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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第1章 Sweet Bitter Memories
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カエサルの気持ちがわかる気がするぞ

虹色ライラックの続編となりますが、前作を読んでいなくても、楽しめるようになっています!


タイトルは「それでも、俺のライラックは虹色に咲く。」に変わっています。


どう言った展開になっていくのか、タイトルが変わった理由と共にお楽しみいただけると嬉しく思います。

 今日は、三月十五日。中学生活最後のイベント、卒業式。

 でも、その式もすでに終了して数日。

 それにも関わらず、俺は親友の翔たちと一緒に話をしている。


「いやぁ、それにしても一年生の時か、なつかしいなぁ。」


 懐かしい?まぁ、そう言われても仕方ない。でも、中学の出鼻からヘビーなことがあったからな。懐かしいというよりは、大変だった。何よりも切なかった。

 俺と話しているの彼の名前は杉田翔すぎたかける。中学入学を機に、群馬から北海道に転校してきた。こいつは超の字がつくほど優秀で、かつ空気も読める。さらにイケメンという腹立たしいことこの上ない男だ。もっとも最近はアニメに深く傾倒しているようだ。


「まぁ、いきなり番長格の先輩に絡まれるなんて、よっぽどじゃないとないもんね?」


 なかなか言ってくれる。彼女の名前は、栗林実花くりばやしみか。杉田の彼女だ。三年間でいろいろあったけどずっと杉田一筋だ。だからか?彼女も杉田の影響を受けてアニメにハマってきているようだ。


「まだ、その話するのかよ?もう、いい加減忘れてくれよぉ。」


「そうは言っても、あれが夕人くんの第一印象だからねぇ。そう簡単に忘れるなんてことできないでしょう?」


 またまた、そんなこと言うなよ、環菜。彼女は、玉置環菜たまきかんな。俺や杉田とは三年間同じクラスだった女の子だ。一年生のころから変わらず、男子からも女子からも人気がある才女だ。


「それはお互い様だろ?環菜。お前だって、あれでいろいろ大変だったんだからさ。」


 そう、俺が番長の川井さんに絡まれたのは彼女が原因だ。とは言っても、彼女が何かしたわけじゃない。彼女は小学校のころから可愛いことで評判だったらしい。らしい、というのも、俺は違う小学校出身だからよくは知らないからだ。あくまでも聞いただけの話。で、その彼女が入学してきたってことで先輩たちが突然教室にやってきたのだ。それで、まぁ、いろいろあったわけだが、その内容については今はいいだろう?とにかく、そんなことがあったんだから、それはそれで、なかなか大変だったよなぁ。


「でもさ?二年生の時って、夕人くんは、結構、青春してたんじゃない?」


 また、そんな余計なことを・・・。彼女は、小暮茜こぐれあかね。二年生からのクラスメートで環菜の友達の一人。スラッとした長身と、その美貌から将来はモデルになるんじゃないかという噂があるくらいだ。俺個人としてはもうちょっとお勉強を頑張るべきとは思うのだけど、彼女には彼女に道があるんだろうからな。俺が言うべきことじゃないだろう。


「青春ねぇ。ちょっと懐かしいね。夕人。」


 おい・・・。なんでそんな意味深な言い方するんだよ。彼女の名前は、青葉小町あおばこまち。彼女も二年生の時からのクラスメートだが、出会いは一年の夏頃だった。あの頃は背が小さくて小学生かと思ったくらいだ。・・・今でも小さいけどな。


「懐かしいとかいうなよ。そんなに昔のことじゃないでしょうよ?」

「そうだけどさ。やっぱり懐かしいよ。思い出しちゃうね。あの時の夕人くん、かっこよかったしね。」


 あの時?あの時ってなんだ?


「なんだよ、夕人。お前、ま~~だ、なんか面白いこと隠してるのか?」

「隠してないって。お前だって知ってるだろう?一緒にいたんだからさ。」


 そう、翔は俺の親友。こいつがいてくれたおかげで今の俺があるといっても過言ではないだろう。


「そうかねぇ。な~~んか、隠してないかい?」

「ないない。」

「そうなの?あのことも話したの?」


 あのこと?何言いだすんだよ、小町。大体あのことって、どのことだよ?


「なになに?あのことって。めっちゃ興味あるんだけど。」


 実花ちゃんまで悪乗りしてくる。


「だよねぇ。興味あるよね?」

「いい加減にしろよ?小町。頭をグリグリしてその小さい身長をさらに縮めるぞ?」

「なんだとぉ?できるもんならやってみなよっ。」


 小町が小さな胸を張ってグイグイ迫ってくる。


「まぁまぁ、こらえて。でも、何があったのかは気になるよね。」


 茜まで・・・。勘弁してくれよ。


「なんでそんなに気になるんだよ。知ってるだろ?大体のことは。クラスメートだったんだからさ。」

「そりゃ、ね。でもさ。夕人くんの反省会なんだからぜ~~んぶ、包み隠さず話すべきなんじゃない?」

「いつから、そんなことになってんだよ。」


 大体、反省会ってなんだよ。俺の反省会じゃなくてみんなの反省会でいいだろう?っていうかなんで反省しなきゃならないんだよ。


「そりゃ、お前が一年生の時のことをつまびらかに話すからだろうよ。」


 あぁ、まぁ、そうか。翔が言うのも、もっともかも知れない。彼女のことは俺の中に今でも確かにしっかり残っている。忘れることなんてできないだろうな。


「あれはドラマチックだったよねぇ。」


 環菜が目を閉じながらそう言う。


「ほんとに。まさか教室で告白しちゃうなんてねぇ。」


 実花ちゃんは少しうっとりしたような表情で言う。


「結構、いろんな奴が聞いてたもんな。俺を含めて。ほら、あれだよ。『教室の中心で、愛を叫ぶ』みたいな。」


 お前ら・・・、いい加減にしろって。


「まぁ、そんなことだからね、竹中夕人、中学校二年生編の反省会、行ってみよっか。」


 環菜。お前もか。カエサルの気持ちがわかる気がするぞ。



 そう言えば、俺の名前は散々出てきているけど今更ながらに自己紹介しとこう。

 俺は、竹中夕人たけなかゆうと。勉強はキライだけど、成績はまぁまぁ良かった。背は少し伸びて今は175センチくらいになった。でもなぁ、イケメンではないし。まったく、超イケメンで超優秀な翔といるとコンプレックスの塊になりそうだ。



 そして、今日、日之出ヶ丘中学を卒業する。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


卒業式から始まりましたが、ここから時間は遡って行きます。

この六人が紡いできた物語をここから少しづつ描いて行きたいと思います。

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