表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

灯りのあるこの街で (短編集)

巨大な大砲

作者: 新垣 電燈

本当に突然だった。

巫住山あたりから巨大な生物達が現れた。その生物は皆人間のように二足歩行で、学校などの建物と同じぐらいの高さがあった。彼らは周囲を見まわしながら歩いて行った。


「地球を侵略しに来たんだ!」

「テレビの見すぎだ!彼らは我々と友好関係を築こうと地球に来たんだ!」


どちらにせよテレビの見すぎだと思うが、皆口々に意見を言いあった。巨大生物達はそんな口論の様子をただ見ていた。

この緊急事態に、国の大統領が現地に赴いた。大統領はメガホンを手にとり、巨人に向かって言った。

「あなたがたがこの星にきた目的は何ですか」


無謀とは分かっていたが日本語で話した。すると、巨大生物は大統領の方に近づいた。そして大きな筒のようなものを取り出して、大統領に向けて構えた。その筒にはスイッチと思われるものがたくさんついていた。

「大砲だ!」

「レーザー砲だ!」

「大統領を殺す気だ!」

「隊長!砲撃命令を!」

大混乱に陥った。しかし軍の隊長は、

「いや、こちらから攻撃するのは危険だ。」

と、冷静な判断を下した。

「今はそんな場合じゃ」

「うるさい!今がその時だ!」

軍は言い争い、一般人はただ、様子を見守ることしかできなかった。



その瞬間、まばゆい閃光が巨大な筒から発せられた。

「何だ!閃光弾か?」

その場にいたほとんどの人の目をくらませた。まともに動くことができない。気絶した者もいる。このままこの星は制圧される。誰もがそう思った。



だがしかし、巨大生物は、何もしなかった。閃光弾は光と爆音により相手を無力化するものである。普通ならこの後、相手を捕獲して制圧するはずである。なのに、この巨大生物は地球制圧を宣言することなく、人達を捕虜にすることもなく、ただ閃光を何度も発し続けた。

「一体こいつらは何がしたいんだ!?」

巨大生物達が話している言葉は分からない。何がしたいのか分からないので、攻撃もできず、硬直状態が続いた。

巨大生物は、巨大生物の言葉で「かわいい、かわいい」と言いながら、手に持っているカメラで写真を撮り続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 地球人の騒ぎっぷりと、巨大生物の落ち着きのギャップがおもしろいです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ