第1話 轢かれた
僕、佐藤ミズキは何でもできた。何でもできたのだ。
幼少期からやることやることを完璧にこなしていた僕に、両親は色んな事をやらせた。スポーツや勉学、芸術に音楽に文学。思いつくものは全部だ。
中学ではバスケ、先日は高校サッカーの名門でチームを全国を導き、ヴァイオリンのコンクールでは金賞を連発。
芸術でも金賞は当たり前、有名な漫画雑誌にも載ったことがあったか。
その日はテレビに出演しなければならなかった。
テレビ局前の交差点の信号が赤だったので、待っていた。
すると、後ろから勢いよく何者かが襲ってきた。
こういったことはまぁまぁあった。
逆恨みの類だろう。
僕は対処にうつった。後ろが交差点のことも考慮し、うまく戦闘を歩道内に収める。
相手は格闘経験がないっぽく、怒り?に身を任せているような動きだったため制圧は簡単だろう。
そう思った矢先、僕らのもとにトラックが突っ込んできた。
そうかこれが走馬灯というやつか
時はゆっくり流れていったため、運転席もよく見えた。
ちょっと待て、あれ死んでないか
心臓発作みたいだな
実についていない。この僕も運はあまり無いようだ。
気づいたら、青い空の景色と暖かい血の感覚だけに集中していた。
五年前くらいに飛び入りで出て優勝したテコンドー大会の参加者とかではなさそうだ
最後に思ったのはそんなことだった。
目が覚めたら、そこにはさっきまでの青い空と見慣れない植物が視界を覆っていた。
どうなったんだ、、、あれから
頭から流れていた血を確認するため、手を添えようとしたが、、
なんだこの手は。まるで赤子の手、、
僕はなぜか瞬時に思った。
あこれ異世界転生か
自分の飲み込みの早さに驚いたが、そうしか考えられん。
地球上の植物は全部知っているつもりだがこんな変な木は知らん。
僕はどうにもこうにも今は赤ん坊なわけで、何も行動を起こせない。
とりあえずなんか起きるまで待つか
そしてなんか起きるまで待っていると、日も暮れてきた。
これ魔物とかいたらやばくね?と思いつつ、それでもなんか起きるまで待っていた。
すると、目の前に白髪のきれいな女性がのぞき込んできた。
彼女はニコッと笑うと、聞きなれない言語で何か話していた。
どこか英語に似ているような、フランス語のような、一部韓国語っぽい部分もあった。
僕がそう考えていると彼女は僕を抱きかかえて歩きだした。
鼻歌を歌いながら歩く彼女はとても上機嫌そうな顔をしていた。
彼女の向かっていた先はこの小さな村のようだ。
僕を抱きかかえて歩いてくる姿に村の者たちが駆け寄り、困惑の表情を浮かべた。
もう一人こちらに向かってくる、ごつい男がいた。
彼も赤ん坊を抱えていた。
少し僕を見つめた後、彼も二力っと笑い。僕の頭を撫でた。
どうやら僕を向かい入れてくれるらしい。
魔物の餌にならずに済んだようだな。まあいたらの話だが。
その晩、彼女の家でご飯を食べさせてもらい、寝た。