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遥か彼方からの探索者  作者: アリカの手帳
棄てられた世界
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過去からの声-α

槍やトゲ、毒矢などの典型的なものから火炎放射や電流など様々罠が沢山仕掛けられていたが、わざわざ機構を解説しながらデイヴィッドが解除・回避手順を教えていくのでもはや観光みたいだ。


「ここに落とし穴がある。

落ちても何も無いが、足を怪我してしまっては危険だから赤いタイルを避けてくれ」

*わたしたちはフユウできるけど、みんなはよく避けられるね*

「むしろ飛べる君等が羨ましいよ。

俺はいいとして、マイラは危ないからな」

<ナギサさんもホバーボード使えばいいのに、なぜわざわざ歩くんですか?>

「エネルギー節約。

大事なところでバッテリー切れじゃ話にならないだろう」

「探検家はスリルを味合うのもあるだろうな」


幾多の罠を越えて遺跡の深部に近づいていく。

時折空気組成を確認して生身の人間に危険そうなガスがないか確認と酸素濃度が危険領域まで落ちていないか(デフォルト設定ではSS人向けの設定のためこの星にいる限りは高濃度につき注意と出るが、安全と出ると彼らにとっては薄いという感じ)確認しながら降りていく。

不思議なことに地下十数mで有毒ガスもなく低酸素にもなっていないし、まるで換気されているかのように地上と組成が変わらない。

デイヴィッドは「換気?なんですかなそれは。この遺跡は珍しく水中用の呼吸魔法なしで潜れる不思議な場所だが」とか言ってたので探検家が改造したわけじゃないようだ。


今更ながら、街並みは黄ばんだlv0.7の文明のようだ。

最初から地下にあったかのように建物が岩盤や地盤を支え、不安定なところは屋根(この表現は正しくないのだろうが)で支えている。

罠もよく見ると通路というより裏道や建造物のような場所の中だけにしかなく、大通りのように見える場所は遺跡内の休憩エリアになっているようだ。

入ってきて下りたのはひときわ高くそびえる建物だった。

中には特に面白いものはない。

こういう所は商業施設なのだろうが、仕事に使われたであろう道具もない。

もしくはすべて回収されたあとなのだろうか。

窓ガラスに当たる部分にはまさかの水晶が使われていた。

こんな使い方をするなんて、この星は水晶に溢れていたのだろうか。


「今更ながら、古代人ってなんだ?」

「私が知ってるのは、大昔に栄えた人で何も特殊な力がないからこそ様々な道具を作ったんだって。

最期はまだわかってないけど、戦争で絶滅したって」

「俺たち現代人はその古代人が作ったとか、魔法や魔物は古代人が作って遺したとか、古代人は宇宙から来たとか、古代人は神様だとかいろんな説があったな。

ステラたちを見てるとちょっとそう思えてくるな」

*わたしたちキカイなのに?*

「機械だから、だ」

<私が持っている記録⋯というかATLASの記録では、最後は光とともにラクエンの外の全ての古代人がいなくなった、とあります。

ATLASは彼らの最後の指令としてすべての知的生命体をラクエンに入れるようにして、ああして壊れてしまったんですけど。

古代人は確かに何も不思議な力はありません。

しかし現代を生きる人間種は不思議な力を持ってます。

人工的に新たな種を作る話はありませんでした。

それに、私たちが生まれる前、私たちが看取った人が生きた時間より前のことはわかりません。

光とともに消えたってのもATLASの機械的な記録の中で唯一人間的な文章でしたし、信憑性は薄いかもしれません>

⋯ATLASが彼らを私に託したことは話したほうがいいのだろうか?


「もうすぐこのセイゴ遺跡の終着、通称一人前の間だ」

「もうですか、早いものですね」

「まあこのデイヴィッドがいればこの遺跡ぐらいあっという間よ」


階段を下ると歴史書に出るような地下鉄駅があった。

最初期型の自動改札はなぜかまだ動くため、トラップ扱いを受けていた。

まあトラップではある。

通ろうとするといきなり閉じて爆音で警告音が鳴るので。

回避方法は飛び越える、というなんとも普通なもの。


「ここが一人前の間だ。

周りのドアは開かないが、選ばれしものが来たら開くとか言われておる」

「ずいぶんと⋯その、狭いですね。横に」

<ここってなんでしょうかね?

私たちはラクエン管理に不要な情報がないのであまりわからないのですが⋯>

*キイロいセンがジメンに。まるでなにかをケイコクしてる*

「高速な何かが通過するんで、下がってろってことだったりしてな」


そこは博物館で見るような駅のホーム。

天井から吊り下げられた発光体の集合体はなにかを訴えているが、まあ私の予想通りなら大したことではない。

それよりも、あちこちのトラップ⋯もとい設備は使えるかもしれない。

「なあデイヴィッド、トラップや壁を解体するのはまずいか?」

「まずいな。

ここは練習のために保存された遺跡。

そういった戦利品が欲しいなら新しい遺跡か発掘現場に行くことだ」


なるほどと思いつつ、どこかに線路に降りられる場所がないか探す。


ここが駅のホームなら線路があり、別の遺跡に繋がっているかもしれないからだ。


ふと足元に、何かがあった。

拾い上げるとそれは手のひらサイズの板だった。

「デイヴィッド、こいつは持ち帰ってもいいか?」

「ん?見かけないものだな。

いいんじゃないか?落ちてるものなら」

そう言われたので持ち帰ろうとバックパックの中に収納しようとした。

しかし手が滑って板の側面の突起を押してしまった。


すると片面が点灯し、スクリーンのように何かが映った。

よく見れば地形図と、何かの印に見える。

印は自己の存在を主張するように、円状の波動のような物を出している。


デイヴィッドにこれを見せると、しばらく見た後にこう言った。

「これは、もしかしたら遺跡の場所を示しているのでは?」

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