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朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


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第77話 第八層(5)

 弓月が使える最強の単体攻撃魔法【フレイムランス】が、マッドフラワーに突き刺さる。


 炎がモンスターの全身に回ると──


 バッと、黒い靄となって、その全身が消滅した。

 地面には魔石が落下する。


「うっし! 一撃で仕留めたっすよ!」


 弓月の快哉の声。

 狙い通り、うまく行ったな。


 魔法発動待機していた俺と風音さんは、別の個体に向けて【ロックバレット】と【ウィンドスラッシュ】を放つ。

 弓月の【フレイムランス】だけで落とせなかったら、同じ個体に追加でぶち込む予定だったが、その必要はなかったようだ。


 マッドフラワーは、かなりの高HPを持つ大型モンスターだ。

 弓月の【フレイムランス】といえど、普通は一撃で倒せるようなぬるい相手じゃない。


 だがマッドフラワーは、火属性の攻撃に弱いという弱点を持つ。


 この特性により、火属性攻撃のダメージは劇的に増加。

 弓月の【フレイムランス】一発だけで、マッドフラワーを撃破することに成功していた。


 でも問題はここから先だ。


 残り二体のマッドフラワーは、俺たちの前方、一定の距離まで近付くとそこで足を止める。


 そして間髪入れず、各二本ずつの蔦を同時に伸ばして、俺と風音さんに向けて攻撃してきた。


 これがこのモンスターの厄介なところだ。

 近接攻撃のリーチが長い。


 しかも二回攻撃ときた。

 その代わりに純粋な攻撃力は、さほどでもないのだが。


「ぐっ……! この程度!」


「よっ、とっ」


 俺は襲い掛かってきた二本の蔦のうち、片方を盾で防いだが、もう片方を防御しきれず胴を打たれてしまった。

 少し痛いが我慢して、俺は無傷のマッドフラワーに向かって駆けていく。


 一方の風音さんは、見事な身のこなしで蔦攻撃を二発とも回避。

 そのまま華麗な動きで、魔法ダメージを負っているほうのマッドフラワーに向かって疾駆した。


「MPは残ってる──くらえ、【三連衝】!」


「はぁああああっ!」


 俺の三連続攻撃と、小太刀さんの二連続攻撃が、それぞれの相手を打ち据える。


 俺の前のやつは、【三連衝】の直撃を受けて消滅した。


 一方、風音さんが攻撃したほうはそれで撃破とはならなかったが、追っかけで放たれた弓月の【ファイアボルト】でトドメを刺された。


 戦闘終了だ。


 マッドフラワー三体編成は、この階の一般モンスターの中でも最強格の相手。

 それをこれだけの損害で切り抜けられたのは、僥倖と言っていいだろう。


「「「イェーイ!」」」


 パンパンパンとハイタッチしてから、弓月が飛びついてきたので抱きとめる。

 そこに背後から風音さんも抱き着いてきて、俺はサンドイッチにされた。


「先輩、うちすごいっすよね! 見たっすかうちの【フレイムランス】の威力!」


「お、おう。さすがだな」


「大地くんの【三連衝】もすごかったよ。でも二人とも攻撃力上がってていいなぁ。私だけしょんぼりだ」


「いや、俺は風音さんみたいに蔦攻撃を華麗によけれたりしてないですからね。あとこの体勢いつまで続けるんです?」


「先輩先輩! うちのことすごいと思ったら、ほっぺにチューしてほしいっすよ」


「お前もどさくさに紛れて何言ってんだ」


「いいよ、大地くん。火垂ちゃんにチューしてあげて」


「は……?」


「ほっぺでしょ? 問題ないない」


「は、はあ……いや、そもそもいろいろおかしいと思うんですけど」


「何すか! 風音さんとはお口とお口でねっとりたっぷりチューしといて、うちにはほっぺにもできないって言うんすか!」


「何でお前がそれ知ってんだぁああああっ! 覗き見してたのかお前はぁああああっ!」


「や、カマかけただけっすよ」


「なん……だと……!?」


「そ、そんなことより大地くん。早くチューしてあげないと」


「そうっすよ先輩。早くチューするっす」


 あ、あれ……?

 弓月と風音さんからサンドイッチ状態で、女子の甘い匂いとやわらかさにくらくらしたままあれこれ言われて、混乱してきたぞ。


 俺は弓月にチューするべきなのか……?

 よく分からないが、風音さんが言っているんだから、そうなのかもしれない。


「「チュー! チュー! ほっぺにチュー!」」


「わ、分かった。弓月のほっぺにチューすればいいんだな」


 このときの俺に、自我のようなものはほとんどなかった気がする。

 風音さんと弓月に言われるままに、弓月の頬に口づけをした。


「にゃはっ、先輩にチューされたっすよ♪ 風音さん、援護感謝っす」


「やったね、火垂ちゃん。この調子でガンガン攻めるよ」


 俺から離れた弓月と風音さんは、意気投合して再びハイタッチをするなどしていた。


 いったい何がどうなってるんだ……?

 冷静になってから考えても、何が何だかよく分からなかったので、俺はこの件に関して考えるのをやめた。




 その後、俺たちは特に問題もなく第八層から帰還し、ダンジョンを出た。


 パーティの一日の稼ぎは、手取りで31万円ほど。

 手に入れた「ハイHPポーション」は売らずに持っておくことにしたが、それでその金額だ。

 収入額も、いよいよかなりの金額になってきたな。


 ちなみに三人パーティや四人パーティだと、25レベルのベテラン探索者シーカーで、第八層か、第九層、第十層あたりの階層が最深階層の相場らしい。


 つまりこのあたりの金額が、ベテラン探索者シーカーパーティのざっくりとした収入相場になるわけだ。


 俺ももう20レベルだしな。

 天井とベテランの領域が、すぐそこまで近付いてきていた。


 25レベル、一般探索者(シーカー)の天井か……。


 そういえば、天井を超える可能性である「限界突破」に関しては、分からないことだらけだ。

 ネット上でも、あまり詳しい説明は見た記憶がない。


 試しに武具店のオヤジさんに聞いてみるか。


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