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参話 姫として


 聖女様はいわば『引きこもり』とか『インドア』ってやつに近かったらしい。


 ただ、姫っていうレッテルをられてる、とトラウマを日記に見つけた。


 つんけんしてしまう、と。


 自分を守るために、相手を傷つけないように、極力きょくりょく何も顔に出さないようにしていた。


 ただ、我慢がまんできない時もあって・・・って。


 そんな風に書いてあった。


 読書家だったのは引きこもる理由の建前たてまえらしい。



 姫として。姫として。姫として。



 そんな記憶がわだかまっている。


 美しくないと国のためじゃない、と。



 ――美人に生まれるとそれはそれで苦労するんだなぁ・・・



 つまりはイメージをまもりたかった、みたいに言うし聞こえるかもしれないのか。


 だとしたら・・・イメチェンしよう!!


 イメージチェンジ!!


 ――

 ――――・・・ 


 そう言えば現状、なぜ姫である私が聖女になったのか。


 それは隣国が領地争りょうちあらそいを仕掛しかけてきたことに由来する。


 悪い魔女にそそのかされて、冷戦れいせんが続いていたものの、戦いは現実味をびて・・・


 そして子種を残すために、姫である『彼女』は逃げるためにここに移された。


 劣勢れっせいであると見た許嫁は婚約を破棄はき、国は古代兵器の復活を夢みて金を使っている。


 そんな事情で移って来た聖女様の傭兵としてサクラ君が選ばれた。


 姫の好みを聞いて、何かあったら子孫を残すように言われている傭兵。



 どうしよう・・・相手がイヤじゃなかったら、そういうことしてみたい!



 ・・・ああ、しみじみあきれて言われた。


 彼の里は、子供を成してもキスはしない夫婦がいるのが当たり前。


 その環境で育った彼は、運命の相手だと確信しないとキスをしない体質らしい。


 それをラク神父から聞いた。


 あの時、眠りから私を目覚めさせた人物について、ラク神父は肩をすくめるだけだった。


 異世界でも肩をすくめる、ってあるんだ?


 ラク神父に『ピースサイン』と『指で作るハート型』を教えたら喜んでいた。


 ピースサインは「良からぬ者よ去れ」って意味で伝えた。


 大丈夫かな?


 相手が神父さまだしなぁ。


 そう言えば写真とかってあるのかな?


 ピースサインって写真に写る時に使うものだって、なんだか違和感を感じ始めた。


 理解のないひとからラク神父がいじめられたらどうしよう?


 なんだか怖くなってきた。



 そうか、『彼女』も・・・怖かったんだ・・・ひとりで。

 


 もうひとりじゃない、って言われたかったんだ。


 日記を読むに、国を想っているのに・・・そうは見えない見た目。


 

 よし!


 まずはラク神父かサクラ君と村を巡回じゅんかいしてみよう。


 この村のことをもっと知りたい。



現状げんじょうを知りたい」


 そう言うと、サクラ君が「なんのため?」と聞いてきた。


「この村には甘いものが足りない気がする」


「ああそうやな。芋ばっかりじゃ。『シルクベッドさん』よ!」



「・・・はぁっ!?この村で一緒に生きてるんだから話合いくらいしろっ!!」


「・・・は?」



「なに?」


「この村はわけあって寄り集まったビンボーばっかりじゃ」



「わけ?」


「それは色々じゃ」



「全体的に話合いの場は?」


「とりあえず国の慈悲じひでこの村があるから、これ以上は望まないって話じゃ」



「ええっ?」


「・・・本当に記憶がないんだな・・・」



「それってここだけっ?」


「知らんわそんなん」



「あなたは芋だけでいいんですか?」


「は?」



「私の口に入る芋は、皆が食べてる芋ですか?」


「あんたは一番甘そうな芋を食べてるんじゃ」



「・・・だったら改善せねば」


「なに言うとる?」



「美味しい芋が食べたい」


「ああ、なんや、姫さんのわがままか」



「畑!」


「なに・・・?」



「畑の現場に行ってみましょうよ!」


「・・・まぁ、ええねんけど・・・ドレス汚れる可能性あるで?」



「じゃあ、着替えを!」



 私は何かあった時に民間みんかんに紛れるための服があって、それに着替えた。

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