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感情論  作者: 楸 椿榎
2/7

第二枝『慈』

そもそも、僕は何故作られたの?

「うーん、最初は私の気を紛らわすためだったんだけど、途中から少し方向を変えてね。世界の平和を、目に見える範囲だけでもどうにかして確保することはできないのかって思ったのよ。ある、災害がきっかけでね」

 災害?

「そう。人災よ。私の両親は軽自動車に乗ってたときに、不注意運転していたトラックに惹かれて死んだの。こんな変わり者の娘でも、ちゃんと分かってくれたいい両親だった。それが、他人の不注意で殺された。こんなの嫌だって思った。そのときにね、ロボット開発を進めていって、人間を守れるロボットを作りたいと思ったの。地域管理者が使ってるような、ある一定の範囲内を巡回するだけのロボットじゃなく、自分の意思で動けるロボットを。それが、あなたよ」

 そっか。それで僕は生まれたのか。

「ええ。装備に関しては、少し詰め込みすぎたかなってくらい詰めておいたよ」

 ……それは、この国の法律に違反するんじゃあ。

「大丈夫大丈夫、レールガンを縛る法律は、この国にはないから」

 うーん、そういうものなのか。

「そういうものよ。気になるならネットで調べてみなさいな。つけておいたはずよ」

 今確認したよ。確かにそんな法律はなかった。

「はや、流石ね」

 それは、あんまりうれしくないな。

「ああ、ごめんごめん。計算速いっていうと、ロボットだってこと、強く認識しちゃうよね」

 その言葉が一番ひどいよ

「あ! ごめん! ごめんね? そんなつもりじゃあ」

 ……ふふっ。

「?」

 冗談だよ、冗談。

「な、なによもうー!」

 ちょっとからかってみたくなって。

「そんな人には、今日の夕食あげません!」

 え!? それは勘弁してよぉ。

「……ふふっ」

 ?

「仕返し大成功♪」

 ああ! やられた!

「ふふ。それじゃあ、夕飯の買い物にでもいきましょ」

 うん、そうだね。いこう。





「さてと。具材は全部買ったねぇ、っと、よし。それじゃ、帰ろ」

 うん。

 ―コロコロコロ―

「ん? あれは……」

 サッカーボールだね。そこの公園から出てきたけど。あ、道に出ちゃった。

「ぼーる、ぼーる」

「あの子、道に飛び出しちゃって! 向こうから車来てるのに!」

 緊急モードに移行。

 目標を補足。

 脚部スラスタを展開。

「QI。まさかこんなに早く使うとはね」

 GO。

 ―ガッシャーーーーン!―

 衝撃吸収完了。

 少年の無事を確認。

「う、う、うううわーーーーーん! おがあざーーーーん!」

 ―タッタッタッタ―

「もう! 道に飛び出しちゃ駄目って言ってるでしょ! 危ないからって!」

「ごめ、んなざい」

「もうやらない?」

「う、うん。やら、ないっ」

「よしよし。怖かったね。あなたも、ありがとうございました」

 いえいえ、どういたしまして。僕はいいので、子供さんに構ってあげてください。

「なんとお礼を言ってよいやら……。ほら、あんたもお礼言いなさい」

「あ、ありがとっ。おにぃっさん」

 どういたしまして。これからは、右左をよく見てから渡るんだよ?

 ―コクッ―

 よしよし、それじゃあね。

「うん、ばいばい、お兄ちゃん」

「それじゃあ、失礼します」

 失礼します。

 ―タタタタタ―

「QI、大丈夫?」

 うーん、少し無茶したかも。加減がわかんなくて。

「家に帰ったら、直してあげるから、それまでがまんしてね?」

 うん、わかったよ。

「あのー、すみません。大丈夫ですかね?」

 あー、運転手さん。どうもすみませんでした。






「結局、トラックは少し破損したけどこっちも傷ついてるから、なにも請求しないってことで双方丸く治めよう……って、これひどくない!? こっちは生身でやられてるし、運が悪ければあの子もただじゃ済まなかったんだよ!?」

 まあいいじゃん、無事に済んだんだから。

「あんたが無事じゃない!」

 もともとこういうことのために僕はいるんだから、しょうがないよ。

「むう。はい、これで治療完了!」

 ―ベシッ―

 痛っ!

「体を大事にしなさいってことよ! あなたはあなたしかいないんだから!」

 七偲……。ありがとう。

「ふん、わかってくれればいいのよ。さっ、夕食作らなきゃ」

 今日は何?

「あなたのすきなビーフシチューよ」

 それはご馳走だね。

「うん、腕によりをかけて作っちゃうからね!」

 うん、楽しみにしておくよ。

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