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勇者の復讐  作者: 東井 タカヒロ
第二章 冒険者の旅立ち
11/20

11話:E級冒険者

王都から馬車を乗り継ぎ、数日。

僕がたどり着いたのは、国境沿いにある辺境都市『ボーデラ』。

ここは「忘却の地下遺跡」への最前線基地であり、腕に覚えのある荒くれ者たちが一攫千金を夢見て集まる場所だ。

「空気が悪いな」

街に入った瞬間、鉄と血、そして欲望の臭いが鼻をつく。

王都の洗練された雰囲気とは真逆だ。だが、今の僕にはこの殺伐とした空気の方が肌に合う。

僕は路地裏に入り、懐から『Aランク冒険者カード(特務)』と『銀竜の騎士章』を取り出した。

(これを使えば、VIP待遇だろうけど……)

乗る

「遺跡の力を手に入れる」という真の目的を果たすには、目立ちすぎる肩書きは邪魔になる。

ここからは、ただの一人の冒険者として動く方が都合がいい。

僕はアイテムボックスにそれらを放り込み、フードを目深に被ってギルドの扉を蹴り開けた。

     ◇

「新規登録だ」

カウンターで短く告げる。

受付の女性は、気だるげに僕を見下ろした。

「はぁ……また家出少年? ここは遊び場じゃないのよ。死ぬ前にママンのところに帰りなさい」

周囲の冒険者たちがニヤニヤと笑う。

辺境のギルドは実力主義。見た目が子供の僕は、格好の嘲笑の的だ。

「手続きを」

僕が無表情で硬貨を弾くと、受付嬢はため息交じりに用紙を出した。

「はいはい。じゃあ、まずは『Eランク』からね。最底辺よ。ドブさらいでも薬草採取でも、地道に頑張ることね」

渡されたのは、錆びついた鉄のプレート。

刻まれた文字は『E』。

ゴミ同然の扱いだ。

「おい、新入りィ!」

背後から肩を掴まれた。

振り返ると、歯の欠けたスキンヘッドの男が立っていた。

ランクは『C』。この辺りでは中堅といったところか。

「ここでのルールを教えてやる。先輩には敬語! 稼ぎの三割は上納! 分かったら靴を舐め――」

「……触るな」

僕は男の腕を払いもせず、ただ一瞥した。

ゾクリッ。

「ひっ……!?」

男が悲鳴を上げ、尻餅をついて後ずさる。

周囲がざわつく。

「なんだ? あいつ、転んだのか?」

「いや、今……空気が凍ったような……」

男は青ざめた顔で僕を指差し、口をパクパクさせている。

僕が放ったのは、騎士王から学習した『王の威圧』の、ほんの数パーセント。

それだけで、三流冒険者の心臓を握り潰すには十分だ。

「Eランクでいいよ。どうせ、すぐに上がる」

僕は錆びたプレートを受け取り、掲示板へと歩き出した。

そこに貼られている依頼書を、片っ端から剥がしていく。

「お、おい! Eランクが受けられるのは『薬草採取』だけだぞ!?」

「そんなもん、受けるわけないだろ」

僕が手に取ったのは、『Eランク推奨』の依頼ではない。

『緊急討伐:変異グリフォンの群れ』

『推奨ランク:C~B』

「おい馬鹿! それはパーティ必須の高難度依頼だ! ソロのEランクが行っていい場所じゃねえ!」

受付嬢が血相を変えて叫ぶが、僕は無視して出口へ向かう。

「ルールなんて知らない。結果を持ってくれば文句はないだろ?」

ギルドを出る瞬間、僕はニヤリと笑った。

(Eランクスタートか。悪くない)

王都での地位ショートカットも楽しかったが、実力だけで底辺から一瞬で駆け上がるのも、また違った快感がありそうだ。

【現在のステータス】

名前:アレン

ランク:E(偽装中)

実力値:Sランク相当

状態:『舐められプレイ』開始

錆びたプレートを指で弾く。

これが「金」に変わるまで、そう時間はかからないはずだ。

まずは手始めに、この辺境の常識を書き換えに行くとしよう。

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