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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第22章 寒い冬だからこそ、熱い想いで
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行動の選択は、全て過去の経験の積み重ねによるもので決まる

久しぶりの夕人と翔での二人きりでの会話になります。


 その日の夕方。翔と俺は生徒会室にいた。

 マイベストプレイスである屋上は、現在、冬季間の積雪のせいで使用不可になっている。だから、今の俺たちにとってはここがベタープレイスだった。そして、特にイベントもないこの時期は、他の生徒会役員も毎日ここに来るというわけではないというのもその理由の一つだった。


 三学期の生徒会のイベントといえば卒業式と三年生を送る会という二つだけ。卒業式は主に先生方の手伝い。本格的に忙しいのは放送委員くらい。うちの学校は音声系の仕事と照明系の仕事が割り当てられているからだ。そうは言っても実際に関わるのは委員長と他数名の選抜隊だから北田さんと誰か、ということになるんだろう。

 一方で送る会の方は生徒会主体。前年までのテンプレのようなものはあるけれど翔が生徒会長だ。例年通りのことをやろうとしているとは考えにくい。暫くしたら忙しくなってくるんだろう。


 それはそれとして、だ。

 明日はスキー学習。朝九時に学校に集合し、バス移動で近場にあるスキー場へ向かう。一日中スキー場で過ごすという割とタフなイベントだ。俺はスキーが比較的得意な方だから楽しみだけれど、運動神経がプッツリと切れている翔にとっては地獄のようなイベントだろう。現に、去年はスキーの巧さによって分けられたクラスの最下層クラスの中のさらに最下層に位置していたからな。


「なぁ翔。何から話したら良いんだ?」


 とまぁ、明日はそんなイベント日なんだけれど、とりあえずそのことは置いておこう。あいつ自身も運動神経のことは気にしているしな。それに今は、昼に聞いた実花ちゃんと茜の話の方が気になるんだよな。

 色々ともったいつけていたけれど、単に本題の話をするのが怖いというだけの話だった。


「ん?何から話したら良いって。そんなの夕人が話したいことから話せば良いんじゃないか?」


 翔は生徒会室の窓から外を眺めたまま俺の問いに答えた。外は猛烈・・・とは言わないが、朝からずっと雪が降り続いていた。


「俺の話したいことかぁ。どっちかというと昼の話の続きが聞きたいと思うんだけれど。」


 こんなことは翔にしか話せない。少しだけ照れ隠しのように目を逸らしながら聞いた。


「ん?そうだなぁ。でもさ、それを聞いてから夕人の考えを聞くっていうのはどうかと思うなぁ。夕人はさ、何と言っても賢いからな。俺の話を聞いたら今考えてることを言わなくなるかもしれないだろ?」


 翔は外を見るのをやめて、俺の方に振り返った。そしてツカツカと歩いてきて、俺の横に腰を下ろした。生徒会室と言っても会長専用の机があるというわけではない。長机が数個あって、まるで会議室のような佇まいだ。


「はぁ。敵わないよなぁ、翔。お前には。」


 全くもってこいつには敵わない。俺の考えていることなんて全部お見通しって感じだ。


「その仕草。参ったっていうサインってことで良いんだな?」


 翔はニヤリと笑って俺に顔を近づけてきた。


「仕草?」

「お前のクセ、だろうな。困った時や照れくさい時、しょっちゅう右手で頭を掻いてんだぞ?やっぱり気がついてなかったか。」


 翔は『あはは』と大声で笑った。


「しらねぇよ、そんなの。」


 なんだか気恥ずかしくなってその場から立ち上がり、窓辺に移動した。ちらっと外に目を向けるとちょうど小町が家に帰ろうとしている姿が見えた。


「お、小町だ。今日はもう帰るのか。結構早いな。」


 独り言のように呟いたつもりだったが、翔の耳にはしっかり届いていたらしい。


「本当だ。小町だな。夕人、声かけたらどうだ?」


 そういうが早いか、俺の隣に駆け寄ってきた翔は窓を開けようとする。


「バカ、今はやめとけって・・・」


 そう言ったときにはもう窓を開けてしまっていた。

 しまった、少し遅かった。この生徒会室は二階。外からもここはよく見える。そういうことであいつの非公認ファンクラブに入っている女子が、たまに顔を出す翔のことを一目見ようと出待ちみたいなことをしていることがあるんだ。

 今日に関して言えば、さっき翔が少しだけ顔を見せていたことが原因なんだろうけれどな。


「「きゃーっ。」」


 何人かの黄色い歓声が上がった。この時ばかりは翔が遠い存在に感じてしまう。


「杉田さんよっ。」

「やっぱり、かっこいいっ。」

「誰?隣の男?うざくない?」


 なんだ?どうして俺がここにいるだけで文句を言われなきゃいけないんだ?


「あー、マジか・・・最近はあんな感じに誰かがいるってことなかったからな・・・油断してたぞ。」


 そう言いながらも適当な笑顔を浮かべて手を振っている。こんなときに実花ちゃんが居てくれたらうまく対処してくれそうな気がするけれど、今日は委員会の会議とかでここには居ない。


「翔よ、用がないなら窓、閉めようぜ。寒いし、何よりめんどくさい。」


 俺はそう言ってつまらなそうに窓に手をかけた。そしてちらっと小町に目線を向けた。


「夕人ー、また明日ね。」


 まるでその瞬間を待っていたかのように小町が手を振りながらそう言った。


「あ?」


 俺はあまりに意外な言葉に声を失う。


*******************************


「ちゃんと応えてやれよ。小町が声をかけたんだぞ?」


 夕人は自覚していないんだよな、全くさ。あいつ、本当はかなり女子たちからモテているってことに。


「なんでだよ。別に、放っておけばいんだよ。」


 憮然とした表情を浮かべながらも、小町に軽く手を振った仕草を俺が見逃すわけがないだろう。それは小町が浮かべた笑顔が全てを物語っている。


「そうかい。じゃ、とりあえず、窓とカーテンを閉めようか。」


 俺はそう言って窓を閉め、カーテンに手をかけた。夕人はというと、なんだかんだで笑みを浮かべていた。


「そうだな。めんどくせぇな、全く。」


 生徒会室は通常の白い日除けのカーテンと黒い暗幕の二枚のカーテンがある。俺はあえて暗幕のカーテンを引くことにした。夕人もそれに従って俺と反対側の暗幕を引く。


「はは、本当だよ。厄介なことこの上ないな。」


 俺はそう応えながらも考え事をしていた。

 実花が言うには非公認ファンクラブっていうのがあって、何人かの生徒が加入しているということらしい。正直に言えば本当に迷惑な話なのだが、俺がどうこうしたらなんとかなる問題でもないので放置してある。しかし、そろそろ何かを考えないといけないだろうな。今はまだ、俺に面倒が及ぶだけのことが多いが、そのうちもっと大きな面倒が起こるに違いないだろうからな。


「あれ、なんとかしないとこれからも面倒だぞ?」


 夕人は俺と同じことを考えてくれていたみたいだ。そうなんだよな。考えがシンクロするようなところが夕人といて楽しいって思えるんだよ。


「そうだよなぁ。なんかいい方法ないかな、とは考えてる。」


 ため息交じりに手近にあった椅子に腰を下ろした。


「暗いなぁ。部屋もお前も。とりあえず明かり、点けっぞ。」


 夕人はそう言ってスイッチを押し、生徒会室が一気に明るくなる。


「ありがとう。ま、この話はいいんだ。今はな。とりあえずは・・・」


 そう言って夕人の元に歩いていき、右の拳であいつの胸を軽く突く。


「お前の話だ。」


 そう言ってニヤッと笑みを浮かべる。


「はぁ・・・やっぱ忘れてなかったのか。」


 夕人は軽く首を横に振りながら言った。あいつのことだから何を話すべきなのか、と考えているんだろう。だったら、俺から何かを切り出す必要はない。

 夕人に背を向けて初めに座っていた椅子のところまで歩いていき、そこに腰を下ろして夕人を待った。


「なぁ、翔。俺ってさ、どうしたらいいんだろうな。」


 夕人は俺の近くの長机に腰を下ろしてそう切り出した。


「ん、何についてだよ。それじゃ俺にも答えようがない。」


 あえて意地悪く夕人を突き放す。いや、突き放したわけじゃないな。あいつ自身がちゃんと考える機会を・・・ってなんだか偉そうだな、俺。


「そうだよな。今のはダメだ。うん、あのさ・・・」


 夕人は色々と考えているようだが、結局は東山さんのことを引きずっているとしか考えられないんだよな。二年生になって吹っ切れたようにもみえていた。でも、やっぱりどこかであの子の姿を追いかけているんじゃないか。俺にはそう思えてならなかった。


「いいぞ、ゆっくりで。まだもう少し時間があるさ。」


 今は十七時を少し回ったくらいだ。実花がやって来るまでまだ少し時間があるだろう。


「あぁ、悪いな。なんていうか、どう話していいのかわからなくてさ。」

「ほほぅ。何について話したいのか。まずそこだよな。」


 できるだけ誘導はしたくない。あいつの想いを素直に聞こう。それが俺の今日の目標だった。


******************************


「茜のことだ。」


 俺は大きく息を吐きながら言った。最初の一言を口に出すまではしんどかったが、一度口に出してしまうと思ったより楽な気持ちになったのが不思議だった。


「茜、ね。それがどうしたんだ?」


 いつもの翔らしくなく相槌を打つ程度で何も言ってくれない。なんだよ。もうちょっとさぁ、俺の言いたいことを汲み取ってくれよ。


「茜ってさ、可愛いよな。」

「そうだな。」

「うん。そうだよな。」

「だな。」


 違う。俺は何を言ってるんだ?いや、違わないけどさ。もっとこう、言いたいことは違うんだ。


「うん。まぁ、そういうことだ。」

「どういうことだよ。」


 翔は俺の言いたいことが伝わらないような奴じゃないのに、ただ座ったまま俺の話を聞いている。


「な?わかるだろう?俺の言いたいこと。」

「全然わからん。お前が言ったのは茜が可愛いってことだけだ。そんなのは誰だって知ってるさ。」


 翔は立ち上がって俺の隣に移動してきた。


「だよなぁ。」

「・・・」


 翔は何も言わない。ただ、横で腕組みをしたまま俺の言葉を待っている。


「・・・あのさ?」

「なんだ?」

「去年の学校祭のこと、覚えてるか?」


 俺は遠回しに話を進めようと思ったはずなのに、一番の核心的なところを話題にしてしまったような気がする。


「忘れるわけないだろう。お前と茜の素晴らしい演技。それからクラスみんなで協力してやりきったあの感動。すごくよかったよな。」


 こういうことをはっきりと口に出せるっていうのが翔なんだよな。俺にはちょっと言えない。


「あぁ、まぁ、俺の演技は置いておいて、茜の演技はすごかったな。」

「そうだな、俺もさすがだなぁとは思った。正直にいうと、小町よりも茜の方が『おとき』って役には向いていたかもしれないな。」


 翔は監督だから演出とかイメージとかそういうところを大事に考えるんだろうな。


「そうか?確かに茜の演技は良かったよ。でも、小町との一緒に練習した時間は楽しかったぞ。」


 だからか?俺はちょっとだけムッとした。自分だって茜の演技は素晴らしいとは思ったけど。だけどさ、それじゃ小町がかわいそうだろう。

 俺は思わず長机から立ち上がって翔を見ながらそう言った。


「ん?すまん、そういうつもりじゃないさ。小町は小町できっと茜とは違う『おとき』を演じただろうさ。でもさ、結果は茜が演じた。そしてあの大成功だ。クラスの俺たちはそれまでのいろいろなことを知っているから、複雑な思いであの舞台を見ていた。けどさ、他の観客は知らないだろう?茜が実は代役だなんてこと。俺はそれを言っただけさ。」


 翔の結果主義とでもいうところなのだろうか。理解はできるけど簡単に納得はできない。


「そうか。お前はそういう考えか。」

「そうだよ。それが事実だからな。」


 事実。そう言った翔の言葉で現実に戻される。


「そうだな・・・その通りだ。」


 俺は冷静になって再び腰を下ろす。


「で、話を戻すか。学校祭がどうしたんだ?」


 翔は何事もなかったかのように冷静に尋ねてくる。


「あ・・・そうだな。俺さ、あのとき茜が可愛いなって思ったんだ。」

「そっか。それまではそう思ってなかったのか?」


 翔はどんどん突っ込んでくる。思ってなかったわけないだろう。なんでそんなこと聞くんだよ。


「まさか。初めて会った時から可愛い子だなって思ってたさ。でもな?それだけだ。それだけだったんだよ。」


 そう、多分それだけだった。夏休みのあのときまでは。そして学校祭の出来事。思い出すだけでも胸がドキドキしてくる。


「それだけだったのか。」

「まぁな。俺さ、よくわからなくなってたんだ。好きっていう気持ち。東山さんの時みたいに、なんだか盛り上がる気持ちっていうのか?話していて楽しいな、一緒にいて楽しいな。もっと一緒にいたいな。ってそういう気持ちが・・・」


 俺は何を言っているのだろう。自分でもよくわからない。けれど、おそらくは、きっと自分の想いのはずだ。翔以外には絶対に言いたくない想いだった。


「そうか・・・そうなんだな。」


 翔は大きく息を吸い、そして吐いた。それがどういうことを意味しているのか俺にはわからなかったけれど。


「あぁ。多分。うまくは言えてないけどな。」

「でもさ、お前、最近は茜としょっちゅう話してるんだろう?」


 それが実花ちゃんから聞いたっていう話なのか?


「まぁな。夏ころから茜に勉強を教えたりしていたからさ。いろいろ話しかけてたんだけどさ・・・それだけのつもりだったよ。」


 実際のところ、本当にそれだけだったのか、今となると違うような気がしてならない。


「そっか。あ、言っておくけど、実花が言ってた話ってのは俺がちょっと盛ってる。茜自身はちょっかいをかけられたなんて言ってないと思うぞ。」


 翔がニヤッと笑いながら俺の顔を見る。


「お前・・・騙したな?」

「騙してないさ。実花が何かの相談をされたってのは本当みたいだからな。実際のところ俺も話は聞いてないんだ。で、単刀直入に聞くけどさ、お前、茜のことが好きなのか?」


 翔がズバッと核心を切り出してきた。


「わからないんだ。気にはなってる・・・と思う。でも、あの時みたいには思えないんだよ。」


 そう、茜は可愛いし、その、キスもされたりしたけど・・・それでもさ。何て言ったらいいんだろう。


「東山さんかぁ。あの子はある意味で完璧な子だったからなぁ。」


 翔が長机に体を投げ出すようにそう言い、話を変えてきた。


「完璧?」


 俺は隣で寝転がっている翔の顔を見ながら尋ねた。

 東山さんか。俺の中ではもう、友達としてしか考えていないつもりだけど。


「だってそうだろう?みんなに優しくて、可愛らしくて、何と言っても夕人のことを好きだったじゃないか。」


 翔は事も無げにそう言ったが、俺は少し辛かった。一年以上も経っているのにな。


「そうだな。」


 俺の言葉と同時に翔が起き上がって俺の肩を掴んだ。


「あのさ、もう東山さんはいないんだ。いや、別にこの世にって言う事じゃなく、この学校に、札幌にいないんだ。俺たちみたいな中学生じゃ会いに行くことだって出来やしない。手紙のやり取りはしているって聞いたけどさ。もう、忘れろよ。ちゃんと現実を見ろよ。」

「現実を見ろ?見てるさ。もちろん。」


 翔の顔を見ながら俺は驚きの表情を浮かべていただろう。


「いや、見てないね。お前は未だにあの子の背中を追いかけている。いや、あの子の代わりを探していると言ってもいいと思う。わかるよ?お前の気持ちは。でもさ、あの子だってちゃんと向こうで自分の人生を生きているんだ。お前だってちゃんと見ろよ。こっちの子たちを見てやれよ。お前が思っている以上にお前のことを見ている子がいっぱいいるんだぞ?お前はそんな子達を今はいない子が好きだっていう思いだけで見て見ないふりをするつもりなのか?」


 一気に翔に畳み掛けられた。そのとても真剣な表情に俺はたじろいだ。


「そんなつもりはないけど・・・」

「だったら。」


 翔は長机から立ち上がり、俺の正面に立った。


「もっと自分の気持ちに素直になればいいさ。」


 そう言って笑った。

 翔の笑顔。こんなに眩しいものなのか。きちんと現実を捉えて、前を見ているあいつの顔。俺との大きな違いはきっとそこなんだろう。


 ・・・いや、元の作りのことは言わないでくれよ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


夕人なりに色々と考えているようですけれど、翔の方が一歩も二歩も先に成長しているようです。

それにしても、本当に中学生なのか、翔・・・



ということで(どういうこと?)、久しぶりにインタビューを決行してみます!


蛍石:どうもどうも。今まで何度も名前は登場していました、東山明菜さんです!

明菜:はい、東山です。ご無沙汰していました、みなさん。

蛍石:ほんとうですねぇ。まるまる一年間登場シーンがありませんでしたからね。

明菜:そうですね、もう一年ですか。過ぎてしまうとあっという間ですね。

蛍石:本当にそうですね。誰にでも平等なのが時間だけなんて言う言葉がありますけれど。

明菜:はぁ・・・

蛍石:ごほん、えーっとですね、今更ながらにご登場いただいたのはですね、もちろん夕人の件についてですよ。もちろん、予想はしていましたよね?

明菜:えぇ、それはもちろん。

蛍石:今まで何度声をかけても拒否されていましたからねぇ。ようやく念願かなったってところです。

明菜:え?そうでしたっけ・・・?

蛍石:(ギクッ)そうですよー、忘れたんですか?一年前にも声をかけたじゃないですか。

明菜:??全然記憶にないんですけど・・・

蛍石:いいです、記憶になくてもかまわないです。では、さっそく本題に入りますけれど、準備はよろしいですか?

明菜:はい、大丈夫ですよ。

蛍石:えと、今回は三点お聞きしたいのですけれど。

明菜:そんなにあるんですか?

蛍石:はい!大丈夫です。他の人には絶対に言いませんからっ!特に夕人には。

明菜:・・・何を聞こうとしてるんです?

蛍石:そんなに警戒しないでくださいよ。女同士じゃないですか。

明菜:まぁ・・・いいですけど・・・え?何を言ってるんです?

蛍石:まぁまぁ。細かいところは置いておいて。では、まず初めの質問です!引っ越されてからは何をしていたんですか?

明菜:え?細かいところって・・・えーっと、引っ越してからですか?そんなことを聞いてどうするんです?もちろん普通に学校に通ってましたけど。そんなことで3つのうちの1つを使ってよかったんですか?

蛍石:いいんです。最後に爆弾投下しますから!

明菜:・・・それは嫌です。

蛍石:では二つ目!今でも夕人が好きですか?

明菜:もちろん好きですよ。あの時とは違う意味でもありますけどね。

蛍石:おぉーっと、これは爆弾発言です!ということは手紙でもそんな内容で話をしているのですか?

明菜:それで三つ目ですよ?いいんですか?

蛍石:ぐっ・・・結構冷静ですね・・・

明菜:えぇ、あれから一年たってだいぶ大人になりました。(ニッコリ)

蛍石:・・・どうしよう、三つなんて言わなきゃよかった・・・

明菜:いいですよ、もっと聞いてくれても。でも、時間があまりないですよ?

蛍石:え?時間?

明菜:だって、電車の時間まであと少しですよ?蛍石さん。大丈夫ですか?

蛍石:うわぁ、強行スケジュールのせいで滞在時間が・・・

明菜:ふふふ、もっとゆっくり来てくださればおいしい餃子のお店にも行けたのに。残念ですね。

蛍石:ギョーザですか?

明菜:そうですよ。宇都宮の名物ですから。

蛍石:そうでした。新幹線の駅で買います!東京までだとあと残された時間は・・・

明菜:たぶん、あと15分位じゃないですか?ここが駅の近くで良かったですね。

蛍石:くっそ・・・栃木に空港が無いだなんて・・・

明菜:そんなこと言っても仕方がないじゃないですか。さ、最後の質問をどうぞ。

蛍石:うぅ・・・せっかく宇都宮まで来たのに・・・じゃ・・・最後の質問です。

明菜:よく、考えたほうがいいですよ?本当に時間ないですから。もうすぐ新幹線が来ますよ。

蛍石:飛行機の予約なんかしてなければ・・・って、じゃ聞きますよ?今の夕人への気持ちを教えてください!

明菜:そうですね・・・そう来ると思ってました。その質問への答えはですね、キョンキョンの歌なんですけれど、『あなたに会えてよかった』って歌があるんです。

蛍石:はぁ・・・帰りにCD買ってみますよ・・・

明菜:そんな感じですね。

蛍石:・・・え?それが答えですか?

明菜:はい。じゃ、もう時間ですね。餃子を買って、お気を付けてお帰りください。ともちゃんによろしく伝えてくださいね。あ、もちろん、夕人くんたちにも・・・

蛍石:はい・・・では、また・・・

明菜:あ、最後に私から質問が!

蛍石:な、なんですか?

明菜:私の出番ってもうないんですか?

蛍石:・・・えーっと・・・

明菜:夕人くん、彼女できました?

蛍石:・・・んー・・・

明菜:うふふ、いいんです。私、夕人くんに恋ができて幸せでしたから。では、またお会いしましょう。さようなら、蛍石さん。

蛍石:あ、はい・・・またお会いしましょう。


 何とか新幹線には間に合いましたが・・・もっといろいろ聞きたかったです。取材とはいえ、自腹の移動はシンドイ・・・とりあえず、さっき言われた曲でも聞いてみますか・・・

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