十九話 色気と食(く)い気
朝起きたら顔を洗って、ふかふかタオルで水気をぬぐって。
美容クリームジェルでケアをして、長い髪を解く。
美容リップクリームを塗ったら、着替え。
シャツにロングスカートに、ブーツ。
サクラ君とラク神父からもらったいつものアクセサリーを付けて、身支度完了!
今日は村にレモンが届く日。
そういば大学芋は大好評だったから、ポケットマネー出してよかった♪
自分的にも美味しかったし。
ただ、畑仕事なんかをしているひとたちがめまいに悩んでいた。
単なる勘なんだけど、この村には牛乳とビタミンCが足りない。
牛乳は先日、業者と契約をしておいた。
もう配達はあって、クール魔法で傷んだものはない。
皆大喜びだけど、飲みにくそうにしているひともちらほら見かけた。
これは改善せねば、と、蜂蜜を輸入。
それでも飲みにくい、と言われ、もしかしたらと思ってコーヒーの話をした。
するとラク神父が「大丈夫、ありますよ」と返事をくれた。
そう言えば聖地でコーヒーみたいの飲んだっけ?
軍人たちには「コゲミズ」って呼ばれていたらしい。
焦げた水。
それを聞いて、水を煮込んで焦がすもんだと思ったひとがいる話をしてもらった。
・・・ああ、そうそう。コーヒー豆を輸入した。
煮出しをしようとしている村人さんたちに、ラク神父が作り方を教えてくれた。
サクラ君もコーヒーには大喜び。
「うーわー、コゲミズ!!久しぶりや~。うちの里でも『コゲミズ』言うねん」
そうなんだ??
専門用語が里のなまりなのは、サクラ君の里コーヒー豆作ってたらしい。
頑張って輸入してよかった。
めっちゃ嬉しそうな顔をしてるぅ。
「聖女様の御慈悲に感謝します」と村人の老人たちに頭を下げられた。
慌ててしまいそうな心地だけど、ここは決めねば、と聖女感を望む姿勢。
「お役にたててなによりです」
泣き出す老人たちを前に、サクラ君が護衛をしてくれる。
ラク神父は側にいて、「少しくらいいいでしょう」と言って不思議そう。
「わしの女じゃ。さがりぃや」
「どこまで進んだんじゃ?」
「いやーーーん。いやーーんっ」
「なんなんだ?」
「サクラは、照れて答えたくないと「いやーん」と言うなまりを持っています」
老人たちがうんうんと何度かうなずく。
進展があるといいね、と優しく声をかけて老人たちが畑仕事に戻る。
サクラ君はまだ聖女様の花を咲かせてないらしいとぼやいているのが聞こえた。
村の子供たちが「どんな花?」と聞いている。
なんと答えたのかは遠のいて聞こえなかったけど、子供達が不思議そうにしていた。
――
――――・・・
レモンが届いて、まず考案した「レモネード」をサクラ君とラク神父たちは知っていた。
レモン果汁に砂糖かシロップを混ぜて、水で割る飲み物。
皮の部分の風味もいいから、何かに使えないかなと思ったら前世を思い出した。
「はちみつレモン!!」
「・・・ん?それはなんや?」
村人にレモネードを配ったあと余った分を薄切りにして蜂蜜に漬けた。
それはサクラ君もラク神父も知らなかったみたい。
壱時間半くらい漬けたものを味見してもらって、気に入られた。
「これは最高レベルですね」
「すっごいなぁ。うまいでこれ」
「レモンって一般的ですか?」
「いいや、大量生産で軍の本部に届くくらいだ。それくらい普及してない」
「ビタミンCの摂取は大事・・・本部って?」
「小分けにした班が方々にあるんです」
「・・・じゃあ、そちらでも大量に作らせて下さい!別ける分想定で!」
後日、ラク神父の報告の時期が来たらしく、城から「採用」の知らせがあった。
はちみつレモン。
かなり好評らしい。
城にいる兵士さんたちもきっと頑張ってるんだろうなぁ。
少しでも役にたっていたら、そりゃ嬉しいよ。
それから地方班でのレモン栽培も「採用」。
そちらにも蜂蜜レモンの話をしておいてあるらしい。
でもなぁ・・・古代兵器、再構築中?
古代兵器ってなんだろう??
普通に生きていて手に入る情報かどうかすら分からない。
なんで今更、隣国と冷戦状態なんだろう、とぼやく村人もいる。
そんな知識がまったく縁がなかったから、どうしていいのか分からない。
今は村人と美味しい食べ物を食べて、サクラ君と試行錯誤したいだけだよ。
サクラ君、奥手すぎないかっ!?




