神殺しの少年の過去と旅立ち
俺、羽山秋斗は三年前に神に殺されそうになったところを妹の冬が助けてくれたのだった。
ー3年前ー
「この村は我の怒りに触れた、罪を償いたまえ」
そういうと、神は異能をつかい村人を次々と殺していきました。
「くそ、我々はなにもしていないじゃ・・・ぎゃあああ」
「せめて、子供は見逃して・・・そんな・・・」
「なんでこんなことに・・・ゴフッ・・・」
村人が次々と殺されていくのをみて、俺は恐怖で動けなかった。
「おにいちゃん!逃げて‼」
「ふゆ、くっそ、動けよ!なんで動けないんだよ‼」
「神様、私はどうなってもいいですから、おにいちゃんを助けてください!」
「ふゆ、なにいってるんだよ!」
今まで何をいわれても止まらなかった神が止まりました。
まるで、その言葉を待っていたかのように。
「汝、我の贄になることを誓うか?」
「誓ったら、おにいちゃんを助けてくれますか?」
「汝の願いはすべて叶うだろう」
「誓います!だから、おにいちゃんを・・・この村を助けてください!」
「ふゆ、やめろ!やめてくれ‼」
「汝の願い聞き届けたぞよ、では、ついてきてもらうぞよ」
そういって、ふゆの手を引っ張っていこうとする神
「やめろ!ふゆを返せ‼」
「・・・ごめんね、おにいちゃん」
まるで別れの挨拶は済んだといわんばかりに姿が消える、神とふゆだった。
「・・・くっそぉぉぉぉ」
そして、俺の意識はそこで途絶えたのだった。
虚空からいきなり声が聞こえてきた。
「キミは力がほしいかい?」
俺は夢だとおもい、素直に答えることにした。
「ああ、妹を取り返せるだけの力がほしい」
「ボクは素直な子は好きだよ、でも、ただで力をあげるわけにはいかないな~」
「俺にどうしろと?」
「なに、簡単だよ・・・ボクがキミにあげる力をつかい、神を殺してほしいんだ」
それを聞いて諦めたようにため息を吐き、つぶやいた。
「あんな化け物に勝てるわけない・・・」
「くくっ、確かに今のキミでは戦いにすらならないだろうね、だけど、ボクが戦えるだけの力をあげるっていったら、どうする?」
俺は声のする方に顔を向け、答えた。
「妹を取り返せるだけの力じゃなかったのか?」
「ボクはそんなこと言ってないよ・・・」
「なぜ俺にそんなことを頼むんだ?お前自身が神を殺せばいいだろ」
「それはできない事情があるんだよ。だからね、お願い」
俺は少し考えたが、妹を取り返せるなら、なんでもいいという気がついた。
「わかった。俺が神を殺す!力をくれ‼」
「キミにあげる力は<全てを喰らう者>だよ」
「どんな能力か説明してもらおうか」
「ボクにまかせて!」
<全てを喰らう者>
異能・異端以外のものを喰らうと喰らわれたものは消滅する。
異能・異端は喰らうことで、威力を軽減させることができる。
※とある条件下において、異能・異端を喰らうと奪うことができる。
発動条件
以下の3つのうち2つ以上の条件を満たしていれば発動することができる。
①その異能・異端の名前を知っていること
②その異能・異端を受けたことがあること
③その異能・異端の利用者の名前を知っていること
いきなり頭の中にこれだけの情報が入ってきた。
「・・・・・・」
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ、少し驚いて情報の処理が遅くなっただけだ。」
「なら、頑張ってね。そろそろボクの力も切れそうだから・・・」
「・・・ありがとうな」
「ボクの願いのためだからね。じゃあね、しばらくのお別れだよ」
その声を聞いていると、とたんに浮上するかのような感覚に襲われ、意識が覚醒した。
「変な夢だったな・・・」
しばらくして、辺りを見渡してみると、村の病院だということに気がついた。
「あれ?なんで、俺こんなところに寝てるんだ?」
「おう、秋斗。目が覚めたか、よかった」
「あ、海斗先生」
「秋斗・・・落ち着いて聞いてくれ」
「どうしたんですか?」
「ふゆちゃんが連れていかれた・・・」
「そんな、あれは夢じゃなかったのかよ・・・」
ふと、頭に異端の力のことが浮かんだ。
「そうか、あれは夢じゃなかったのか・・・」
「大丈夫か?秋斗・・・」
「はい、大丈夫です。それと俺は旅に出ます」
「いきなりどうしたんだよ!」
「妹をとられたまま、大人しくしてるなんて無理です」
「秋斗!落ち着け‼」
「・・・止めないでください、海斗先生」
「お前の覚悟はわかった、だがな、まずは村の復興を手伝ってくれないか?」
「でも、妹を助けないと・・・」
「お前はまだ15歳だ、もっと知識をつけてからいった方が確実だと思うぞ」
「確かに・・・村の復興を手伝うかわりに、もっと色々なことを教えてくれませんか?」
「ああ、任せろ。ふゆちゃんが連れていかれたのが悔しいのはお前だけじゃない」
「すみません・・・海斗先生」
ー現在ー
村のみんなには昨日挨拶を済ませ、旅にいく準備も終わり、旅立とうとしたら、町の門のところに海斗さんと娘の春華が待ってました。
「じゃあ、俺いきます。今までありがとうございました」
「なに、2度と会うことないみたいに言ってるんだよ。
ふゆちゃんを取り返して、戻ってこいよ、秋斗」
「ありがとうございます、海斗さん」
「アキくん、頑張ってね」
「春華、アキくんはやめろって!」
「別にいいじゃん!」
「ったく、しゃーねーな」
そういって、秋斗は春華の頭を撫でた。
「・・・あ」
「じゃあ、行ってきます」
「「いってらっしゃい!」」
秋斗の背中が見えなくなるまで春華は手を振っていました
背中が見えなくなると
「うぅ・・・アキくん」
「よく、泣かなかったな・・・」
そういって、海斗は春華の頭を撫でました。
森にはいると秋斗は止まってうしろを振り返った。
「はぁ、春華には悪いことしたかな・・・でも、もう後戻りはできないんだ・・・妹を取り返すまで」
そう呟いて、秋斗の姿は森の中へと消えていきました。
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