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三十話 王様とお妃様


 ――・・・ああ、そうか。レイン姫のご両親ってことになるのか。



 お風呂に入って髪をかわかして、着替えをして軽くお化粧。


 侍女じじょたちが「お綺麗ですよ」と鏡ごしに微笑んでいる。


 ありがとう、と言って鏡を見ると、やっぱり美人。



 ――異世界転生したんだ・・・ご両親はどんな気持ちなんだろう?



 『謁見えっけん』に呼ばれて、習った系式の挨拶をする。


「うん、おもてをあげなさい。アメ」


「はい、王様」



 ――『レイン』じゃないのね。緊張してきた。



 顔を上げると、そこには美丈夫びじょうぶと美女。


 上質な衣を着ていて、椅子に座っているふたりに対面している。



「歓迎します、アメ」


「君が異世界転生した件で、我が娘レインの身体が選ばれた」



 泣きそうになるのをぐっと抑えて、平静へいせいでいようと思った。


 ちょっと視界がうるむ。



「正直に言おう・・・私はレインが苦手だった」


「わたくしも、産んでおいてなんだけど、あのこは姿に恵まれていただけよ」



 ――・・・え?



 顔に出てしまったんだろう。王様とお妃様は苦笑した。



「天啓で君は選ばれた」


「それが神の意思であり、あなたは姫としてこれから生きてもらいます。王宮で」



「ずっと・・・ですか?」



「それでもいいのですよ」


「うんうん」



「私、できれば魔女討伐隊に着いて行きたいです」



「ほう・・・好いている男でもいるのか?」


 少しぎょっとして私は顔を赤らめてしまった。


「・・・はい」



「それならそれでいいんじゃない?ねぇ、あなた?」


「うーん、まぁ、魔法が使えないと足手まといだけどなぁ」



「魔法?」



「そうなんだよ。それで納得するなら適正てきせいテストを受けてみるといい」


「え、いいんですか?」


「天啓が最終的には彼女本人に決めさせろと言ったの」


「・・・なるほど・・・」



 ――少し、怖い。



 暗くなった私の表情を受け取って王様が切り出した。


「アメ、君の身体は優秀な姿をしている。そしてアメ本人の人格を認めたい」


「え?」


「大丈夫。城に手紙が来てね。隣国の王子のひとりフェルナルド・ゴッテスとやりとりをしていたのだが、君の身体の『許嫁候補』にしてあるよ」


「・・・はぁっ!?」


「ははは。ついでに紹介しておこう」


「フェルナルド」


「は?」


 入室にゅうしつしてきたのは上質な衣を着た美青年。


 こちらを見て、微笑んだ。


「はじめまして、レイン・・・いや、アメ?我、フェルナルド・ゴッテス」


「はーーーーーー!?ああ、びっっくりしたぁ。なにっ?なに?」


「まぁまぁ、落ち着きなさい。目があったからってそれだけで子供はできないから」



 ――・・・王室ギャグ?



 近づいて来たゴッテスがかしずいて、いつの間にか私の手のこうにキスをした。


 その低姿勢ていしせいのまま、顔を上げて彼は言った。



「我の求愛を受けられよ」



 頭の中が真っ白になって、気が遠のいた。


 気絶した私の身体をその場でささえたのは、サクラ君じゃなくゴッテスだった。


 

 ――

 ――――・・・



 自室に運ばれた私は、ベッドに横になっていて、目覚めるとそこには人影。


 フェルナルド・ゴッテス。



「大丈夫、何もしてません」


「どうして『私』・・・?」



 彼は意外そうにした。


「我は純粋にあなたにかれてもいる。最良の姫。和平わへいのために我は来た」


「・・・わたしには、ムズカシイ・・・」


「異世界転生してきたことは聞いています。大丈夫。あなただからだ」


「どうして『私』・・・?」


「あなたは・・・美しい。姿形だけでは、ない。アメ、あなたを気に入っている」



 ――『私』を?


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