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第96話 初めてのクエスト

 冒険者ギルドの入り口付近にある、大型の掲示板──通称「クエスト掲示板」


 これは日々の「クエスト依頼書」が貼り出される場所で、仕事がほしい冒険者たちが定期的に確認しにくるのだという。


 特に早朝は貼り出されるクエストの数が多く、掲示板前はたくさんの冒険者でごった返して、クエスト争奪戦の様相になるのだとか。


 昼過ぎである今の時間は、掲示板の前はがらんとしていた。

 俺たちはそこに行って、貼り出されているクエストを確認してみる。


 といっても、貼られているクエストの数は少ない。

 めぼしいものは持っていかれた後なのだろう。


 残っているのは「失踪した猫を探してほしい。報酬:銀貨3枚」だとか「夫の不倫調査をしてほしい。報酬:銀貨5枚」だのといった、それはモンスター退治の専門家に頼むようなものなのか? と問いたくなるようなものばかり。

 しかも報酬が、こんなのを引き受けていて生活できるのかと疑いたくなるほど安い。


 ただ冒険者は街の何でも屋として扱われている側面もあり、こういったクエストでも、食い詰めた冒険者なら引き受けることもあるのだとか。


 だがそんな余り物だらけのクエスト掲示板の前に、ギルドの職員らしき人物がやってきた。

 職員は一枚のクエスト依頼書を掲示板に貼りつけると、その場から立ち去っていく。


───────────────────────


 クエスト概要……ゴブリン退治

 クエストランク……E(推奨レベル:5レベル~)

 依頼人……ウォルズ村の村長

 クエスト内容……村の近くの洞窟に棲みついたゴブリンの群れを退治してほしい。

 補足……見込まれるゴブリンの数は十体から二十体程度。ホブゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンシャーマンらしき個体の目撃報告もあり。

 報酬……金貨12枚


───────────────────────


 こんな内容のクエスト依頼書が、今、俺たちの目の前に現れたのだ。


 ところで、今の俺たちに与えられているミッションのうち、未達成のものをピックアップするとこんな感じになる。


───────────────────────


・人口1万人以上の街に到達する……獲得経験値3000

・ゴブリンを10体討伐する(0/10)……獲得経験値2000

・Eランククエストを1回クリアする(0/1)……獲得経験値2000


───────────────────────


 これはひょっとして、チャンスなのでは……?


 ていうかこのクエスト依頼書、すぐに取らないと、ほかの冒険者たちに持っていかれてしまうのでは?


 俺は風音さんと弓月のほうを見る。

 二人はぶるぶると首を横に振って、また「どーぞどーぞ」といった様子で俺に判断を委ねてきた。


 ──ええい、ままよ!

 俺はクエスト依頼書をはがして手に取った。


 周囲をきょろきょろと見回すと、酒場で飲んでいた冒険者たちの何人かが、椅子から上げた腰をまた下ろしている姿が見えた。


 あっぶねー。

 躊躇していたら、絶対取られてたなこれ。


「……取っちゃいました」


「取っちゃったね」


「異世界でいきなりの初仕事っすよ」


 取ってしまったものは仕方がない。

 俺はクエスト依頼書を持って、クエスト受付窓口へと向かった。


 そして、クエストを受注する。

 このクエストを依頼したウォルズ村は、街を出て数時間ほど歩いた場所にあるらしい。


 しかもクエスト依頼を持ってきたウォルズ村の村人がまだギルド内にいて、村まで案内してくれるという。


 俺たちは最低限の準備を整えた後、半ば成り行き任せで街を出て、案内をしてくれる村人とともにウォルズ村へと向かった。


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― 新着の感想 ―
ゴブリン退治高っっ!!
[一言] 話をさっさと現代に戻してほしい
[一言] この先も面白くなりそうだけど、事細かにやるならローファンタジーじゃ無くなったような気もするな
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