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自由な世界で  作者: 月笠日笠
第1章 檻の中の魔女
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目を覚まして

初投稿です。

至らぬ点もありますので、ご指摘などありましたらよろしくお願いします。

「お主、想像していたよりも普通じゃなぁ」

「おいおい爺さん、のっけから随分なご挨拶じゃねぇの」


夜霧 恭哉、十八歳。見た目普通の学生。ふと、目を覚ましたら白い空間にいて目の前に現れた白ひげ生やした爺さんから最初に言われたのがこれだった。

正直、何を言ってるのかよくわからないと思うが俺も理解してないからそこは許容してほしい。


「ちょっと爺さんって、あんた誰に言ってんのか分かってるの⁉︎」

「ん?爺さんは爺さんだろ?他に誰がいるんだよ」

「あんたねぇ!」


俺が目の前の爺さんを爺さん呼ばわりしたのが気に食わないのか爺さんの隣に立っていた銀髪の美人な女が食ってかかってきた。こちらは銀髪美人と呼ぼう。


「やめんか。此度の件は完全にこちらの手違い。爺さん呼ばわりなど気にはせん。お前は少し黙っていなさい」

「おっ、爺さんは話がわかるな。ってことだ。いい加減その凄い顔やめろ」

「ぐぬぬぬ」


爺さんに口封じされた隣の銀髪美人はとんでもない顔でずっと変顔でもしてんじゃないかと思うほど俺を睨んでいる。ホントに美人なのに勿体無い。


「んで、何が思ったより普通なんだ?」

「なに、お前さんが聞いていた印象と違っていてのぉ。気分を害したならこの通りじゃ」

「なぁに、俺が普通なのは自分でも分かってっから。とりあえず頭は下げないでくれよ。こっちがバツが悪くなっちまう」

「ほほっ、そういってくれると助かるわい。さて、そろそろ本題に移りたいをやじゃが構わないかの?」

「ああ、こっちは構わねぇよ」


頭を下げようとした爺さんにストップをかけると朗らかに笑ったかと思うと不意に真面目な表情になる。

よくころころ表情が変わる爺さんだな、と言いたい所だがやっぱり隣の銀髪美人が凄い顔なのでやめておく。


「本題といってもどこから話そうかのぉ。お前さんは神と呼ばれる者を知っておるか」

「ああ、神て言えば誰でもそりゃ知ってるだろうよ。なんだ?まさか爺さんが神とか言うつもりかよ」

「その通りじゃ」

「‥‥‥はい?」


爺さんの間髪入れない返答に思わず呆気に取られる。

自分でもよくわからない声が出た。


「ふふん、ようやく理解したの?あなたが話をしていたのが神様ってことに。全く哀れね愚かな人げ「黙っておれと言ったはずじゃ」すいませんでしたぁっ」


俺の様子を見てドヤ顔をした女ががすぐさま自称神様の叱責を受けてすぐさま口を塞ぐ。

さっきからちょっと面白いな。


「わかった。とりあえずあんたが神様だとして何で俺はこんな所にいるんだ?俺は確か車に跳ねられたはずだったんだけどな」

「それは、こちらから説明しよう。実はと言うとなーーー」


そこから神様‥‥爺さんと呼ばせて貰うが、説明が始まった。

大体の内容を纏めるとこうだ。

人には個人個人に決められた寿命がある。それを期限通りに運命に従って、言い方が悪くなるが殺した後その魂を別の世界に送りこむのが役目だそうだ。

しかし、爺さんも年頃なのせいなのかどうかは分からないがその送るやつの魂の分も半端じゃないらしく配下の奴らと手分けしてやっていたそうだ。

そりゃ、あんだけ人がいりゃあそうなることもあるわけで。

その隣にいる銀髪美人のミスで俺は似たような名前の奴と間違えて殺された。

気付いた所で生きからせることも出来ない。ならば、せめてもの償いに好きな世界を選ばせよう、という話らしい。


「本当にすまなかった‥‥」

「その、あの、ごめんなさい」


二人揃って頭を下げる。

爺さんもそうだが、流石に悪いと思っているようで、うるさかった銀髪美人もお揃いの悲痛な表情だ。

ちょっとだけシリアス。

やめてくれ、俺はこういう雰囲気のは苦手なんだよ。


「俺は、新しく生きていくんなら自由で刺激的な世界がいい」

「え?」

「だから新しく生きてく世界を決めさせてくれんだろ?なら俺は運命なんてもんに惑わされない自由で刺激的な世界で生きていきたい」

「なんと‥‥」


爺さんと銀髪美人は驚いていた。

なんだ俺が怒るとでも思ってんのか。

悪いが、それは見当違いもいい所だと言いたい。なぜならーー


「辛い表情してるとこ悪りぃけどさ、俺はあんまし前の世界に未練ってのはないもんでね。過去を悔いてもしょうがない。失ったものは戻らない。なら前を向くしかねぇ。だからさ、あんまし気にしないで貰えると助かる。それよりも次の世界でのフォローを頼むわ」


できる限りの言葉で俺の意思を。

本当に未練なんてないし、本当に運命なんてもんがない世界があるなら見てみたいしな。


「そうであったか。お主の意思はあいわかった。ならば、こちらからは自由な世界と最大限の支援を」

「‥‥‥貴方様の深い慈悲に感謝を」

「おうっ。飛びっきりのを頼むぜ爺さん!」


そう言って爺さんが神らしく手を振るうと光の粒子が集まって一つの扉を創りあげる。というか、銀髪美人。どうしたよその言葉遣いは。


「この自由世界の名はアルフェイ!魔法や剣を操る世界じゃ!ここならば刺激にはこと欠ないじゃろう、そして同行者にレフィリアを任命する!」

「えぇっ」

「なんだよその反応は」


おい、待て今のはなんだよ。

あからさま過ぎんだろ流石に。

とまぁ、どうやら俺の行き先も決まったみたいだし、同行者もいるなら心配はねぇ‥‥‥よな。

後は進むだけだ。多分、きっと。少しだけ同行者が不安だが。


「サンキューな爺さん。お陰様でこれからは楽しそうな人生送れそうだ」

「ほっほっ、それならばよい。あと追加であちらの世界用にお主の肉体も身長しておいたからの。あらゆる面で十分に楽しめるのぉ」


爺さんは悪戯したあとのガキみたいに笑う。あらゆる面でって言葉が気になるがまぁいいだろう。


「おー、サンキューな。んじゃ、俺はそろそろ行くわ」


爺さんに背を向けて扉へ手を掛ける。


「お主‥‥いや、夜霧 恭哉。其方の行くべき道に幸あらんことを」

「爺さんも無理すんなよ?体には気をつけてな‥‥神様」


最後にそれだけ会話して、俺は扉の向こうへと足を踏み入れる。

これからの新しい人生に期待を掛けて。

意識が光に呑まれていく感覚。

目の前が真っ白になったと同時に俺は意識を失った。





失う直前に、「私を置いていくなあっ!」なんて声を聞きながら。


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