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総当たり‐α
正直私は楽園など存在しないと思っている。
噂や伝承による先入観がそう見せるだけの無人島か、神経系に影響を及ぼす毒物を摂取した人が見た幻覚を「楽園」だとあとから決めつけているのだろう。
ただ、伝承の始まりとなった島は存在する可能性がある。
そこにいって、それから「楽園なんてなかった」か「楽園はここじゃないどこかだった」か決めよう。
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燃料は心配ない。
この惑星もまたH₂Oが豊富で、日照も十分であるから安定して水素を生成できる。
核融合エンジンは故障していたが修理できた。
このエンジンの問題点を挙げるならば、墜落時に放射線をばらまくぐらいだ。
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「マイラはまだ寝ているか?」
「ああ、あれからほとんど寝ている。
何とも無気力で、可哀想な状態だ」
「…楽園の次は、古代遺跡を探してみようと思う。
修理の役に立つオーパーツやテクノロジーがあるかもしれないからな」
マイラは両親の墓を家の瓦礫から私の持っていた金属プレート製に作り変えてから、ずっと寝ている。
いや、食事やトイレはするが、ずっと無気力なのだ。




