のあの一言、ひどくね?夕人よ。俺は傷ついたぞ。」
翔が過剰な演技で俺に泣きついてきた。
「まぁ・・・真実だから仕方ないな。お前のあの芸術は俺には理解できん。」
そう言って教室の後ろにある棚に飾られている美術の授業で描いた絵を指差す。多くの風景画に混ざって、一枚だけ抽象画のようなものが飾られているのだが、見たものの心を引っ掻くような気持ち悪い絵になっている。そして、それが翔の絵だった。
「おいおい、あれはな?この世に広がる人間の儚さと自然との一体感を意味していてだな。」
「はぁ?あの課題は風景を描くだぞ?何言ってんだ、あんたは。」
青葉が翔の言葉を途中で遮り、俺が思っていたことを同じことを突っ込む。
「俺の芸術は死後に評価されるのだ。そう、ゴッホのように。」
「一生言ってろ、ぼけ。」
「はっはぁー、さては嫉妬だな?」
なんか楽しそうだな、この二人。
「んなわけあるかっ。」
青葉が翔のスネを軽く蹴り上げ、翔は蹴られたところを押さえてうずくまっている。
「茜は、別のグループに入るって・・・」
環菜が眉毛を下げ、泣き出しそうな表情で戻ってくるなりそう言った。
「え、マジ?」
翔が驚きながら環菜に問い返す。
「うん、マジ。」
環菜も言葉だけはノリ良く答える。でも、表情は変わらないのな。
「ふーん、ま、そう言うなら仕方ないんじゃね?無理に誘うのもさ、あれだし。」
青葉が少し突き放したようにそう言った。
「なぁ夕人。どうする?もう一人声かけなきゃいけないじゃないか。茜にお前からも声かけてこいよ。」
「は?俺?」
俺は驚いて頬杖をついていた姿勢から一気に背もたれに寄り掛かかるような体勢に変化した。
「夕人っていう名前のやつを俺は他には知らん。」
翔は頷きながら俺の顔を見ている。もちろん悪気はないのだろう。俺と茜はあの日以来まともに話をしていないんだよ。さて、どうしたものか。
「おー、あと一人ってことなら俺を入れてくれねぇべか。青葉もいるんだべ?俺、最近青葉のことが好きなんだ。」
この声は・・・
「死ね、足草。あんたに惚れられるくらいなら消火器と恋愛するわ。」
青葉がとてつもない反応速度で足草を一蹴する。
「玉置も可愛いしな。一緒のグループで俺の良さを知ってもらいたいべ。」
青葉の凄まじいツッコミを物ともせずに足草は続けた。
「夕人くん、これは何としても茜を誘ってもらわないと困るよ。」
環菜が俺の陰に隠れるように移動して耳元で囁いた。
「ちょ・・・マジか?」
俺は環菜の顔を見ながら驚きの表情を浮かべた。
「うん、マジ。お願い。」
環菜の顔は本当に切羽詰まったような表情だ。
茜に声をかけるのはいいけれど・・・うーん、大丈夫かなぁ。でも、足草と一緒のグループになるくらいなら・・・
「わかったよ。茜に声かけてくる。悪いな、足草。俺たちの班のもう一人は、茜なんだ。」
ため息交じりに足草に宣言してみたものの、どうにも自信がない。もし断られたら・・・どうすっかな。
「お、竹中、そりゃねぇべさ。もう一人くらいなんとかならないのか?」
足草が往生際悪く食い下がってくる。
「あんたと同じグループになるくらいなら私は一人でもいいわ。」
青葉はどこまでも辛辣な言葉を吐き続けている。いくらなんでもそれは言い過ぎだろう?そう思って青葉の顔を見た。以前とは違う髪型が別の人間をイメージさせてしまう。まるで一年前のローザの髪型と同じだ。そう言えば、最近会ってないな。元気にしてるのかな、ローザ。
「じゃ、夕人、頼むぞ。」
翔に肩を叩かれながら頼まれる。その表情は真剣そのものだ。おいおい、お前もかよ。
「へいへい。わかりましたよ。」
そう返事をしながら椅子から立ち上がる。足草はなおも青葉に絡んでいるようだったが、本気で嫌がる素振りを見せる青葉にあそこまで迫れる足草。ある意味で尊敬するぜ。
そして、教室内での班決め合戦はさらに混迷を極めていくのだった。
あ、ちょっと面白そうだから言ってみただけだ。混迷とか、そんなカオスなことじゃないはずだからな。
「茜、ちょっといいかな?」
自分の席に座って何かをしている茜に後ろから声をかけた。茜は俺に声をかけられたのとほとんど同時にクルリと振り返った。
「あ、夕人くん?うん、いいよ。どうしたの?」
あ、あれ?思ったよりも普通だ。俺の自意識過剰ってことだったのか?
「あぁ、実はさ、修学旅行のグループ決めの話なんだけれどさ。一緒に・・・どうかな?」
俺はできるだけ平静を装いながら冷静に言葉を選んだ。
「うんうん。いいよ。」
あれ?おや?なんかあっさりオッケーもらったんだけれど?
「あー、それは良かった。うん。良かったよ。でさ、ひとつ聞いていいかな?」
「ん?もちろん、何?」
茜は笑みを浮かべて俺の目を見ている。まるであの日の出来事なんかなかったかのように。でも・・・なんだろう。少しだけ違うような、なんとも言えない目でこちらを見つめてくるって言うか。
「あの、そのさ、さっき環菜が誘いに来なかった?」
「ううん、来てないよ。」
「あれ?」
じゃ、さっきの環菜のアレってどういうことだ?
「さっきの環菜ちゃんは、『何やってるの?』って聞いてきただけだよ。」
おいおい、一体どういうことなんだ?環菜は茜が別のグループに入るって言っていたのに。環菜が嘘をついた?なんのために。あいつがそんな意味もない行動をするわけがない。でも、一体なんのために?
「いや、でもさ。環菜が茜は別のグループで修学旅行に臨むって言ってたから・・・」
「エェッ、そうなの?環菜ちゃんってば、私が一緒じゃイヤってことなのかな、むむっ。」
茜は頬を膨らませながら口を尖らせて、可愛らしい抗議を口にした。
「俺に聞くなよ。俺はみんなに頼まれたからここに来ただけだし。」
そうさ、翔たちに頼まれたから来ただけだ。それだけだ。
「ん・・・そっか。そうだよね。」
「あぁ。じゃ、翔には一緒でいいって伝えとくよ。」
そう言って茜にクルリと背を向ける。
「あ、待ってよ。私もみんなのとこに行くから。」
茜は席を立ち上がって俺の後をついて来た。
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それから数日後。
本来ならありえないことなんだけれど、旅行会社の方で何かトラブルがあったようだ。で、日程通りにバスを工面できないってことになったらしい。俺は詳しくは知らないけれど、親たちPTAと学校と旅行会社で大揉めになったって話だ。そりゃそうだよな。下手をすると修学旅行そのものがなくなりかねない事態だったんだからな。それに、お金だって掛かってる。修学旅行はタダで行けるわけじゃない。
翔がこっそりと話してくれた話によると、旅行会社で横領事件があったようだ。うーむ、困った大人もいたもんだ。で、旅行会社の方でもなんとかしたいっていうことだったんだけれど、無い袖は振れない。そもそもバスを確保していなかったわけだからどうしようもないってことらしい。
そして宿泊先も変更。当初は青森市の西部にあるホテルが宿泊地だったんだけれど色々あって弘前市と十和田湖周辺に変わった。当然こんな急激な変化があったら教師たちは大慌てだ。そこで、ひと月後に迫った修学旅行の内容が大きく変更されることになったってわけだ。もちろん俺たちもだ。修学旅行のしおりやいろんな計画が練り直しになったんだから。
「みんな聞いてくれっ。」
翔が教壇に立ち急に話し始めた。今は給食時間。当然ながら欠席した生徒以外は教室にいる。もちろん担任も含めて、だ。
「なんだ?杉田。給食時間中だぞ?何かどうしても今やらなきゃいけないことがあるのか?」
担任の竹原先生が『また杉田か。』と言った表情で翔のことを見ている。
「えぇ、今だとみんな話を聞いてくれると思うのでっ。」
翔は笑顔で竹原先生の問いかけに返事をした。まぁ、翔のいうことは一理ある。
「まぁ、別に構わないが。わけわからないことはやらないでくれよ?」
わけのわからないことって・・・翔ってそんなやつだと思われているのか?確かに就任演説ではやらかしはしたけれど、それ以降は大きな問題は起こしていないと思うんだけれどな。
「ありがとうございます。では。修学旅行の二日目は十和田湖周辺のホテルに宿泊するらしいよね。で、だ。俺は夜の肝試しを提案したいっ。」
翔の提案で一気に教室内がざわめく。
「おいおい、修学旅行は六月だぞ?まだ、寒いと思うんだが。」
竹原先生が冷静に翔に声を掛ける。
「ええ、確かに寒いでしょう。でも、北海道よりも暖かいことは間違いないはずっ。そして、肝試しとは何も心霊スポットなどで行うものでもないでしょう?」
翔がまるで演説をしているかのように身振り手振りで竹原先生と話をしている。俺たちクラスメートはその翔の姿を見て、少しだけ気分が盛り上がってきたようだった。
「面白そうじゃねぇか。何やろうと思ってるんだ?肝試しでさ。」
クラスメートの男子がそう問いかけた。
けれど、普通に考えたら肝試しっていうのはあれだろう?お化けが出てきたり、チェックポイント回ったりとかする、アレだよな。
「それをみんなで考えようよ。」
翔は大きく腕を開いてクラスの全員に声をかけた。
「お前のアイデアはないのかよ。」
今度は他の男子が翔をからかうかのようにそう言った。
「ないわけじゃないさ。でも、これだとありきたりかなって思っただけさ。」
翔は肩をすくめながら、そう答えた。
「杉田よ。あまりに逸脱した行動じゃないならば、俺は止めないが。計画だけはきちんと前もって話してくれよ?」
竹原先生は翔を説得することなど初めから諦めていたような口調と表情で言った。
「ありがとうございますっ。では、クラスのみんなと計画を立ててからご報告します。」
翔はそう言って先生に頭を下げ、その直後に俺たちの方に笑顔を向けて続けた。
「盛り上げて行こうぜっ。」
こんな翔を真似るなんてことは俺には難しい。あいつのキャラやトーク力があってこそだ。
俺にはどちらも足りていないと思う。第一に、あそこまでのノリで話すことなんてできやしない。あいつくらいの思い切りの良さっていうか、上手く言えないけれど、あんな性格に憧れたりもする。
それにしても修学旅行か。春休み前だったらかなり楽しみだったんだけれどな。茜とあんな感じになったし、青葉ともいい関係じゃなくなっちゃったし。同じグループになったとはいっても・・・楽しくやれる自信がないんだよな。翔はいるけれど実花ちゃんもいないし。ある意味で環菜が頼りなんだけれどさ、なんていうか・・・はぁ・・・気が重いな。
そうだ、ローザにでも聞いてみようかな。何かいいアドバイスをくれるかもしれないし。
今日、会えるかな?
日課になっている待ち合わせ場所に今日は来てくれるかな。
こういう時に連絡を取れる手段があったら便利なのにな。早く携帯電話が普及する時代になればいいのに。俺が大人になることには携帯電話や薄っぺらいテレビが普及してるのかな?カセットからCDに移り変わったみたいに。
「はぁ・・・」
窓から外を眺めてと、もう四月になったというのに未だに溶けきっていない汚れた雪がやけに目について鬱陶しかった。
修学旅行っていうのは中学校生活の中でもっとも期待していたイベントの一つじゃないでしょうか。
何が起こるのかはわからないけれど、何かが起こることを期待して。
そして、実際に何かが起こるのかは・・・自分たち次第なんですよね。




