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ウチに来て妹をファックしろ!

寺門雅人──交際歴無し、童貞。

近藤伊織──交際歴皆無、軍曹。

近藤 椋──交際歴有り、見た目は美少女だが素敵な男根をお持ちでいらっしゃる。

「お前等は等しく無価値だ! もっと声を出せ!!」

「サー! イエッサー!」


 日々の訓練は錆び付いた俺の人生に活力を与えてくれる。

 モーニングコーヒーよりも刺激的で、ロックより破壊的だ。

 この世に神とやらが居るとしたら、俺は容赦なくソイツに銃を向けるだろう。このイカれ切った世界を奴から解放する為に……。



「本日の訓練はこれにて終了となる! 訓練生として三ヶ月が過ぎた! お前等、先ずは耐えきったな!!」

「サー! イエッサー!!」

「入隊当初とは明らかに顔付きが変わった! 今日だけはママに頭を撫でて貰う事を許可する!!」

「サー! イエッサー!!」


 三ヶ月間、実に長い時間だった。

 脱落した友人達、傷を負った仲間達、そしていつも容赦ない鬼軍曹。それでもまだ三ヶ月かと思うとこれから先が恐ろしく思える。


「明日と明後日は休みとなる! しっかりと鋭気を養うように!!」

「サー! イエッサー!!」

「解散!!」


 寮に戻る者、近くの自宅へと戻る者。訓練を終え、皆が散り散りに歩いてゆく。俺も近くにアパートを借りている。歩いて五分。走って二分だ。


「寺門二等兵」

「サー!」


 アパートへ向かおうとすると、近藤伊織軍曹に呼び止められた。顎髭がたくましく、クールな眼帯が最高にいかしている実に凛々しい筋肉の御仁だ。まさに男の中の男! 俺の憧れでもあり、この人に憧れて特殊部隊に志願したと言っても過言ではない。


「寺門二等兵よ。よく聞け」

「サー! イエッサー!」

「優秀なお前に今から特別任務を与える」

「サー!」


 なんだ? そんな事聞いてないぞ?

 あれか? 俺が優秀過ぎか?


「ウチに来て妹をファックしろ!」

「サー! イエッ…………は?」


 勢いで返事しかけて素っ頓狂な声が出てしまった。俺の聞き違いじゃなければ今、ファックとか言わなかったか?


「何をアホ面をしている!」

「サー! イエッサー!!」


 慌てて顔を引き締める。鬼軍曹の表情はいつも通り険しい。これは真面目な任務なのか……!!


「今から言う住所へ向かい、妹をファックせよ寺門二等兵! 本人には伝えてある! そしてこれは任務である、心せよ!」

「サー! イエッサー!!」




 詳しい事情は分からぬまま、俺は言われるがままに目的地へと向かった。走って行ける距離だったので全力疾走で駆け抜けた。


「すっげ……」


 そこは俺のオンボロアパートとは比べものにならない程、立派なマンションだった。水道からワインとか出るんだろうか?


「……608号室608号室、と」


 入口のタッチパネルで部屋番号を押す。すると画面になまら乳のデカい美女が現れた。


「はい」

「えっと……近藤軍曹に呼ばれて来ました寺門雅人です」


 美女は深い谷間を画面いっぱいに見せながら、笑顔でロックを解除してくれた。一体これから何が始まるんだ……!?


「どうぞ~♪」


 促されるままにマンションの中へ。興奮を静めるために階段を使う。丁度良い運動だ。

 インターフォンを押すとすぐに鍵が開き、そっと件の美女が出迎えてくれた。薄い白の肩紐タイプの、キャミソールというやつだろうか。刺激的な出迎えに俺は思わず生唾を飲んだ。


「お邪魔いたします……!」

「いらっしゃいませ♪」


 部屋は良い匂いがした。美女の香りだ。

 清潔感のあるキッチンに、オシャレなコーヒーミル。普段からジュースを作っているのだろうか、新鮮なフルーツとジューサーがダイニングに置かれていた。


「あ、あのー……これから何が始まるんです?」

「ふふ……♪」


 美女が怪しげに笑った。とても良くない気がするが軍曹に呼ばれて来ただけなので、どうしようもない。

 軍曹の妹がこんな美女で驚いているが、今から俺は任務としてこの人とファックしなくてはならないと思うと、実に後ろめたい。でも任務には逆らえないのだ!! ビバ公務員……!!



「遅かったな寺門二等兵!」

「ぐ、軍曹……!?」


 部屋の奥から軍曹が現れた。走ってきたのに何故俺よりも早く……!?


「ハハ、何故自分より先に来ているのか不思議そうだな」


 と言って窓を指さす軍曹。窓から下を見ると、ロープが地面に垂れ下がっていた。嘘だろ、登ってきたのかよ……。


「日々これ訓練なり!」


 流石俺が憧れた軍曹だ!! 志が違うぜ……!!


「もう! お姉ちゃんったら! 管理人さんに怒られるから普通に入ってきてよ! こないだなんか大きい吸盤で登ってきたでしょ!?」

「ハハハ! 気にするな!」

「お姉ちゃんが気にしてよ!!」


 何故か和気あいあいと和ましいやりとりが始まった。

 それよりも、だ。

 今、()()()()()って言わなかったか?


「寺門二等兵!」

「サー!」

「紹介しよう。妹の(りょう)だ」

「初めまして、近藤椋です。宜しくお願いします♪」

「宜しくお願いします!!」


 ババッと深いお辞儀をした。これから深いファック関係になるのだ。これくらいはマナーである。


「因みにコイツは男だ」

「──!?」


 キャミソールをめくると、女物の下着の中にトウモロコシのような膨らみがあった。何故下着の中にトウモロコシを?


「お姉ちゃん何するの! 口で言えば良いじゃない!」

「ハハハ! 見た方が早いさ! ほら」

「あっ! 雅人さんお気を確かに……!!」


 肩を叩かれ意識が戻るような感じがした。

 

「あのー、御説明を頂戴しても宜しいでしょうか?」

「ダメだ」

「お姉ちゃん!」

「むぅ……」


 椋さんに言われ、しょげる軍曹。だからお姉ちゃんの部分も含めて説明プリーズなんですけど。


「そのトウモロコシは天然?」

「え?」


 (しも)を指さすと、椋さんは恥ずかしそうに「自然栽培です……」と返事をした。なんてこった。


「そっちは無農薬?」


 上を指さすと自信ありげに胸を張り、腰に手を当て「完全無農薬です!」と鼻息をならした。宇宙って広いんだなぁ……。


「……で、軍曹は?」

「私か?」


 軍曹が顎髭に手を当てた。


 ──ビリビリッ


 顎髭が外れてゆく。まさかそれ、付け髭だったのですか……!?


「近藤伊織お姉ちゃんは、なんと女の子でしたー! わー、パチパチー!」

「ワハハ! どうだ!」


 そんな……軍曹が女だと!?


 今の今まで髭のイケオジかと思っていた鬼軍曹が女だった事に、正直驚きというかショックを隠せない。

 確かに肌はきめ細かくて、吹き出物とか無いし、声もガッツリおっさん的な感じでも無いし、そんな感じがこれまた妙に良い感じだったのに、まさか女だったとは……!!


「女だと舐められるからな。騙していたことは詫びる。そして正体を明かしたことには理由がある……!!」

「お姉ちゃん頑張れ……!」


 突然の事に呆然とする俺を置き去りに、軍曹が話を続ける。


「寺門二等兵!」

「サ、サー……!」

「私をファックしてもらえないか!?」

「サー! ……はぁ?」


 天下御免の鬼軍曹様が女だったかと思えば今度はファックしろだと!? 俺は今夢を見ているのか!? それとも訓練がキツすぎて頭がどうにかなっちまったのか!?


「それとも当初の予定通り()をファックするか!?」


 ……トウモロコシ。それが頭を過った。


「ごめんなさい。私を餌に呼び寄せて『実はお姉ちゃんでしたー』からの『じゃあ伊織さんをファックするよー♪』作戦なんです」

「……」


 なんなんだその訳のわからない作戦は……クソッ。すげーやられた気分だ。この人本当に軍人か?


「すまない。こうでもしないとファックしてくれないと思ってな」

「そもそも何故ファックされたいんですか、軍曹は……」


 軍曹が恥ずかしそうに軍帽を脱ぐと、帽子の中に隠していた深緑色の長い髪がシュルっと垂れた。嗚呼、本当に女性なんだなぁ。と思うほど、それは似合っていた。


「あれは入隊間もない頃……訓練終わりの私の服に毛虫がついていたのを覚えているか?」

「ええ」


 軍曹がやけに慌てていると思ったら服に毛虫が付いていて、他の奴らは笑っていたが俺は軍曹が笑われているのが耐えられなくて毛虫をすぐに取ってあげた。軍曹は恥ずかしそうにそっぽを向いてすぐに走り去ってしまったが……。


「あの時、毛虫を取ってくれたお前の顔が実に頼もしくてな。私はすぐにジュン、ときた」

 

 もうちょいオブラートに包んでくれ。


「君にならファックされてもいいと」


 どゆこと?

 この軍曹、訓練のさせすぎでちょっと回路が逝ってしまわれたのではなかろうか。ビタミンは足りているのだろうか?


「雅人さん!」

「サ、サー!」


 勢いよく妹さんに呼ばれ、思わず敬礼。クセって怖い。


「お姉ちゃんは悪ふざけでファックとか言ってるけれど、本当はただ単に雅人さんの事が好きなんです!」

「だからファックしてもいいぞ! わかったか!」

「サー! ちょっとよく分からないですサー!」

「これは命令だ!! 寺門二等兵! 覚悟を決めろ!!」

「サー!」


 メッチャ公私混同、いや、公私近藤……いや、なんでもない。それどころではないな。


「妹にファックされるか、姉である私をファックするか選べ!!」

「……に?」

「ふふ」


 見れば妹さんが手をワナワナとさせていた。嫌な予感しかしない。


「私も今日お会いして、直感的に雅人さんの事……多分好きだなぁって……」

「いやいやいやいや」

「私を選ぶか!?」

「いやいやいやいや」


 二人がじりじりと歩み寄ってくる。ヤバい。いろいろな意味でヤバいと脳内に住まう本能寺の和尚が告げている。


「失礼します!!」

「待てっ!」


 二人の間を抜け、窓から素早く降りる。軍曹が登ってきたロープを使い素早く地上へ降り立ち、颯爽と逃げた。


「うーん、良い動きだ」


 軍曹のお褒めの言葉を背に受け、俺は窮地を離脱した。

 あの姉妹は危険だ。関わってはいけないと頭の中の本能寺の和尚もそう言っているが、煩悩寺の和尚は少し勿体なかったと渋い顔をしていた。

連載下手くそ人間ですがすんごい頭抱えて書きました。絶対に面白いのでブクマ宜しくお願い致す!!

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[良い点] おおー、連載版がまさか来るとは・・・! 年明け早々ラッキー!
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