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強盗撃退-α

ようやく大規模な鉄工所を見つけた。

まさか役所と一体化していたとは思わなかった。

この街全体が金属で栄えており、大規模な鉄工所は公営化されているということなのだろう。

そうなれば、手続きは面倒なものとなるだろう。

しかも私はこの世界の言葉がわからない。


悩んでいても仕方がない。

身振り手振りでなんとかして大量の金属を購入したいことを伝えよう。


ーーーー


正面から見た役所はところどころ壁面の清掃が行き届いていないものの、それでも威厳を損なわないほど立派であった。


多くの人が役所に入っていくが、多くは窓口ではない方、おそらく従業員用の入口へ向かっていく。


受付が寝ていたため起こすと、私の顔(というよりは頭部)を見て非常に驚いた。


驚く受付がようやくこちらの要望を聞いてくれそうになったので、

”鉄パイプ”

”機関車”

”ツルハシと鉱石”

”加工されていく金属”

のポスターを指し、手に持った貴金属が大量に入った袋を見せ、そして自分を指さした。


これで伝わったかどうかはわからないが、今の私にできることはこれぐらいだ。


呆気にとられていた受付は、突然奥へ行ってしまった。

意思疎通が成功したかわからない以上、不安で仕方がないが待つしかない。


ーーーー


しばらくして別の人が受付に現れ、私の手を引いて案内?を始めた。

もしもに備え、シールドはいつでも起動できるように、装置を空いている方の手で握った。


案内されたのは鍛治よりは技術が進んだ製鉄を行っている場所であった。

どうやら金属のパネルをつなぎ合わせて大きなパイプや機関車を作っているようだ。


金属パネルが積み上げられた場所に私は案内された。

どうやら要望はうまく伝わったようだ。

貴金属が入った袋をそのまま渡すと、案内してくれた人が袋の中身をいくらか取り出して返してきた。

正直邪魔なだけだったが、やはりこの袋の中身は通貨で間違いない。

ならば持っていて損はない。

袋を受け取って、ホバーボードを起動する。


ホバーボードを温存したかった理由はこれだ。

案内してくれた人がホバーボードに乗せるのを手伝おうとしてくれたが、私一人で乗せたほうが確実なため制止した。

宇宙服の補助もあり積まれていた金属パネル全てをホバーボードの上に乗せることができた。

私がそれを押して宇宙船に戻ろうとすると案内してくれた人が何かを言ってきたが、

当然何もわからなかった。


ーーーー


また大通りを歩く。

今度は不思議なものを見る目と、何かを狙う目に囲まれて。


右手はホバーボードを押し、左手にシールド発生装置を握り、街の入口へと歩く。


今まで気にしていなかったが、大金を所持している以上こういった星では窃盗や強盗に狙われることになる。

シールドだけではいずれ押し切られる。

そう思い私は携行していたブラスターに電源を入れ、安全装置をいつでも解除できる状態にした。


ーーーー


街の入口の警備員がこちらを見てとても驚いていた。

片方は開いた口が塞がらない状態のようだ。


ーーーー


街から遠く離れ宇宙船がようやく視認できる位置まで歩いた。

今更ながらこの金属パネル、全部収納できるだろうか。

量を指定できない以上あるだけ買ってしまったが、何枚か置いていく必要があるかもしれない。


そんなことを考えながらゆっくり歩いていると、突然茂みから複数のナイフのようなものを持った人々が飛び出し、私を囲んだ。


私に対して正面に立った人がこちらに刃の先端を向けて何か喋っているが、

当然何もわからない。


おそらく強盗であろう。


右手をホバーボードから離し、ブラスターを構えた。

左手のシールドはまだ起動しない。

ブラスターだけで制圧できたらそのほうがコストが安く済むであろう。


ただし、今私を取り囲んでいる人々が私を襲おうとするまでは迂闊に発砲できない。

彼らが強盗ではなく怪しい私を疑っただけの治安組織だった場合、攻撃してしまっては禍根を残すだけである(現に私はとても怪しい人であろう)。


睨み合い(といっても相手は私の顔が見えていないのだが)がしばらく続き、私の後ろにいた人が飛びかかってきた。

かわして武器を奪い、そのまま飛びかかるときの勢いそのまま別の人の方へ投げ飛ばした。

すぐさま別の人が襲いかかってくるが、同士討ちを誘ったり受け流したりして行動できない人を増やす。

そうして私と私の正面にいる人だけが立っている状態になる。

正面にいる人は私の頭めがけてナイフを投げてきた。


明確に私に対する害意はある。


安全装置を解除し、発砲。

対生物用に威力を下げ忘れていたブラスター弾は着弾すると小さな爆発が起き、腹部から真っ二つに分けてしまった。

人に対して使うのは久々で、狙いが定まらなかった結果頭や胸を外してしまった。


可愛そうなことをしてしまった。

そう思い私はすぐに頭を打ち抜き、しっかりと息の根を止めた。


他の人は逃げることすらできないほどに怯え上がっており、中には両手を上げて膝をついている人までいた。


拘束できるものを持っていないため、そして別に捕まえる理由もないため彼らを置いて私は宇宙船へ向かっていった。


ーーーー


案外格納庫は広いもので、金属パネル全てと通貨の入った袋を収納してもまだ少し余裕がある。

反物質炉の修復に必要な量は集まったであろう。

次は反物質が正物質を触れないように保管するための磁石と、回路作成や隔壁にも使えるカーボン、もしくは長期間滞在することを見越して水源に行くべきであろうか。

この文明がどういったものなのかもわかっていない。

この都市で言葉を覚えてみるのも選択肢の1つだ。


どこへ行こうか悩んでいると、身なりの整った人が私の方へ向かってきた。

私の左手を彼は両手で握り何かを喋っている。

ふと先程私が無力化した集団の方を見てみると街の入口にいた警備員と似た格好の人がそいつらを縛り上げていた。

強盗の常習犯であったのだろうか。


私の手を握って散々喋っていたが、言葉が通じないため何もわからない。

ジェスチャーでは言葉が通じないことを伝えられないのがもどかしい。

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