参十五話 ふりかけおにぎり
数日に渡って行われる、魔法適合テスト。
三人兵は早々(そうそう)と魔法に適合したらしく、約束していたので厨房でおちあった。
サフ「風、雷、結界」
ルビ「風、炎、結界」
コハ「風、水、結界」
周りにいる料理人たちが、「魔法で料理でもするのかの?」と苦笑している。
三人兵に、どれくらい目覚めた副作用で眠っていたか聞いた。
「「三日」」
「おにぎりがあれば、だいぶ食べやすいと思うんだ」
「「おにぎり、ねぇ・・・」」
「具材とかあってね?梅干しとか、昆布とか、ツナマヨとか・・・」
「「うーん・・・分からない。知らない」」
「おにぎり自体も?」
「「知らない」」
「おにぎりの具が、容易に手に入らない・・・?」
ルビ「容易に手に入る具材ないの?」
「えーっと・・・・・・具材?ふりかけ、とか・・・ふりかけ!?」
サフ「それはなに?」
コハ「ふりかける・・・?」
「栄養のある、粉状の美味しいものなのっ」
困って唸っている三人兵をよそに、厨房を見渡す。
「そうだ!作ればいんだ!?ちょっとお願いがあるんですっ」
そう言って私が声をかけたのは、料理人のひとり。
少しぎょっとして「どうしたんです?」と聞かれる。
「そのさばいた小さな魚、骨に毒とかあったりしますか?」
「ないない。毒を持つやつはうちの国では王宮料理しない」
「じゃあ、この三枚おろしにされた小魚って、どうなるんですか?」
「廃棄です」
「あの、じゃあ、もらってもいいですかっ?」
「・・・食べるんですか?」
「あの、できるなら、良い感じで、油で揚げてもらえませんか?」
「ほう・・・どれくらい?」
「カリカリ」
「まぁ、大丈夫ですけど・・・」
そう言って揚げたれた小魚の山を、与えられた空間で三人兵に示す。
「これを・・・」
手で示して見せたのはフードプロセッサー。
「「ちょっと待て」」
「ん?」
コハ「こんなに大量に?壊れるよ?」
「じゃあ魔法でも使えって言うの?」
「「そうなんだよ」」
「え?」
「「魔法」」
「・・・まさか、前前から言ってた、風魔法っ?」
三人兵は笑って見せた。
ルビ「魔法料理、試してみようぜよ?」
「どうするの?」
サフ「結界に入れて、風魔法で粉砕する」
――
――――・・・
半球のバリアの器に揚げて油をきった小魚の骨と塩、それから炒った白ごまを入れた。
ふたを閉じた球体のバリアの中で、風魔法、発動。
「わーーーーーーっ」
ものすごい勢いで、乱動し、粉になっていく様子を夢中で見ていた。
様子を見ていた料理人たちも興味を示して、見ている。
できあがったふりかけを炊いたお米に混ぜて、清潔な手で握る。
三人兵と料理人たちが試食してくれた。
料理人のひとりが、「こりゃ便利だな」とぼやく。
三人兵は、普通に美味しいけどにぎる理由が分からない、と一貫して理解してくれなかった。
でも料理人さんたちは、「必要だと思う」と言ってくれた。
そのあと魔法適合テストのあとで目が覚めた兵士たちにふりかけおにぎりを出すために、『おにぎりの型』がすぐに料理人、考案により開発された。
どうも、食べやすいのは認めるけど、素手で作るのは受け入れがたいらしい。
それから大根みたな野菜の葉っぱを見つけて、「庶民の食べ物」だと言われた。
細かく切って醤油で味をつけて、試作のふりかけに混ぜてヴァージョンアップ。
感想を聞くと、「斬新で素朴」「安心してしまう」と言う嬉しいかもしれないもの多数。
特にお米を食べない地区の兵士たちが、「導入して里に知らせたい」と言った。
――そう言えば、この国の田舎にはまだ貧しい地区もある。
小魚のふりかけを作ろうにも、その貧しい地区に魔法が使えるひともフードプロセッサーもない。
じゃあ、魔女討伐の折り、魔女が眠りから覚める前から民に施しをしたい。
「そのための兵士たちが欲しいです」
そう申し出た私に、王様もお妃様も仰天していた。




