表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/55

五十四話 託(たく)された命


 ラックは俺たち三人にいつも言うんだ。


 自分の実力じつりょくしんじなさい、って。


 お前たちには各々、素晴らしい個性こせいがある、って。


 それは才能、だって。


 俺達は理解してないふりをしていた・・・


 ラックは血がつながっていない義理ぎりの父・・・


 思えば、幸せな人生だった。


 捨て子だった俺達は、ラックにひろわれて必死ひっし鍛錬たんれんをした・・・


 ラックは喜んでくれた。


 すごい、と。


 俺達は、それでよかったんだ。


 さっきまでは。


 国の存亡そんぼうよりも、ラックに好かれるかどうかだった。


 サクラが片目をやられておかしくなった時、


 ラックの声がよみがえってきた。


 自分の実力を信じなさいって。


 水を水玉にして空中くうちゅうかせた時から、


 なんとなく知ってた気がしたんだ。


 なんかの役に立つ、って。


 サクラの片目から毒を抜き出すことを決めた時、


 失敗したら・・・死ぬつもりだった。


 ・・・はぁ~あ、成功して気がけたよ。


 しばらく動けそうに無い。


 ここで休んで、何かあったら風魔法通信を使うから。


 ・・・え?僕は普通に聞こえるような気がするよ?


 なに??



 休憩所で休んでいるコハが、風魔法で凍った球形の毒を浮かせた。


 意識を一瞬いっしゅん、した。


 するとキラキラと光るその毒玉どくだまは、消えた。



「「おお・・・」」



 サクラ君とコハが感嘆かんたんの声をもらす。



「なんだ、今の?」


「フリーズドライ・・・もしかしたら・・・」


「そうゆうことか!実戦に使えるかもしれない!」


「はい」



「さっきも言ったけど、僕はここにいる、からね?勝ってむかえに来てよ?」とコハ、



「分かった」


「きっと」



 ――

 ――――・・・


 サクラ君と一緒に、馬に乗り山頂さんちょうを目指す。


 袋に入れてあるヒョンファと他の植物しょくぶつの種も一緒にきながら、進む。


 そして濃霧のうむしていた瘴気は、聖魔法である程度、扇でいで無効化むこうかにした。


「おやおや」


 そう言った声は魔女ネヴァンのものだった。


「ネヴァン!!」


 サクラ君は馬から飛び降り、いきなり剣を抜いて魔女にりかかった。


 しかし前方に物質バリアが張ってあって、その攻撃こうげきは無効。


 サクラ君は間合まあいを読んで、後ろに飛びすさった。


 私も馬から降りて、周りの濃霧をなるべく浄化している。


「そうだ!」


 袋に入ったヒョンファの種を周りに蒔き、〈サカス・サカセル〉を発動。


「なんだい、それは?」


 じわじわと萌え出す植物たちに動揺した魔女の油断ゆだんに、もう一度斬りかかるサクラ君。


 魔女は咄嗟とっさにバリアを強めた。


 そして側にある、焚き火でぐつぐつと煮えた黒い大釜おおがまなぞスープをおたまで飲んでいる。


「あれはなに?」


「魔女のスープ。ゲテモノだ」


「よく知っているねぇ。100年もののエナジースープだよ。そっちの翡翠髪ひすいがみ、ひとくちどうだい?」


「うるさいっ」


 魔女はケタケタと笑い出した。


 サクラ君が再び斬りかかる。


 片腕の魔女がバリアを張る。


 サクラ君は大釜を狙って斬り込んだ。


 でも、大釜にも物質バリアが張ってあって、跳ね返された勢いで後ろにすさった。


 サクラ君は片目が不自由ふじゆうになっている。


 いつも氷魔法を使って兵士を癒やしていた分、魔素まそを使いすぎたのかもしれない。


 その場に剣をして、それをささえに片膝かたひざを地面についた。


 息がれている。



「いいねぇ、いいねぇ」


 ネヴァンが上機嫌だ。


「翡翠髪は、美味しそう」


 魔女がそう言ったとたん、サクラ君は氷魔法を発動させ地面から魔女の足と大釜の火を凍らせた。


「なんてこったい!ちくしょうっ」


 魔女が慌ててスープを飲もうとしている。


 以前ラク・フレイアが放った攻撃で片方の腕が使えなくなっているようだ。



――ラク、ありがとう!!



 山頂までの道のり、サクラ君とぽつぽつ話合いをしながら進んで来た。


 旅の疲れで、そして魔女からの盗み聞きを心配して、少しずつの話合いだった。



「飛ぶ」


「魔法?」


「そう」


「風魔法?」


補助ほじょ


「了解」


「フリーズドライ」


「オーケー」


「・・・分かった」




「アメ、補助してくれっ」


 周りは氷がってきらきらとしていた。


 聖魔法で瘴気を払い、風魔法を発動、走ったサクラ君が飛び込んで斬りかかる。


「まーた、かい」


 バリアの反動はんどうを利用して、脳天のうてんねらったその軌道きどうから空中で前転ぜんてんして、サクラ君は魔女の背中せなかに回り込んだ。


 そして素早すばやく振り返り、私は魔女に聖を込めた針手裏剣はりしゅりけんげた。


 咄嗟とっさに魔女はこちらに気をとられている。


 その隙に、サクラ君は魔女の心臓しんぞう背後はいごからつらぬき、叫んだ。


「〈絶対零度ぜったいれいど〉!!」


 驚いている魔女が身体からだしんから完全に凍っていく。


 そしてサクラ君は次に「アメ!!」と叫んだ。


「はいっ」


 私は魔女の方面に向かって、風と聖魔法を練ったものを発動。


「〈聖破せいは〉!!フリーズドライ!!」


 魔女は凍った状態で乾燥させられ、空気中にった。


 サクラ君は残った大釜を凍らせた。


 私がそれをフリーズドライ。



――気配はない。



「終わったのか・・・?」


「はい・・・もしかしたら」



――魔女の気配が、ない。



 サクラ君はそなえていたじゅうを空に向かってった。


 それは魔女を倒した時にしか撃たないと約束してある照明弾しょうめいだん


 しかもフェルナルドの意向いこうで、美しく花火になって散った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ