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大脱出‐δ

しくじったな⋯

兵士の様子がおかしいと思ってマイラと部屋で籠城する準備をしていたら、城主やメイドたちまでグルだったとは⋯

お陰で俺たちはこの部屋に捕まっちまった。

手錠と足かせはないが、窓はないし扉には鍵が仕掛けられてる。

マイラが精神魔法の応用で近くの兵士の位置を探ったら扉の外に十人はいるという。

「打つ手無し⋯か」

「⋯」

マイラが一番辛いだろうに、今まで祖国のために働いてきたのに、祖国に裏切られるのは相当ショックだろう⋯

今更だが、マイラだけ辛い出来事が多くないか?

親を失い、ステラに翻訳者の座を奪われて、そしてナギサに暗に「戦えない」と言われ、そしてこれだ。

マイラが一体何したってんだ、神様も理不尽なことをしやがる。


いや、打つ手はある。

結界を張ろう。

結界札を使った結界は展開時は無生物はすり抜けて生物はすり抜けない。

それでよく体の一部が切断される事故が起きているのだが、事故を起こそう。

マイラに確認したら、基礎攻撃魔法で押し出せるらしい。

なんとか3枚、兵士たちの後ろに送れれば⋯


「合図をしたら打ち出せよ」

「わかってる⋯」


まず一発、これで扉に小さな穴を開ける。

その後三発、結界札を飛ばす。

「ん?なんだこれ」

外の兵士が感づく前に発動!

外で悲鳴とドサドサ何かが落ちる音が聞こえた。


「いまだ、行くぞ!」

俺がかっこよく扉を破壊⋯できたらよかったんだがマイラのほうが攻撃力が遥かに上なせいで、マイラがそのへんの棒持ってぶっ壊すほうが早かった。


⋯今更だが、物理的な攻撃力と魔法的な攻撃力が共有なのどうなんだ?

魔法全振りのはずのマイラのほうが俺より近接が強い⋯

なるほど、なんで騎士は鎧と盾を用いるか分かったぞ、攻撃力は魔法使いに任せればいいから自分たちは盾になるってわけだ。

俺と同じじゃないか!


ーーーー


こんな方法で脱出したら当然目立つ。

もうどんなに派手に動いても変わらないので没収された武器を求めて突き進む。

星屑の盾があれば大抵の攻撃を防げる。

なにせ、矢の集中射撃に耐えきって俺とマイラを守った実績があるしな。


武器庫の番人は騒ぎを聞いていなかったようで、マイラの杖なしでの攻撃魔法で簡単に気絶させることができた。

扉は俺が動かない兵士を投げつければ簡単に壊れてくれた、木造扉は耐久性に難がある⋯わけじゃないが。

星屑の盾とマイラの杖、ハートロッドは回収できた。


さてどうしたものか、正門も裏門も封鎖されているだろうから、いっそのこと空から?

いや、俺たちだけじゃ飛べない、ナギサもすぐに来られるはずない。

となれば、少しでも敵が薄そうな裏門しかないだろう。


ーーーー


俺が前に出て壁になり、マイラが魔法を撃ちまくる。

2人じゃ作戦も陣形もないから、これ以上の戦い方は思いつかない。

マイラは炎への恐怖も克服したようでどんどん敵を焼き払ってる⋯

「頼むから退路と進行路を塞ぐような燃やし方はやめてくれ!」

「ご、ごめん!」

カーペットに燃え移って俺まで燃えそうになる。

敵の鎧とかで消火していかないと進めやしない。


裏門までも敵だらけ、中庭でようやく一息つけると思ったら空にも兵士たちが!

「第九騎士団⋯竜騎兵だ!」

小さなドラゴンに乗って空中から弓矢や爆弾を降らせ、高機動で地上からの攻撃は避ける、ということか!

中庭から慌てて城内に戻る、竜騎兵にはバレてないようだが時間の問題。


「あっちに逃げたんじゃないか!」

「いや、こっちから悲鳴が!」

「消火急げー!」


俺達は物陰で少し休んでいる。

なにせここまでの戦闘で相当消耗した。

「こんなとき、エヴァがいてくれたら⋯」

傷だらけの俺の身体。エヴァならすぐに処置して動けるようにしてくれるだろうが、あいつはナギサといる。

「はぁ、はぁ、魔力、まだのこってる、けど⋯」

マイラも限界が近い、ジリ貧だな⋯


急に遠くで爆発音が聞こえた、ナギサか?それとも他の誰かか?

しばらくすると走っていく兵士の声が聞こえた。

「重装兵が正門から突入したらしい!」

「なんだって!?エムレーオのか!」

「いや、数日前に離反した第三だって噂だ!」

これはチャンスかもしれない、正門でその人たちと合流するか、それとも手薄になるであろう裏門に行くか。

裏しかない、俺達はもう戦えるかわからない。


ーーーー


裏門まではたどり着いた、しかしそこは第十二騎士団、真の精鋭と名高いエリートが固めていた。

なるほど、こいつらがいるから裏は手薄なのか。

今からでも正門の方に⋯いや、正門は正門で強力な部隊がいるだろう、しかし⋯


「いたぞ!そこだ!」


しまった、見つかった!

「早く立て!逃げるぞ!」

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