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勇者の復讐  作者: 東井 タカヒロ
第一章 復讐の道のり
10/20

10話:冒険者ギルド

円卓の騎士たちから奪い取った羊皮紙を手に、僕は再び冒険者ギルドのカウンターに戻ってきた。

ギルド内は、先ほどの「指弾き事件」の余韻で、まだ異様な静けさに包まれている。

「た、ただいま戻りました、アレン様……!」

ギルドマスターが脂汗を拭いながら飛んでくる。

その態度は、冒険者に対するものではなく、王族に対するそれに近かった。

「これを登録してくれ」

僕は羊皮紙を無造作に放り投げた。

ギルドマスターがそれを開いた瞬間、彼の目が飛び出さんばかりに見開かれた。

「こ、これは……『指定Sランク任務』!? しかも、あの『忘却の地下遺跡オブリビオン』ですかッ!?」

その悲鳴に近い声に、周囲の冒険者たちがどよめく。

「おい、マジかよ……」

「忘却の遺跡だって? 騎士団の精鋭部隊が何人も行方不明になった、あの自殺名所か?」

「あんなガキが受けるのかよ……死ぬぞ」

外野の雑音がうるさい。

だが、ギルドマスターは震える手で羊皮紙の署名を確認し、顔面蒼白になった。

「円卓第一席、『剣聖』ガラハド様の署名……! 本物だ……」

彼はゴクリと唾を飲み込み、僕を見た。

その目には、畏怖と同時に、僅かな「哀れみ」のような色が混じっていた。

「アレン様。実力は存じておりますが……この遺跡は『呪い』がかかっております。物理的な強さだけではどうにもならない、厄介な罠が……」

「問題ない」

僕は即答した。

呪い? 罠?

そんな小細工が、僕の《復讐者》のスキル(因果律操作)に通用すると思っているのか。

「手続きを急げ。僕は忙しいんだ」

「は、はいッ! 直ちに!」

ギルドマスターは高速で書類を作成し、震える手でスタンプを押した。

その瞬間、ギルドの掲示板が光り輝き、最上段に新たなクエストが表示される。

『緊急クエスト:忘却の地下遺跡の攻略』

『難易度:S(国家非常事態級)』

『受注者:アレン(Aランク・特務)』

「本当に受けやがった……」

「歴史的瞬間だぞ、これ……」

冒険者たちの視線が変わる。

単なる「強い新人」から、「伝説の目撃者」になったような興奮。

僕は書類を受け取り、ギルドの出口へと向かう。

この遺跡は王都から離れた辺境にある。

そこへ行くには、一度この居心地の悪い(目立ちすぎる)王都を離れなければならない。

(ちょうどいい。ここでは顔が割れすぎた)

円卓の騎士や国王に目をつけられたままでは、復讐の邪魔になる。

辺境に行けば、多少は自由に行動できるはずだ。

「おい、アレン!」

ギルドを出ようとした時、背後から声をかけられた。

振り返ると、入り口で絡んできた大男(指を折った相手)が、包帯を巻いた手で立っていた。

「……復讐か?」

「ち、違げぇよ!」

男は顔を真っ赤にして、頭を下げた。

「俺は……『剛腕のバッカス』だ。……その、悪かったな。あんたが本物だって分かった。……死ぬなよ」

「……」

予想外の反応だ。

力でねじ伏せた相手が、敬意を払ってくる。

これが冒険者の世界ルールか。

「……名前は覚えておく」

僕が短く返すと、バッカスは嬉しそうに笑った。

僕はギルドを出て、空を見上げる。

王都の空は狭い。

復讐の旅は、ここからが本番だ。

『クエスト受注完了』

『次の目的地:辺境都市(地下遺跡エリア)』

懐の冒険者カードを確認する。

ここ王都では『Aランク』として扱われたが、他の都市に行けば、また面倒な手続きが必要になるかもしれない。

まあいい。

舐めてかかってくる奴がいれば、また力で分からせるだけだ。

(待ってろ、魔王軍。そして、遺跡に眠る『力』……全部、僕が頂く)

僕は一歩、王都の門へと踏み出した。

『第1章 復讐の道のり ――完――』

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