悪魔殺しの少女の過去と旅立ち
私は夏海14歳よ、苗字はとある理由により捨てたわ。
ー2年前ー
「キミたちはボクへの生け贄に選ばれた」
そういって、悪魔は笑った。
「なぜ、俺たちなんだ、俺たちがなにかしたのか?」
「ボクに聞かれてもわかるわけないよ、キミたちの村の人が決めたことだからね」
「そんなはずはない!昔から村には悪い行いをした人が生け贄として指名されるという言い伝えがあるんだ!」
「それは村の上役たちが邪魔になる人を都合よく消すために作ったシステムなんだよ」
「・・・そんな・・・」
「なぜ、私達家族が・・・」
「キミたちは村人の信頼を得すぎたんだよ」
それを聞いた両親は愕然として何も言えなくなりました。
「もう、いいかな?そろそろ、生け贄としての役割を果たしてもらうよ」
「ま、待ってください・・・せめて、娘は娘だけは助けてください!」
「ママ、なに言ってるの・・・」
「ボクがなぜ見逃さないといけないのかな?」
「娘を逃がしてくれないのなら、ここで自害します」
「それは困るよ!死なれたら、生け贄としての意味がないし・・・」
「では、娘を見逃してくれますか?」
「ママ、やめてよ!ママとパパと離ればなれになるなんて嫌だよ!」
「夏海わがままを言わないでくれ・・・」
「パパもなに言ってるの!」
「なっちゃん、ママからの最後のお願いよ・・・」
「さあ、そろそろキミたちの命を頂くよ!」
そういうと、悪魔から黒い霧のようなものが出て、母親と父親を喰らいました。
「ママ、パパ~!」
「ごちそうさま・・・キミのことは食べないから安心して」
「ママとパパを返せ!」
夏海は悪魔を殴ろうとしましたが、すり抜けました。
「ごめんね、キミの相手は今はまだできないんだ、じゃあね~」
「うわぁぁぁぁぁ~ママぁ、パパぁ~」
そして、私の意識は途切れました。
私は眠っているような不思議な感覚に戸惑っていると、
なにもないはずの空間から突然声をかけられました。
「汝、力を欲するか?」
「あなた、だれ?」
「我は神なり。再度問う、汝、力を欲するか?」
「私は両親を殺した村の人と悪魔に復讐したい」
「悪魔を殺してくれるならば、なんでもよい」
「悪魔は・・・ママとパパの仇は必ず殺すわ」
「では、汝に力を授けよう、力の名は<全てを司る者>」
<全てを司る者>
焔、氷、風、雷などすべての事象を司ることができる。
相手の異能・異端に干渉することもできる。
※とある条件下において、相手の異能・異端を使うことができるようになる。
発動条件
以下の条件をすべて満たしていることで発動できる。
①異能・異端を見ていること
②異能・異端を相殺していること
③異能・異端の名前を知っていること
急に無理やり頭に情報が送り込まれた。
「うえぇー、気持ち悪い・・・」
「耐えられたようで、なにより」
「いきなり、なにするのよ!」
「汝の怒りももっともだとは思うが方法が他にはなかったのだ」
「まあ、いいわ。これで、悪魔を殺せるの?」
「いいや、それだけでは不可能じゃ、このナイフを悪魔に刺すのだ!」
そういって、神(自称)はナイフを差し出してきました。
<神聖剣>
神の力を受けている剣、あしき者を刺すと相手の力を封印することができる。
悪意に反応を示し、相手の悪意に応じて力がかわる。
また、頭の中にいきなり情報が送り込まれてきた。
「だから、気持ち悪いって・・・」
「これで、汝は悪魔をも殺すことのできる力を得た」
「そうね。感謝するわ」
「では、我との約束を守ってもらうぞよ」
「ええ、任せて。ママとパパの仇の悪魔は私が殺してみせるわ」
「楽しみに待つとしよう。では、去らばだ」
そういうと気配が遠ざかっていくような感じがして、声が聞こえなくなりました。
「・・・ん」
目を開けると、月が見えました。
両親とここにつれてこられたのが朝だったので、とても長い時間倒れていたことになりますが、だれにも見つからなかったようです。
記憶は曖昧だったが、握っていた剣が夢でないことを告げていました。
「まずは、両親を生け贄に選んだ村へ復讐しないと・・・」
そういって、夏海は自分の村へと向かっていきました。
村へとついた夏海は約1年前に神が行ったような方法で村を蹂躙しました。
暴風で家屋を壊し、村人や家畜に焔を放ち、畑などには雷を撒き散らしました。
「ひっ、なぜ、あの娘が生きているんだ・・・」
「化け物!こっち来るな‼」
「俺は反対していたんだ、助けてくれ‼」
しばらくすると、あれほどうるさかった村人たちはしずかになりました。
「もう、みんな死んじゃってる!全然、気がはれないよ‼」
「「「・・・・・・」」」
周りには黒こげになった人の残骸や、かまいたちに裂かれ、四肢がバラバラになった死体がありました。
「あとはママとパパの仇をとらないとね・・・」
そういって、神聖剣に操られるかのように、悪意の反応がする方へと歩いていき、次第に姿が見えなくなりました。
ー現在ー
「ひっ・・・助けてくれ!もう悪いことはしないから‼」
「もう、遅いわ。貴方は許されないのよ」
「くそくそ、お前も道づ・・・ゴホッグホッ・・・」
男はなにかを言い終わる前に血を口から吐き出し、死んでいました。
「次よ、悪はすべて切るわ・・・そして、いつか悪魔を殺してみせるわ」
そう呟いて、フラフラと街道を歩いていきました・・・
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今日はあと1、2話投稿する予定です。
二人が出会うまでは視点を交互に変えて進めていきたいもおもいます。
楽しみにお待ちいただけると幸いです。