同時刻、上空約35万km-α
ーーなんてことだ、ついてない。
惑星探検仕様に改造した汎用戦闘機で飛行中にワープドライブが故障するなんて。
改造した私にも責任はあるが、ワープドライブと動力源周りはいじっていないはずだし、わざわざ技術部の人間の監修の元行った改造だ。
あとで技術部に文句を言っておかねば。
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ワープドライブが何故か強制終了できず、暴走するまま自動終了を待つと、ギャラクシーマップ未登録の惑星の目の前であった。
どこがどう壊れていて、今ここはどこなのか調べるためにも適当な天体に降りる必要がある。
目の前にある惑星は私が着陸できるであろうか。
事前の偵察用のスキャン機能を起動して待つ。
「スキャン完了。
未登録の岩石惑星
地殻組成:O 46、Si 28、Al 8、Fe 5、Ca 3、Na 3、K 2、Mg 2、その他 3
未知の物質を検出、掘削は細心の注意を払う
大気圧:平均860hpa
大気組成:窒素67、酸素26、二酸化炭素5、その他2
未知の物質を大気中に検出、常時呼吸保護
低温で液体状の物質を無数に検出、海もしくはそれに類するものが存在
生命反応あり
文明を探知、Lv0.59に相当
着陸は文明から離れた地点であれば問題なく行える」
そういうことで手近な場所を調べてとりあえず一息つくために着陸をする。
一応離着陸システムに問題がないことは確認できたためなんの気兼ねもなく大地に降り立てそうだ。
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昼の場所を選び、雲も少ないタイミングであったので地表をじっくりと見てみる。
緑色の平原、深緑色の山々、淡い水色の運河、遠くに群青の海、ふと上を見上げると青い空。
この緑色の大地が植物で覆われているとして、青色の海や川が水だとしたら、連邦の首都アースと瓜二つである。
違うのは大気圧が低く重力が弱い程度であろうか。
もしそうであればしばらくここでメンテナンスや修復ができるであろう。
まあ野生生物もいるのだろうが。
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何も無い平原の丘の上に着陸。
期待通り平原を埋め尽くしていたのは植物であった。
一応、周囲安全性スキャンを行ってから活動しようと思う。
「スキャン中…
スキャン完了
船外活動時は宇宙服着用
未知のウイルスを検出、構造よりTG-SS人種系は免疫を持たないことが予想されます
低い気圧かつ高酸素
微弱ながら空気中に生物毒と推定される成分を検出
地表は十分な硬度のため歩行が可能
大量の気化した水を検出
周辺に激しく動く生命反応あり、細心の注意を払うこと」
まぁ…そうだろうとは思ったよ。
船外から船の異常を見つけたいので宇宙服を着込んでハッチを開く。
暖かい日差し、広がる草原、吹き抜けてゆく風。
宇宙服を着てるとそのどれも感じることはできない。
また、空気を節約するために胸いっぱいに呼吸することもできない。
何度着てもその不自由さは慣れないものだ。
ひとまずどこに問題が発生しているか分かった。
ワープドライブに深刻な損傷、メインウェポンに軽度の障害、通信システムの完全停止の3つだ。
どれも直せる程度でよかった。
まず通信システムを復旧しなくては。
もしかしたら助けを呼べるかもしれない。