贈り物‐α
贈り物らしきものはなんとも不思議なものだった。
これまた正多面体の、正20面体だったが、ただの飾りとは思えない、かといって何に使うかもわからない。
エネルギー放出があるわけでもない、歪みがあるわけでも、意匠が細かいわけでもない。
マイラやモルニヤ、ステラにエヴァ、そしてかなり面倒だったがイルダやバテノの族長、そして教会の人に尋ねても分からないと言われ、ゴミとも思えない。
取りあえず飾ってみるが、何をするのが正解なのか。
そろそろ睡眠を取らないと作業能率が落ち始めるな、考え事もほどほどに眠ろう。
ーーーーー
気がつくと白い空間に、白い布を纏った女性が目の前にいた。
「⋯あの、聞こえますか?」
幻覚だろうか?としたらステラが警告するはずだ。
「あのー?聞こえてたら返事してくれませんか?」
周囲を見渡そうとしても視点が動かない、身体を動かそうとしたら身体はない。
「世界樹を復活させたのあなたでしたよね?
あってますか?こっちからだと下界が見えないので⋯それっぽい人に声をかけてるんですけど」
「まあ、種を植えたって意味では私がそうだが」
「よかった⋯ちょっと魂だけでも来てくれませんか?」
「そもそもお前は何者だ?」
「あ、この世界で下界と神界を繋いでいました、ヘルミナといいます」
承諾すると、急に視界が変わって頭上に青黒い空が広がり、足元には白くて柔らかな大地。
まるで雲の上のよう、というと詩的だが、雲の上にしては呼吸が楽だし、気温も大して低くはない。
いつの間にか身体がついていた、しかも宇宙服なしである。
おそらく、魂だけの姿というのはこれなのだろう。
ヘルミナに案内されるがまま、歩いていくと、雲を貫いて生える大きな木の先端が。
世界樹は雲の高度を超える高さまであの一瞬にして生えたというのだろう、恐ろしくもあり神秘的だ。
「おかげさまで地上への力を取り戻せました。
そのうち信仰も復活し、弱りきってしまった神々も蘇ってくれるでしょう」
「ヘルミナはなぜもう動けるのか?」
「私だけ信仰なしで動けるんですよ、世界樹が存在するかしないかですし。
私の役目は道です、道への信仰なんてたかが知れてるでしょう」
今度は主神なるものらしい。
見た目がもうそれっぽい、白い髭と髪の、大きな老人。
「そなたの起こしてくれた行動により、我々は失ってしまった力を取り戻すチャンスを得ることができた。
感謝の意を込め、そなたの願いを叶えよう」
伝承通りだった。
試練とか余計なことは特になく、そのまま願いが叶うのか。
「願いの前に、なぜ今なんだ?世界樹を植えてから数日が経っている。
それなのに今急にこうして呼ばれた理由は何だ?」
ヘルミナが言った。
「なんでか知らないですけど、あなたの手元に神の力を下界に伝えるための端末が流れ着いたみたいで急に場所が分かったんです。
そんな感じの物手に入れました?」
もしやと思う。アストロレクスの品だろう。
「まあ何であれこうして案内できたんですから、いいじゃないですか」
世界の管理者たる神がそんな適当でもいいのか。
「願いは1つだけだ、私を私の宇宙船ごと元々いた惑星に帰してくれ」
主神なるやつは困った顔をした。
「申し訳ないが、転移や生成はこの星でしかできない、何か他の願いは?」
「では、元々いた惑星の位置を特定できる手段、あるいは道具を渡してほしい」
「それならば叶えよう、「望んだ星を見る望遠鏡」で良いな?」
「まあそれでもいい、あとは計算で何とでもなるはずだ」
「ではより早く位置を特定するために、我々にできることをしよう、例えばそなたのからくりの性能を上げるなどだ」
「助かる、あなた達も頑張ってくれ」




