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第四枝『愛』
今思えば、
生きる『意味』があったときは、
僕は動いていたのかもしれない。
名前も知らない他人を助けるため、
今にも死んでしまいそうな動植物を救うため、
何度となく傷ついて、
ボロボロの体を引きずってでも、
待っている彼女のために、
毎日帰った。
「おかえり」の声が、
どんな痛みも癒してくれた。
傷を治してくれる彼女が
果てしなくいとおしかった。
でもあの日、
「すぐ戻ってくるからね」
そう言って出て行った。
彼女を待っている間に、
僕は生きる意味を、
見失ってしまったんだ。