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「2016.12月の感傷人格が書いたもの」

「愛言葉」

作者: ちなつ。

 楽しいことがあると、

 それは私に相応しくない気がして。

 深夜2時、誰もいない7ブンイレブン。


 嬉しいことがあると、

 それが私に似合ってはいけない気がして。

 今週二度目のドラッグストア。


 剃刀を買って来て。

 浴槽を39℃に設定したら。

 一回彼にラインして。

 私のことを思い出してもらう。


「待っているから。」


(遊園地の帰り道繋いだ手が温かすぎて私の中の何かが壊れそうになるけれど大切なものを失くしたくないから涙をそっと我慢して楽しかったねと微笑んでみたりしてうんって笑ってもらえて嬉しかったからそれでまた涙を我慢して幸せを感じてけれどなぜだかそれは私には大きすぎるみたいでとてもふさわしくないような気がして似合ってはいけないような気がして胸の中に幸せが膨らみ過ぎて私を飲み込んで殺してしまいそうなそんな恐怖感に襲われるからだからだからだから。)


(《楽しいと嬉しい》を《可哀想》で相殺することで気持ちを平坦に落ち着かせないといけない。)


(怖い気持ちを流す血を見ることで忘れないといけない。)


 一度だけで良いから。


 愛してるって言って。


 ちゃんと私を見て愛してるって言って。


『可愛いから好き。』


 ではなくて。


 私を愛してるって言って。


 私だから好きだって言って。


 だってだってだって。


 私より可愛い人が君の前に現れっちゃったらさ、


 私どうなるの?


 まだ好きでいてもらえるの?


 可愛いから好きだって、その子にそう言って、


 私を捨ててしまう?


 ねえ。


 私は君が好き。


 君だから好き。


 君よりもカッコいい人がいたって、ね。


 君が好き。


 だから。


 言って。


 私を好きって。


 私だから好きって。


 愛してるって。


 そう言って。


【38℃】


 インターホンが鳴った。


 君はちょっと焦った顔をして。


 私から小さな刃を取り上げる。


 そうして私の手をひいて夜の街へと連れて行くんだ。


 でも、今日も。


 やっぱり、今日も。


 君からの愛言葉が聞けない。

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