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たまたま生きてる。
母のお腹のなかで、
ちいさいころの夏風邪で、
信号のない交差点で、
遠足で行った山で、
卒業旅行で乗った飛行機で、
初めての車の運転で、
もしかしたら死んでいたかもしれないけれど、
僕はたまたま生きている。
親が、兄弟が、祖父母が、
友人が、会ったこともない誰かが。
僕を殺さなかったから、
僕はたまたま生きている。
いきものは、あらゆる簡単なことで死ぬかもしれないけれど、
わりと、生きていたりもする。
自分の意思ではどうにもならないだけで。
明日たまたま死ぬかもしれないけれど、
僕は今日も生きている。