参十七話 玄花:ヒョンファ
おにぎりの差し入れは、目覚めたばかりの兵士たちに喜ばれたらしい。
それから、申請していた巡回用の兵士について、本格的に検討してくれるらしい。
どんな兵士たちがいいのか聞かれて、「風と植物の魔法眷属を持つ者」と言った。
それではちょっと、言われる中、「更にバリア魔法が使えたら嬉しい」と要望。
これは三人兵と話をして思いついたもの。
すでに成功している。
風魔法で、音声を耳元に飛ばす。
そして風に混ぜて消す。
魔女ネヴァンがいるハゲドク山には障気がよどんでいる。
隣国との境目にあるなかなか大きな山で、森には毒カラスがいる。
毒素を持った植物くらいしかない。
なのでハゲドク山を越えて隣国に出入りするには、飛行船が必要。
正直、古代兵器につぎ込んでいる軍事費。
ただ友人になったフェルナルド・ゴッテスに相談してみた。
「飛行船を、貸してもらえませんか?」
「ああ、何に使うの?」
「本当に和平のために来たの?」
「そうだよ。だって古代兵器がなんなのか知ってるから」
「なに?」
「その話はまことしやかだから、なぜ飛行船を使いたいのか言ってくれないか?」
「ヒョンファ」
「玄花?解毒の花として有名だが・・・」
「隣国では、ヒョンファの栽培をしていたりしますか?」
「いや、特にしていない」
「植物系魔法使いは?」
「いるんだが、何が言いたいんだ?」
「文献を読んだら、種から一気に花を咲かせる方法を見つけたんです」
「ほう・・・ほうほう、ぜひ詳しく聞きたいね!」
「〈サカス・サカセル〉の植物魔法」
「意を察したよ。うちの国にも天啓があったがこのことか。協力するよ」
――
――――・・・
こうして、真っ白な巨大飛行船「ビゲン号」の中で、隣国の兵士たちの植物魔法の練習発動がはじまった。
望めば他の魔法も使えるようになるらしく、そして文献通りに練習するに能力が芽生えた、と報告があった。
ハゲドク山の、毒素を抜く。
それが私が提案したもので、フェルナルドは賛同してくれた。
ヒョンファを咲かせて、もろこしフィルムカップに土と一緒にいれておく。
種を採取して、保存しておく。
それを繰り返して、なるべく苗と種を作ってもらった。
・・・これで、どうにかなるかもしれない。
魔女ネヴァンの強みは、ハゲドク山の障気。
だとしたら皆が困っているその毒気を抜く活動を地道にするしなかない。
――白幕童子は、黒幕の反対の命。
白幕童子がサクラ君の髪の毛を欲したのは、翡翠髪が毒に強い性質を持ってること。
個人差があって、全部の毒になのかどうかはまだ分からないらしい。
髪の毛の成分を調べて、目薬を作っていることを知った。
ハゲドク山の障気は、まず目にダメージが強いらしい。
魔女ネヴァンは今のところ、その山のどこかで毒を吐きながら眠っている。
魔女の味方をしていると噂される毒カラスは、障気にやられたところ目を狙う。
兵士たちに鬨の声を幻聴させ、混乱させる。
・・・じゃあ、ヒョンファでなるべく解毒。
そして障気用の目薬の開発。
バリア魔法で、物質攻撃と魔法攻撃に対応する練習。
風魔法で、味方だけに届くように通信の練習。
その兵士たちと一緒に、魔女が目覚める前に巡回しておきたい申し出。
パルゼン村にいた頃の手紙のやりとりで解決の心当たりがある。
その提案が採用されて、国が与えてくれた兵士は二千人。
その二千人の兵士たちのひとくくりを、「ルシーナ」と命名。
意味は、「木漏れ日」。
どうも古いなまりらしいけど、王様が直々に名付けてくれたので兵士たちの士気すごい。
二千人を前に、姫として挨拶することになった。
「私はアメ。一緒に、同じ時代を生きましょう!以上ですっ」
とっても短い挨拶だったけど、ルシーナたちの歓声が上がった。
黒い軍服の兵士たちの中に、翡翠髪を見つける。
優等生としてこの集まりにの最前列。
隣にはラク・フレイアもいて、どうもルシーナに志願したらしい。
そして・・・ラックが大好きな三人兵も、料理係を兼任して参加してくれるらしい。
――まずは、王宮の庭をもっと見て回らないと。
そう思って植物園のほうにおもむいて、勉強を試みる。
案内役は女子で、名前はジルバ。
顔も喋り方も可愛い。
すぐに意気投合して、話は盛り上がった。




