巨大な大砲
本当に突然だった。
巫住山あたりから巨大な生物達が現れた。その生物は皆人間のように二足歩行で、学校などの建物と同じぐらいの高さがあった。彼らは周囲を見まわしながら歩いて行った。
「地球を侵略しに来たんだ!」
「テレビの見すぎだ!彼らは我々と友好関係を築こうと地球に来たんだ!」
どちらにせよテレビの見すぎだと思うが、皆口々に意見を言いあった。巨大生物達はそんな口論の様子をただ見ていた。
この緊急事態に、国の大統領が現地に赴いた。大統領はメガホンを手にとり、巨人に向かって言った。
「あなたがたがこの星にきた目的は何ですか」
無謀とは分かっていたが日本語で話した。すると、巨大生物は大統領の方に近づいた。そして大きな筒のようなものを取り出して、大統領に向けて構えた。その筒にはスイッチと思われるものがたくさんついていた。
「大砲だ!」
「レーザー砲だ!」
「大統領を殺す気だ!」
「隊長!砲撃命令を!」
大混乱に陥った。しかし軍の隊長は、
「いや、こちらから攻撃するのは危険だ。」
と、冷静な判断を下した。
「今はそんな場合じゃ」
「うるさい!今がその時だ!」
軍は言い争い、一般人はただ、様子を見守ることしかできなかった。
その瞬間、まばゆい閃光が巨大な筒から発せられた。
「何だ!閃光弾か?」
その場にいたほとんどの人の目をくらませた。まともに動くことができない。気絶した者もいる。このままこの星は制圧される。誰もがそう思った。
だがしかし、巨大生物は、何もしなかった。閃光弾は光と爆音により相手を無力化するものである。普通ならこの後、相手を捕獲して制圧するはずである。なのに、この巨大生物は地球制圧を宣言することなく、人達を捕虜にすることもなく、ただ閃光を何度も発し続けた。
「一体こいつらは何がしたいんだ!?」
巨大生物達が話している言葉は分からない。何がしたいのか分からないので、攻撃もできず、硬直状態が続いた。
巨大生物は、巨大生物の言葉で「かわいい、かわいい」と言いながら、手に持っているカメラで写真を撮り続けた。