二十弐話 平穏(へいおん)な世界へ
ラク神父に「そろそろこちらの世界のことを少し知ってもらいたいです」と言われた。
はい、と、いずまいを正して椅子に座っている私。
側の壁には腕を組んでもたれているサクラ君がいる。
グラノノエール:この星か世界の名前
グラノノエールの地図:未完成
政治面:州国
隣国:魔女にたぶらかされて和平を揺るがしている
この国:古代兵器の復活について、諸々を不安にさせているが事情を言わない
魔女の名前:ネヴァン
ネヴァンの得意技:障気
障気への対応法:解毒の花と解毒薬、毒無効薬の生成
解毒薬と毒無効薬:白幕童子たちがサクラ君の髪の毛を採取した理由
サクラ君の特殊体質:翡翠色の髪の毛は解毒薬の研究に使われている
翡翠色の髪の毛:珍しい
魔法について:適性があり、複数の適性がある者もいる
機械文明において:州国であるに、文明は色とりどり
ラク神父について:百五十年くらい前に機械化された軍人
魔法の適性について:魔法力の目覚めには、珍しい宝石が必要
レイン姫について:少し前までは遠巻きにされていた
アメについて:仮のレイン姫としてかなり村人たちや隣町あたりから人気
そのアメについてのラク神父の感想:頑張っていて可愛い
「わー、本当ですかっ?」
ラク神父はにっこりと笑った。
「はい。あなたは可愛いです」
「わー、わー、初めて自分を認めたくなったー!!わー、よかったぁ。生まれ変わって・・・う、う、わ、たし、あちらでは、なにも、できなくて・・・」
「めちゃくちゃ頑張ってるやん!何言うとる!?」と動揺するサクラ君の声。
「アメさん、ラクはあなたのことを好いています。本当ですよ」
そう言ってラク神父は頭を撫でてくれた。
思わずだきついて、「あらあら」と呆れられる。
「神様ーー!!ありがとうですーー!!でもーー・・・拝むとか分からないぃ」
壁際に腕を組んでもれていたサクラ君がちょっと体勢を崩して、持ち直した。
「何も問題ないか、大問題やな・・・どっちか分かれへん」
――
――――・・・
そのあと聖堂に行って、いつものお祈り。
「拝んでないとしたら、いつも何をしてたの?」と六人兵たち。
「いつも、平穏でありますように、って祈ってたんです」
「「「おお」」」
「ん?」
「「「いい、いい」」」
「拝むが何なのかよくは分からないけど、皆さんの平穏と安息を祈る心はあるので」
「「「おお・・・」」」
「ん?」
「「「いい、いい」」」
――
――――・・・
この国では、基本的に『聖善:せぜん』と言う思想を信仰しているらしい。
村の皆も普通にその思想を持っていて、私が適合するひとなのか心配してくれていた。
十善道からなる四魂のリズムの話をされて、リズム?と不思議がる。
ラク神父も、案外と話しが通じることを意外がっている。
十善道:十悪をしないこと。
四魂:心の基本構造をよっつを、「なおひ」でひとくくり円滑に発動すること
四魂のリズム、と言うのは初めて聞く。
「どういうのですか?」
「不安になったりする時にぼやくんです。とせ、もせ、ちせ、ませ」
十聖、百聖、千聖、万聖
「これは、拝んだことになりますか?」
「いえ、平和のための思想なんです」
思わず小さく何度かうなずいた。
そしたらラク神父は私の目を見ながら、うなずいてくれた。
「君はえらい」
そのあと村人さんたちが、山から収穫してきたとクルミをくれた。
口に入れて、そう言えばクルミってナッツだろうか、とか思う。
まぁ、別にナッツアレルギーではないみたいだし、いいか。
麦芽とクルミを混ぜたパンを焼くことにした。
主婦さんたちが「形どうする?」と言う。
ここは縁起よく丸型かな、と聞こえた。
「ちぎりパン・・・」
「なに、ちぎりパン、って?」
「こねて、太い棒状にして、目分量等間隔でちぎって焼く!ちぎりパン!」
「・・・そんな簡単でいいの!?」
「美味しさに変わりはありません!!」
「じゃあちぎろう!」
「ちぎーる、ちぎーる、ちぎっちゃう!!」
そんなこんなで、またラク神父ごしに、城から「採用」の知らせが来た。
ラク神父の話によると、地方では貧しい村がまだあるのが普通らしい。
国がどうにしかしてあげたらいいのに・・・って、私、『姫』じゃん!?
城に手紙を書いた。
ラク神父に届けた。
【城の〈サカス・サカセル〉の魔法が使える兵士に、クルミの苗を担当させて下さい。その苗を義倉の日当たりの良い場所で育てて下さい。クルミは成功したら百年は実るそうです。どうか検討をして下さい】
即刻で城から返事が来た・・・・「採用」。
そしてそれからは、地方からお礼と意見と相談が届くようになったらしい。
その担当をできるだけ私がしたい、と言うと皆が仰天した。
なぜか関わりたい。
なにかとても善い意思から守護をしてもらっている心地。
できる。
なぜか知っている。
私なりにできることが、私にしかできないことかもしれない。
やらなきゃいけない。
このままじゃイヤだから。
神にすら、認められたい。
木漏れ日の中で眠る子供達の夢。
そこに自分がいて、サクラ君が笑いながら赤ちゃんをだっこしていた。
たとえ異世界でも。
木漏れ日は優しく踊っているから。
この世界は、私に普通に呼吸ができる居場所をくれてるから。
神様、わたし・・・平穏な世界がいいです。
そのために頑張ってみます。




