表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の復讐  作者: 東井 タカヒロ
第二章 冒険者の旅立ち
18/20

18話:ボス討伐

最深部への扉は、山のように巨大だった。

表面には不吉なレリーフが刻まれ、近づくだけで肌がピリピリとするほどの魔力が漏れ出している。

マスター。……この向こうに、います」

リズが低く唸る。

彼女の獣の勘が、扉の奥に潜む「死」を嗅ぎ取っているのだ。

Sランクダンジョン『忘却の地下遺跡』。

その最奥に君臨するボス。それは、国一つを滅ぼせるほどの災厄だとされている。

「開けるぞ」

僕は躊躇なく扉に手をかけ、押し開いた。

重厚な石の擦れる音が響き、暗闇の中から二つの「紅い光」が浮かび上がる。

ゴオオオオオオオオッ……!!

咆哮。

それだけで大気が震え、僕たちの髪が逆立つ。

広いドーム状の空間の中央に、その怪物はいた。

ライオンの頭部、山羊の胴体、蛇の尾。

そして背中からは、禍々しい竜の翼が生えている。

古代の錬金術が生み出した最高傑作にして、最悪の合成獣キメラ

『ボス遭遇:エンシェント・キメラ(変異種)』

『推定ランク:S+』

『状態:激昂』

「……デカいな」

見上げるほどの巨体。

全長は20メートルを超えているだろう。

通常なら、騎士団の精鋭部隊が百人がかりで挑み、半数が死ぬ覚悟をする相手だ。

「グルルルッ……!!」

キメラが僕たちを睨む。

その威圧感に、普通なら足がすくむ。

だが、僕の隣に立つリズは、ニヤリと好戦的な笑みを浮かべていた。

「主よ。……試し斬り(テスト)、してもよろしいですか?」

「許可する。新しい装備の性能を見せてみろ」

「御意ッ!」

リズが弾丸のように飛び出した。

速い。

以前とは比べ物にならない加速。S級素材で作られた『黒狼の戦装束』が、彼女の身体能力を極限までブーストしている。

「ガァッ!!」

キメラが反応し、丸太のような前足で薙ぎ払う。

直撃すればミンチになる一撃。

だが、リズは空中で軌道をねじ曲げ、その剛腕を駆け上がった。

「遅いッ!」

ザンッ!!

黒い閃光。

リズの爪がキメラの右目を切り裂いた。

「ギャオオオオオオッ!?」

鮮血が舞う。

Sランクモンスターの皮膚を、まるで紙のように。

「……いい切れ味だ」

僕は腕を組んで観察する。

リズのポテンシャルと、僕の資金力(装備)が噛み合った結果だ。

今の彼女なら、円卓の騎士とも渡り合えるかもしれない。

だが、敵もさるものだ。

キメラは痛みで暴れ回るどころか、残った左目でリズを捕捉し、山羊の口から「石化のブレス」を吐き出した。

バシュウウウウッ!!

広範囲を覆う灰色の霧。

回避不能の飽和攻撃。

「チッ……!」

リズがバックステップで距離を取るが、霧の速度の方が速い。

彼女の足元に霧が迫る。

「……遊びはそこまでだ」

僕は指を鳴らした。

『スキル発動:因果律操作』

『対象:石化の霧 → 無効化キャンセル

霧がリズに触れる寸前で、嘘のように消滅した。

魔法的現象の因果を断ち切る。僕にとっては呼吸するより簡単な作業だ。

「た、助かりました……!」

「気にするな。前だけ見てろ」

僕は一歩、前へ出る。

キメラが僕に標的を変えた。

本能が告げているのだろう。

チョロチョロ飛び回る銀色の狼よりも、後ろに立っている「人間」の方が、遥かに危険で底知れない存在だと。

「グルルル……!!」

キメラの筋肉が膨張する。

魔力が収束していく。

ただの爪撃やブレスではない。

この遺跡ごと僕たちを消し飛ばすつもりだ。

「来るぞ、リズ。下がってろ」

「はッ!」

僕は『王家の短剣』を抜かず、素手のまま構えた。

相手はSランクの化け物。

今の僕の力を試すには、最高のサンドバッグだ。

「さあ、踊ろうか。復讐のリハーサルだ」

『戦闘モード移行』

『勝率予測:100%(オーバーキル)』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ