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第9話 初めてのパーティ行動(2)

 小太刀さんに先導されて、第二層へと下る階段を目指す。


 階段までは一時間もかからないそうだ。

 第一層全部を歩き回ったら、丸一日はかかりそうなだだっ広いダンジョンだが、階段は意外と近場にあるらしい。


 だが階段までたどり着く前に、モンスターとの遭遇が起こった。

 というか、小太刀さんがいち早く敵の気配に気付いた。


「……六槍さん、前方からモンスターの気配です。二体」


「コボルド?」


「【気配察知】でモンスターの種類までは分からないですけど、第一層なのでそのはずです。不意は打てないですね。来ます」


 その声と同時に、緩やかにカーブしている洞窟の先から、二体のコボルドが姿を現した。

 二体とも短剣を振り上げ、こっちに向かって駆け寄ってくる。


 小太刀さんは左右の手に短剣を一本ずつ持ち、身を低くして迎え撃つ構えだ。


 洞窟の通路は、二人が並んで戦えるぐらいの広さがある。

 俺も、槍と盾を構えて、コボルドたちが間合いまで来るのを待った。


 俺がここだ、と思うタイミングよりもわずかに早く、小太刀さんが動いた。


 地面を蹴った小太刀さんは、とてつもない速さで一体のコボルドに接近。


「──はあっ!」


 左右の短剣が閃く。

 瞬くほどの間に二度斬られたコボルドは、黒い靄となって消滅していった。


 強い。

 たったの一手で、一体のコボルドをあっという間に倒してしまった。


 もちろん俺も、指をくわえて見てはいない。

 小太刀さんよりわずかに遅れて、別のコボルドに向かって踏み込み、槍を突き出す。


 その攻撃はコボルドの胸部に命中したが、小太刀さんと違って一撃必殺とはいかない。

 倒し損ねたそいつは、俺に向かって飛び掛かってきた。


 コボルドが突き出してきた短剣を、さっき購入したばかりの盾で弾く。

 バランスを崩した犬面のモンスターに、槍による攻撃をもう一撃。


 そのコボルドも、それで消滅。

 あとには魔石だけが残った。


 小太刀さんは自分が倒した分の魔石を拾って、もう一つを俺が拾う。

 それから小太刀さんは、俺に向かって微笑みかけてきた。


「六槍さん、レベルのわりに安定感ありますね。私が3レベルの時、そんなにうまくやれた自信ないですよ」


「小太刀さんこそ、めちゃくちゃ強いじゃないですか。短剣二本を同時に使うとか、すごく器用だし。今のは真似できる気がしない」


「えへへーっ。でもこれ種明かしをすると、【二刀流】っていうスキルの効果なんです。スキルを修得したら、体が動き方を教えてくれる感じになって」


 そんなスキルもあるのか。

 あと、はにかんだ小太刀さんがすごくかわいい。


「魔石の取り分は、五分五分でいいですよね。どっちが拾っても、後で合計を二等分する形で」


 その小太刀さんの提案に、俺はうなずく。

 どっちが倒したとかで揉めたくはない。


 パーティってそのあたりは面倒だな。

 ソロのほうが変に揉め事がないから気が楽だ。


 そうして一度だけ戦闘があったものの、ほかには第一層では特に問題なく。

 やがて、小太刀さんが言ったとおり一時間と歩かないうちに、第二層へと下る階段の前に到着した。


 階段の形状は、洞窟の行き止まり前の地面にぽっかりと長方形の大きな穴が開いていて、そこから斜め下に向かって掘られた洞窟に、石造りの階段が作られている感じ。


 今さらだが、このダンジョンはいったい誰が作ったんだと疑問を抱いてしまう。

 ダンジョンという存在自体が不思議と超常現象の塊なのだから、本当に今さらだが。


 その階段を、勝手知ったる小太刀さんが先に降りて、俺はそのあとをついていく。


 さて、いよいよ第二層だ。


 ダンジョンの特性として、層を下るほどモンスターは強くなっていくという。

 心強い先輩探索者(シーカー)はいるが、気を引き締めて行こう。


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