第79話 ゲート前
第八層に初めて挑んだ日の、四日後。
俺たちは第八層の終着点へと到達していた。
「ここがボス部屋に続くゲートか」
俺はつぶやいて、目の前にそびえ立つ巨大な門を見上げる。
石造りの大扉は、蔓延るコケや植物の蔦で、その面積の半分が緑色に染まっていた。
この大扉の向こうに、第八層のボスが待ち受けている。
門の脇には台座が一つあり、青色のオーブが備え付けられている。
そのオーブに手をかざすと、大扉が開くわけだが──
「ねぇ先輩。イタズラでオーブに手ぇかざしてみていいっすか?」
「そういう恥ずかしい真似はやめなさい。お前ももういい大人だろうに」
「まだ十八歳のピチピチギャルっすよ?」
「言葉選びが現代の十八歳のそれじゃねぇんだわ」
「大地くーん、二十歳のお姉さんはどうしたらいい?」
「別に何も。普通にしていてください」
「ぶーっ、大地くん冷たーい!」
「そうっすよ先輩。冷たいっす」
「「ぶーぶー!」」
「はいはいキミたち、精神年齢を大人に戻して」
そんな二人の子供はさておいて。
この五日間、第八層を探索してきた俺たちは、こうしてボス部屋の前までたどり着いていた。
あとはこの先のボスを倒せば、森林層はクリアとなる。
次の「遺跡層」へと進む切符を手に入れるためには、通らなければならない道だ。
「ダンジョンの妖精」絡みの第九層も、この先の遺跡層にある。
なお、この五日間で俺たちは、全員が21レベルに到達していた。
六槍大地
レベル:21(+1)
経験値:37081/40935
HP :120/120(+5)
MP :88/126(+26)
筋力 :21(+1)
耐久力:24(+1)
敏捷力:18
魔力 :21(+1)
●スキル
【アースヒール】
【マッピング】
【HPアップ(耐久力×5)】
【MPアップ(魔力×6)】(Rank up!)
【槍攻撃力アップ(+18)】(Rank up!)
【ロックバレット】
【プロテクション】
【ガイアヒール】
【宝箱ドロップ率2倍】
【三連衝】
【アイテム修繕】
残りスキルポイント:0
小太刀風音
レベル:21(+1)
経験値:38620/40935
HP :90/90(+5)
MP :59/90
筋力 :18(+1)
耐久力:18(+1)
敏捷力:30(+1)
魔力 :18
スキル
【短剣攻撃力アップ(+12)】
【マッピング】
【二刀流】
【気配察知】
【トラップ探知】
【トラップ解除】
【ウィンドスラッシュ】
【アイテムボックス】
【HPアップ(耐久力×5)】
【宝箱ドロップ率2倍】
【クイックネス】
【ウィンドストーム】
【MPアップ(魔力×5)】
【二刀流強化】(new!)
残りスキルポイント:0
弓月火垂
レベル:21(+2)
経験値:34142/40935
HP :90/90(+22)
MP :150/195(+10)
筋力 :15(+1)
耐久力:18(+1)
敏捷力:21(+1)
魔力 :39(+2)
●スキル
【ファイアボルト】
【MPアップ(魔力×5)】
【HPアップ(耐久力×5)】(Rank up!)
【魔力アップ(+8)】
【バーンブレイズ】
【モンスター鑑定】
【ファイアウェポン】
【宝箱ドロップ率2倍】
【アイテムボックス】
【フレイムランス】
【アイテム鑑定】
【エクスプロージョン】(new!)
残りスキルポイント:0
ここでボスに挑むか。
あるいはもっとレベルを上げてから挑むか。
はたまた、この第八層を終着点と決めて、ボスに挑むのをやめるか。
三人パーティにとっては、この第八層ボスは、一つの試金石になるという。
三人とも25レベルになって、装備も整えて、それでも勝てないパーティは勝てないらしい。
ボスに挑むと、入り口の扉は封じられて脱出できなくなるが、「帰還の宝珠」は有効とのこと。
挑んでみて勝てそうになければ、その手で逃げ帰るのも一つの手だ。
ただそれも、確実なものじゃない。
「帰還の宝珠」を使っている余裕がないぐらいの危機的状況に追い込まれれば、そのまま全滅も十分にあり得る。
森林層のボスデータを見た感じでは、俺たちなら現状戦力でも、多分勝てるだろうと思った。
まだ21レベルだが、「黒装束」や【三連衝】など普通のパーティが持ち合わせていない有利があるし、弓月の火属性魔法はボスモンスターとも相性もいい。
今の状態で挑んでも、MPの残量は問題ないだろう。
これだけ残っていれば、ボス戦中にMP切れすることはまずありえない。
その上で、どうするか。
俺の「多分勝てる」は、あくまでも「多分勝てる」だ。
「風音さん、弓月。精神年齢を大人に戻した上で聞きたいんだけど、このままボスを倒しに行くべきだと思う?」
「んー、何とも言えないっすねぇ。多分勝てるとは思うっすけど」
「取り巻きがたしか、サーベルタイガー二体とマッドフラワー二体だったよね。ボスモンスターのHPは400ぐらいだっけ? マッドフラワーのパワーアップ版みたいなボスって話だけど」
「デモンズフラワーのHPは450ですね。取り巻きさえ瞬殺できれば、まず負けはないと思うんですが」
「くっくっく。ならうちの新魔法、【エクスプロージョン】の出番っすね! デススパイダーの群れすら一発で殲滅する威力を見せてやるっすよ」
「それに私の【ウィンドストーム】も重ねれば、サーベルタイガー二体は多分落とせる、はず」
三人であれやこれやと検討していく。
だいたい三人とも見解は一致していて、「多分勝てる、はず」ぐらいのニュアンスだった。
でもその中で、風音さんがぽつりとつぶやく。
「でもここまで来たら、急ぐ必要もないって思うのもあるかな。25レベルまで上げてからでもいいような」
「「あー」」
俺と弓月が共感の声を上げた。
そうなんだよな。
別にこれといって急ぎの理由もないんだし、天井までレベルを上げてから挑んでもいいんじゃないのか。
しかも21レベルで修得可能スキルリストが更新されて、魅力的なスキルがいくつも出現している事情もある。
例えば、俺が21レベルになったときの修得可能スキルリストは、こんな感じだった。
▼修得可能スキル(どれもスキルポイント1で獲得可能)
●武器
・槍攻撃力アップ(+18)(new!)
・二段突き(new!)
●魔法
・グランドヒール(new!)
・ロックバズーカ(new!)
●一般
・筋力アップ(+1)
・耐久力アップ(+1)
・敏捷力アップ(+1)
・魔力アップ(+1)
・HPアップ(耐久力×6)(new!)
・MPアップ(魔力×6)(new!)
・隠密
・気配察知
・アイテムボックス
・宝箱ドロップ率3倍(new!)
・命中強化(new!)
・回避強化(new!)
もうね、アホかとバカかと。
こんなにあれこれ新規で来て、25レベルまでで取り切れるわけがないだろうと。
20レベルになったときにスキルポイントを貯めておいたのは結果的に大正解だった。
俺は21レベルになったとき、即座に【MPアップ(魔力×6)】を取得し、さらにもう1ポイントを使って【槍攻撃力アップ(+18)】を取得した。
現在のスキルリストには、【槍攻撃力アップ(+20)】が出現している。
これまでのパターンを考えると、この(+20)が【槍攻撃力アップ】の上限になると思われる。
話が逸れた。
とにかく言えるのは、21レベルから25レベルまでの成長は、全員かなりの戦力アップに繋がるだろうということだ。
「問題は、25レベルまで上げるのに、どのぐらいかかるかだな」
「んー、今週一週間で全員1~2レベルのレベルアップだから、あと4レベル上げるには二週間じゃ足りないはず。一ヶ月とか、そのぐらいじゃないかなぁ」
「一ヶ月っすか~。ちょっと焦れったい気もするっすけど、そのぐらいならアリっすかね。何年もかかるって言われたら、さすがに嫌っすけど」
「確かなことは経験値テーブルを確認しないと言えないが。じゃあ安牌とって、この階で25レベルまで上げるか」
「「賛成~!」」
というわけで、俺たちはこの第八層で25レベルまで上げてから、森林層のボスに挑むことにした。
チキンすぎる気もしないでもないが、一応はデスゲームだしな。
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