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二十参話 美味しくない魚缶


「う、わー。うっわー。魚の缶詰!?食べてみたい!水煮?食べてみたい!」


 隣町の万屋でテンションが上がってる私が発見したのは『魚缶』。


 前世ではサバがオーソドックスな魚缶だったなぁ。


 あと、いわしとか。


「ポケットマネーで買います!」


 店の店主が「魚缶を食べたことがないのかい?」と聞く。


「こちらではまだ」


「・・・ん?」


 ラク神父が割って入る。


「はい、これを1個買いますので。アメさん、そろそろ帰りますよ」


「はーい」



 村に帰って炊きたてのお米を前に、さっそく魚缶を開けてみる。


 ・・・ん?


 良い匂い?なの、かしら??


「いっただきまーす」


 期待いっぱいに口の中にいれて、もぐもぐと食べて、苦しみながら飲み込む。


「・・・美味しくない」


 一緒に食事をしていたラク神父たちが苦笑。


「それくらいが魚缶の普通です」


「だとしたら値段が高すぎる!」



「それはしょうがないんです」


「政策はとらないんですかっ?」



「ん?」


「何を食べてるの、この缶詰になる魚!?」



 ラク神父が「知ってますけど、ショックかもしれまんよ」と言う。


「なんです?」


「ドックフードなんです」


「はぁ!?美味しいわけがないっ」



「「「うーん・・・」」」



「これ、今は食べたくないのでイヤじゃなかったら誰か食べて下さい」


「いいいの!?」と言って三人兵が開けた缶詰を食べる。


「うんうん」


「こんな感じだよね、どこのも?」



 めまいがしてきた。


 美味しくない缶詰が当たり前なんだ、この国!?


 ありえない!!


 ・・・・・・・・・あれ?



「・・・そう言えば、お米はありますよね」


「あります」とラク神父。


「じゃあ、酒粕さけかすは?」


「「「さけかす、って何?」」」


「この缶詰にされる魚は、養殖ですか?」


 ラク神父が「そうですよ」と答える。


「じゃあ、産地は?」


「どうしたんです?」


「前にラク神父、米酒があるって言ってましたよね?栗ご飯の時に入れたし」


「まさか・・・魚にお酒あげればいい、って言ってるんですかっ?」


「は?お酒そのものじゃなくて、酒粕と雑穀ざっこくにしたらいいんです」


「・・・なんだって!?」



 聞くに、魚缶さかなかん製造養殖せいぞうようしょくをしているのはとある漁村。


 私は前世、山と海にはさまれた畑あたりで幼少期ようしょうきをすごした。


 少しだけくわしいつもりではいる。



「すぐに。すぐに手紙を書きます。早馬はやうまを」


 三人兵が立ち上がった。


「じゅーんび」


「じゅーんびっ」


「準備っ」



 こうして食事の時間から手紙を書く時間に変ったのは、とあることがリンクしたから。


 米酒を作っている製造所にも手紙を書く。


 すると1週間くらいだけど返事がすぐに来たので、内容を咀嚼そしゃくしてみる。



――そう言えばこちらの手紙は、なるべく短くまとめるのが情緒じょうちょなのかな。



酒の製造所【酒粕を別けてもいいですよ】


魚の缶詰のための養殖場〖それで魚が美味しくなったら軍が占めるんじゃないかって不安があるのであまり美味しくしなかったんです。姫からの直々の手紙、感謝。酒粕と雑穀で魚を育ててみます〗


 とのこと。


 それから、魚の養殖場からの相談。


〖魚で育てているヤギが美味しくない〗


私〖漁村なんですよね?茎わかめとかあるならそれを食べさせてみて?〗


魚の養殖場〖育てている牛も美味しくないんです。発酵した雑穀じゃダメなのでしょうか?〗


 私はその漁村の近くに畑があるのかどうか調べた。


 そして、めぼしい畑はなかった。


私〖もろこしで牛を育てるのが最善です、心当たりありませんか?〗


魚の養殖場〖親戚にもろこし育ててるのがいる!姫さん、ありがとう!〗


 ――

 ――――・・・


サクラ君「ちんぷんかんぷんや」



 こうして私の姫としての相談役が、少しあと有名になった。

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