四十四話 新しい兵糧畑(ひょうろうばたけ)
ルシーナ隊の今度の仕事は、新しい兵糧庫のための畑作り。
これは私が申請したことで、何かあったら民に配る分。
そして広大な敷地について、そこは荒れ地だった。
しゃがんだ私が土を掴む。
「硬い・・・でもまだ生きてる土だわ」
――この敷地を全部まず、掘り起こすわけか・・・
そう思うと、扇を取り出して風魔法を発動させた。
「疾風っ」
そうすると歓声があがった。
操った風は鎌のように土につめあとを残した。
ルシーナ隊のひとりが言う。
「中をのぞくに、この土、生きてますっ」
「よーし、耕すぞーーー!!」とサクラ君の一声。
「うおおおー!!」と、農具を持ったルシーナ隊が雄叫びを上げた。
私「・・・すごい。胸キュン」
謎の人物「胸キュン?うんうん、なんだか分らなくもない」
ふりむくと、そこにいたのは兵糧庫の管理人。
三十代の女性。
笑顔が可愛いけど、自称人見知り。
三人兵たちが声をかけてくる。
「こっち、手伝って~。炊き出しとかの準備するから~」
私はそちらにふりむく。
「今日は要望で、簡易麺でしょうに?」
「あー、忘れてたー。じゃあお湯用意?簡単すぎるー!!」
・・・と言うことで、三人兵と兵糧庫の管理人ギョルンで料理の話合い。
疲れている兵士に、はちみつレモンを作ろう、と言うことになった。
衛生面で、はちみつに漬けたあと乾かすと旅の持ち運びが出来る可能性の話。
だとしたら少量の塩をかけたほうがいいのでは、と提案。
関心されて、試作品を作ってみる。
三人兵がバリアの中でレモンを切り、そのレモンに少量ずつはちみつをかけていく。
塩も少しふって・・・
そしてバリアの中にいれて風魔法で乾燥させる。
これは兵士たちに大好評だった。
それはいつのまにか、「レモンチップス」って呼ばれだした。
だいぶいいものだから、また欲しいと要望。
その要請に、三人兵とギョルンは喜んだ。
ギョルンの仮家である料理小屋を出て、畑の様子を見る。
今日は一日中、石を除ける作業のようだ。
なんとなくぼうっと作業をする兵士たちを見ていたら、「おい」と声がかかった。
「ん?」と振り向くと、そこにはサクラ君。
「いくらルシーナが美形ぞろいだかたって浮気してほしくない」
「う、うわき!?そんなつもりじゃないですよ!はぁ~・・・びっくりしたぁ」
不思議そうなサクラ君。
サクラ君は氷魔法を発動させて、強い日差しの中、涼しい風を兵士に届けている。
――普段からこんな日常的に魔法発動させて、大丈夫なんだろうか?
「サークラ―!!涼しい風、願うー!!」
「こうも暑いと意識が危ねぇっての」
「みなさーん、そろそろ食事にしましょー!!」とギョルンが声を通す。
皆がわらわらと集まって来て、今日の昼ご飯は簡易麺。
まず好みの味を選んで並び、配給係がお湯を入れ、各々(おのおの)休憩場所へ。
なにで食べるのか、って持参のフォーク。
これは個人的に常備しているように言われているものらしい。
あっちこっちから良い香りが漂ってくる。
思わず深呼吸。
――ラーメン。
サクラ君と久しぶりに一緒に食事をして、特に会話はないけど楽しかった。
プラスチックは敷地の端に穴を掘って、埋めた。
バイオマスプラスチック・・・土に還るもの。
同行していた自由同盟国の技師たちが興味深いと感心。
ラクは三人兵と一緒に食事をして、三人兵がラク独占を喜んでいた。
やっぱりラクは新しい簡易麺がそうとう気に入ったらしい、
「こんなに美味しいもの食べれるんなんて・・・もう死んでもいい」
と、またひとりごとを言っていたと三人兵から聞いた。
――
――――・・・
ふかふかになるまで耕した畑に、苗が植えられる。
〈サカス・サカセル〉で根付かせる。
そしてルシーナ隊から五百人、畑の管理としてその場に残る者を志願させた。
このあと実った食料は、この兵糧庫の場合、食べ物に困っている地区に配給される。
それと広大な土地となるので、少しだけルシーナ隊へ届ける分も。
届ける役割も決めて、そして旅立とうかって時だった。
◇畑で採れる予定のルシーナ隊に届けて欲しいもの確認◇
トマト
もろこし
芋
米
にんにく、にんにくの芽
レモンチップス
急にひらめいた。
「あっ、あとオレンジチップスはどうだろう?」
兵士たちは微笑した。
代表が言う。
「試作してみます」




