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勇者の復讐  作者: 東井 タカヒロ
第一章 復讐の道のり
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3話:騎士団入団

王都は、不快なほど平和だった。

笑い合う人々。華やかな市場。僕の故郷が地獄の業火に焼かれていた時も、ここの連中はワインを飲んで笑っていたのだ。

「吐き気がするな」

僕の呟きに、隣を歩く騎士が苦笑する。

僕たちは、王国の守護要塞『聖竜騎士団』本部へと連行されていた。

「今日が入団試験の日だ。特例でお前も混ぜてやるが……期待するなよ? 騎士になるには、血の滲むような鍛錬と才能が必要だ」

演習場には、きらびやかな鎧を着た貴族の子供たちが百人ほど集まっていた。

ボロボロの服を着た僕が現れると、クスクスという嘲笑がさざ波のように広がる。

「おい見ろよ、貧民街のガキが迷い込んでるぜ」

「臭いな。魔獣の糞でも踏んだんじゃないか?」

彼らの視線が、僕をゴミを見るように突き刺す。

だが、僕には好都合だ。

この怒りこそが、僕を動かす燃料ガソリンになる。

「静粛に! これより魔力測定を行う!」

試験官の声が響く。

内容は単純。中央にある『竜の水晶』に触れ、魔力を注ぐだけ。

数値が高ければ合格。低ければ即退場。

「次、ドルバン伯爵家長男!」

「ふん、見ていろ!」

金髪の少年が水晶に触れる。水晶は青く輝き、頭上に数字が浮かぶ。

『数値:350』

「おおっ! 一般兵の平均が100だぞ! さすがは名門!」

会場がどよめく。少年は勝ち誇った顔で僕を見下した。

「見たか貧民。これが才能の差だ。お前のようなゴミは触れるのもおこがましい」

「次、アレン。前へ」

名前を呼ばれ、僕は無言で水晶の前に立つ。

罵倒雑言が飛んでくる。

「さっさと帰れ」「水晶が汚れる」

僕は、ただ復讐のことだけを考えた。

エマの死に顔。家族の悲鳴。燃える村。

体の中で渦巻く黒い情動を、そのまま水晶に叩きつける。

(全部……壊れろ)

バチバチバチッ!!

「なっ……!?」

水晶が輝く暇もなかった。

触れた瞬間、どす黒い漆黒の雷光が迸り、水晶に無数の亀裂が入る。

ピキッ、パリーンッ!!

高価な魔導具である水晶が、内側から爆発して粉々に砕け散った。

静寂。

さっきまで僕を笑っていた貴族たちの口が、ぽかんと開いている。

試験官が腰を抜かし、計測器の破片を見つめて叫んだ。

「ば、馬鹿な!? 測定限界(9999)を超えただと……!?」

『システム通知:魔力値が測定不能です』

『判定:規格外エラー

「……おい、これで合格か?」

僕が冷たく問うと、試験官は震えながら何度も頷いた。

周囲の視線が変わる。侮蔑から、理解不能な怪物を見る恐怖へ。

「ま、待て! 機械の故障だ! 貧民ごときにそんな力があるわけない!」

さっきの金髪貴族が顔を真っ赤にして剣を抜いた。

プライドをへし折られたのが許せないらしい。

「貴様、俺と勝負しろ! この剣技で化けの皮を剥がしてやる!」

彼は殺気立って斬りかかってきた。

遅い。

止まって見える。

村で父さんが薪を割る動作の方が、まだ速かったかもしれない。

僕は剣を抜くことすらしなかった。

踏み込み、無防備な懐に潜り込み、その土手っ腹に拳を叩き込む。

ドォンッ!!

「がはっ……!?」

貴族の少年はボールのように吹き飛び、演習場の壁に激突して気絶した。

1つ

魔法すら使っていない、ただの拳。

「……弱い。こんなのが騎士なのか?」

シーンと静まり返る演習場に、拍手の音が響いた。

壇上から降りてきたのは

「合格だ、アレン。いや……今日からお前は『特別特待生』だ」

「団長!? しかし彼は平民で……!」

「黙れ。この少年は、我々が数百年待ち望んだ『刃』になるかもしれん」

団長は僕の前に立ち、ニヤリと笑った。

「ようこそ、地獄(騎士団)へ。お前のその飢えを満たすエサは、ここに山ほどあるぞ」

『クエスト完了:騎士団入団』

『報酬獲得:ステータス『騎士見習い』→『修羅の騎士(仮)』へ進化』

僕は自分の拳を見つめる。

力が溢れてくる。

復讐への第一歩。この国最強の集団への切符を、僕は最短距離で掴み取った。

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