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勇者の復讐  作者: 東井 タカヒロ
第二章 冒険者の旅立ち
13/20

13話:クラン

金はある。地位ランクもある。

次に必要なのは「駒」だ。

それも、そこら辺の有象無象ではない。僕の復讐についてこられる、狂気と才能を秘めた「特級の駒」が必要だ。

僕は表通りのギルドを素通りし、貧民街のさらに奥、地図にも載っていない裏路地へと足を踏み入れた。

「ヒヒッ……旦那、いい肉が入ってますぜ」

辿り着いたのは非合法の奴隷商館。

鉄格子の中に、虚ろな目をした亜人や犯罪者たちが詰め込まれている。

強靭なオーク、魔術の心得があるエルフ。

どれも高値がついているが、僕の目(ステータス視認)には「凡庸」としか映らない。

(……ゴミばかりだ)

成長限界が見えている。

これでは円卓の騎士どころか、その辺の騎士団員にも勝てない。

帰ろうとした、その時だ。

店の最奥。

光も届かない独房の隅に、「それ」はいた。

「……おい。あれはなんだ」

僕が指差すと、商人は嫌そうな顔で唾を吐いた。

「ああ、あれですか。失敗作ガラクタですよ。狼人族の変異種なんですがね、魔力を暴走させて商品価値がゼロだ。近々、処分する予定でして」

ボロボロの布を纏った少女。

銀色の髪は泥にまみれ、首には魔力を封じる『封魔の首輪』が何重にも巻かれている。

痩せこけて、死にかけのように見える。

だが、僕には見えていた。

『解析結果:ポテンシャル SS』

『保有スキル:魔狼の王権(未覚醒)』

(……見つけた)

宝の山の中に捨てられた、泥だらけのダイヤモンド。

この商人は目が節穴だ。彼女が放つ、世界を噛み千切るような殺意の波動が見えていない。

「買うよ」

「へ? いやいや、旦那。やめた方がいい。いつ暴れ出すか――」

チャリン。

僕は金貨袋を商人の顔面に投げつけた。

「釣りはいらない。鍵をよこせ」

「き、金貨10枚!? ガラクタにこんだけの金を!?」

商人は腰を抜かし、慌てて鍵束を差し出した。

     ◇

鉄格子を開け、少女の前に立つ。

彼女は獣のような瞳で僕を睨みつけた。

「……殺す気か? 人間」

「まさか。拾いに来たんだ」

僕は彼女の首に手をかけた。

何重にも巻かれた分厚い鉄の首輪。

それを、指先の力だけで――

バキィッ!!

「っ!?」

粉砕した。

鉄屑が床に散らばる。

その瞬間。

少女の体から、封じ込められていた魔力が爆発的に噴き出した。

ドォォォォンッ!!

商館が揺れる。

銀色の髪が輝きを取り戻し、痩せた体躯に力が漲る。

狼の耳と尻尾が逆立ち、その背後に巨大な狼の幻影が揺らめいた。

「……なぜだ? なぜ私を解き放つ?」

「僕には見えるからだ。お前のその牙が」

僕は彼女を見下ろし、手を差し伸べた。

「復讐したい奴がいるんだろう? 世界を恨んでいるんだろう? なら、僕が使ってやる」

少女の瞳が揺れた。

そして、ゆっくりと――その鋭い牙を収め、僕の前に跪いた。

「……我が名はリズ。この命、貴様……いや、マスターに捧げよう」

『契約成立:リズ(魔狼族)』

『配下が追加されました』


【配下ステータス】

名前:リズ

種族:魔狼族(変異種)

Lv:5 → 40(覚醒により上昇)

スキル:神速、捕食吸収

備考:忠誠度MAX

たった数分で、Lv.5からLv.40への超進化。

やはり僕の目に狂いはなかった。彼女一人で、そこらの中堅ギルドなら壊滅できるだろう。

「行くぞ、リズ。まずは住処を確保する」

「御意。……どこへ?」

「クランハウスだ。一番デカい屋敷を買い占める」

僕は商館を出る。

背後には、絶対の忠誠を誓う銀色の猛獣。

たった二人。

だが、これが後に世界を震撼させる最強クラン『黒の断罪者アヴェンジャー』の始まりだった。

『クラン設立条件:達成』

『現在の戦力評価:小国に匹敵』


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