四話 甘い時間を目指して 其の壱
転生する前は、小さい頃、祖父母のいる田舎で一時期、育った。
芋の収穫を手伝ったこともあった。
畑を持っている祖父は自分で田畑を耕していて、私はそれを手伝っていた。
そう言えばこの村は、パルゼン、と言うらしい。
サクラ君と畑に行くと、農作業をしている人達がいた。
ドレスではなく、普通の服を着ている私に少し驚いていた。
長い髪の毛もヒモでまとめてある。
「ここが村の畑?」
「へ、へぇ。そうでございます・・・」そう言って農夫たちは目をそらした。
――私のことが怖いのか・・・?まぁ、とにかく話をしてみねば。
おどおどとしている村人たちは、サクラ君の言う通り、質素に暮らしている。
その服や顔つきでそれが知れる、お人好しな感じの顔ぶればかりだ。
今までつんけんしていてごめんなさい、と言うと皆が仰天していた。
緊張していたり、気分が悪かったりしてたんです、と言ってみる。
そうは見えない見た目かもしれないけど、と。
それからは案外と話の中に、サクラ君も参加した。
それも村人が驚いていた。
サクラ君はこの村を守る役割りでもあるんだけど、普段は特に喋らないらしい。
聖女様が目覚めた日から、何故か水の質が違う気がすると言われ苦笑。
困惑してもしょうがないよね?
誰に言ってるんだろう?
どう思って欲しいのかたずねたら、意外にも「可愛く思って欲しい」と言われた。
子供たちに「可愛く思って欲しいのか」をたずねてみると、素直に肯定された。
・・・なに、この村の村人!?
可愛い!!
すでに可愛いよ!?
それなら、皆が「望んでいいなら甘い芋も食べたい」って言うし、現状改善せねば!
まず普段、口にしている芋がこの世界に対して普通なのかどうか知りたい。
なので聞いてみたら、「甘くない」と言われた。
「どうして甘い芋を育てないの?」
「ないんです」
「甘い芋が?」
「いえ、村には金が・・・ないんです・・・」
「甘い芋の苗とか手に入らないの?」
「わしらは基本的に自給自足なもんで、早くできる芋がいいのかと」
「それが普段食べてる芋?」
「そうでございます」
「んん~・・・甘い芋の苗はどれくらいの値段なの?」
「種類にもよるんですが、苗売りが隣町にいまして、値段はざっと2倍です」
「・・・なるほど」
前の記憶の確認を取りたい。
だとしたら、隣町の苗売りに直談判よ。