第76話 第八層(4)
第八層の探索は、その後も特に大きな問題なく進んだ。
モンスターとの遭遇は、既出のものばかりだ。
ジャイアントバイパー七体、サーベルタイガー三体、デススパイダー五体、サーベルタイガー五体と戦闘を行い、これを切り抜けた。
なおサーベルタイガー五体との戦闘で、俺がレベルアップして、20レベルに到達した。
六槍大地
レベル:20(+1)
経験値:27821/33985
HP :115/115(+5)
MP :64/100
筋力 :20(+1)
耐久力:23(+1)
敏捷力:18(+1)
魔力 :20
●スキル
【アースヒール】
【マッピング】
【HPアップ(耐久力×5)】
【MPアップ(魔力×5)】
【槍攻撃力アップ(+16)】
【ロックバレット】
【プロテクション】
【ガイアヒール】
【宝箱ドロップ率2倍】
【三連衝】
【アイテム修繕】
残りスキルポイント:1
スキルの割り振りは、かなり迷った。
差し迫って取得したいスキルは取り切ったが、スキルポイントが余っていたら取得したい次点レベルのスキルはいくつもある。
利便性を求めて【アイテムボックス】を取得してもいいし、MPと魔法効果の向上を考えて【魔力アップ(+1)】を取得してもよい。
弱点補強のために【敏捷力アップ(+1)】を取得する手もあるし、【三連衝】のさらなる威力アップを狙って【筋力アップ(+1)】を取得するのも一手だろう。
だが迷った末に、ここはスキルポイントを使わずに、残しておくことにした。
21レベルで、修得可能スキルリストにまた新たなスキルが解放される見込みだからだ。
俺たちは、さらなる探索を進めていく。
といっても、今はもう帰路についている段階だった。
第八層のマップ開拓を二割ほど進めたあたりで、時刻は十五時頃。
帰りに二時間以上かかることを考慮すれば、そろそろ帰還する時間なのだ。
ちなみに今日は、サーベルタイガーは何度も出てきたが、もう一種類の第八層初出モンスターには遭遇していない。
このまま一度も遭遇しないのか。
何かデータ類の見落としがあって、本当はレアモンスターか何かなのか。
そんな疑いを持ちながら、帰りの道を歩いていたとき──
俺たちはついに、そいつと遭遇した。
「うっひょ、出たっすよ、マッドフラワー! でかいっすねぇ!」
弓月がそんな声を上げながら、杖を構えて魔力の燐光を身にまとわせていく。
俺と風音さんもまた、モンスターを迎え撃つ姿勢をとった。
それは何とも歪な姿をした、巨大植物型のモンスターだった。
高さは四メートルから五メートルほどもあって、最高部付近に色とりどりの巨大な花をいくつも咲かせている。
花の形状は、ハイビスカスをそのまま大きくしたような感じ。
赤、白、黄など、異なる色の花が同じ個体に複数咲いている。
もっと奇妙なのは、茎にあたる部分だ。
人の腕ほどの太さの茎が、何十本も複雑に絡み合って、太い木の幹のような形を作り上げている。
根っこらしきものは地面に埋まっておらず、足のようにうねうねと動いて地表を移動可能。
さらには腕のように伸びた何本もの蔦が、本体の周囲でゆらゆらと揺れていた。
あれを鞭のようにしならせて攻撃してくるらしい。
モンスターの名称はマッドフラワー。
それが三体だ。
三体のマッドフラワーは、根っこを器用に使って、俺たちのほうに向かってきた。
かなりの速度だ。
「蔦のリーチが長いから、接近戦は向こうに先手を取られる。弓月も蔦の間合いに気を付けろよ」
「分かってるっすよ。鞭で打たれて気持ちよくなる趣味はないっす」
「麻痺効果のある花粉も撒いてくるんだっけ? ちょっとクセの強いモンスターだよね」
いろいろな意味で、今までに遭遇したモンスターとは勝手が違いそうな相手だ。
HPもミュータントエイプに肉薄するほど高く、本来ならあまり簡単に倒せる相手でもない。
だがこいつには一つ、弱点がある。
純粋な強さはともかく、相性で言えば、うちのパーティはこのモンスターと相性がいいのだ。
「弓月、やってやれ!」
「任せろっす! 煉獄の槍よ、かの敵を焼き尽くせ──【フレイムランス】!」
弓月が掲げた杖の先から、槍を象った灼熱の塊が発射される。
植物型モンスターの弱点属性である炎属性の攻撃が、一体のマッドフラワーの花の一つへと直撃し、その全身を炎で包み込んだ。
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