表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/463

第75話 第八層(3)

 第八層の新出モンスターが出ないなーと言っていたら、四戦目で遭遇した。


 森の木々の合間から、のそりと這い出してくる「虎」に似た獣の姿。

 その口からは、二本の長く鋭い牙が飛び出していた。


 それが、四体。

 俺たちの姿を発見するなり、こちらに向かって駆け寄ってくる。


「ようやくのお出ましっすね」


「あれがサーベルタイガー……動物愛護の人たちに怒られないかな?」


「モンスターは動物じゃないという定義ですし、ミュータントエイプとかさんざん倒しているのでいまさらかと」


「だよねー」


「来るっすよ! 風音さん、魔法一緒に頼むっす!」


「任せて! せーの──」


「【バーンブレイズ】!」

「【ウィンドストーム】!」


 相手がどんなモンスターであろうと、こっちの戦い方はそんなに変わらない。

 いくつかの選択肢の中から、最善を選ぶだけだ。


 敵の数が多ければ、初手は範囲攻撃魔法でなぎ払うのがセオリー。


 森の中の道をまっすぐに駆けてきた四体のサーベルタイガーは、その途上で炎と風刃の嵐に巻き込まれた。


 今やキラーワスプやジャイアントバイパーなら、弓月の【バーンブレイズ】一発で消し飛ぶ。


 デススパイダーでも、風音さんの【ウィンドストーム】が重なればひとたまりもない。


 だが四体の獣は、一体も欠けることなく、炎の嵐の中から飛び出してきた。

 さすがのタフネスだ。


「そうだろうと思ったけどな──【ロックバレット】!」


 俺は飛び出してきた四体のうち、一体に向けて魔法の岩石弾を放つ。


 岩石弾の直撃を受けたサーベルタイガーは、さすがに消滅して魔石になった。


 残る三体のサーベルタイガーは、俺たちと接触するより少し前の地点でジャンプし、俺と風音さんに向かって飛び掛かってきた。


 俺に二体、風音さんに一体。


「くっ!」

「はあっ!」


 俺の槍が一体のサーベルタイガーを貫き、風音さんの短剣が別の一体を切り裂く。

 その二体は黒い靄となって消滅し、魔石へと変わった。


 だが残る一体は、防御をかいくぐり、俺の左肩に鋭い牙で噛みついてきた。


「ぐぅっ……!」


「先輩っ! このっ──【ファイアボルト】!」


 そこに弓月の魔法攻撃による援護が入り、最後のサーベルタイガーも撃破された。


 戦闘終了だ。

 宝箱が一個、出現していた。


 俺は大きく息を吐き、HPの残量を確認してから【アースヒール】で傷を癒していく。


 治癒前の現在HPは、「85/110」まで減少していた。

 今の俺の魔力なら、このぐらいのダメージは【アースヒール】一発でだいたい全快できる。


「大地くん、大丈夫……?」


「ええ。ジャイアントバイパーやデススパイダーの攻撃と比べると痛いですけど、ミュータントエイプほどではないです。毒もないですし」


「ほっ……良かったっす。でも意外とあっさり勝てたっすね。いつも初めてのモンスターには、ワーッとかギャーッとか叫んでた気がするっすけど」


「叫んでいたとしたら弓月だと思うが。それに六層でジャイアントバイパーと初めて戦ったときも、こんな感じじゃなかったか?」


「んーっ、そう言われてみると、そうだったかもしれないっす」


 サーベルタイガーは、ステータスでいえばデススパイダーより上だが、ミュータントエイプよりはだいぶ下のモンスターだ。


 バッドステータスを与えてくることもなく、実際に戦ってみた印象でもこれといったインパクトがなかった。

 普通にちょっと強い、というぐらいのものだ。


 風音さんが、宝箱の処理にかかる。


「トラップは……【毒針】か。──ねぇ火垂ちゃん、まだ【トラップ解除】してないんだけど、試しにこれ開けてみる?」


「ぶるぶるぶるぶるっ! お、お断りするっす! ていうか風音さん、それまだ根に持ってたっすか!?」


「ふふっ、残念。じゃあ【トラップ解除】っと。中身は~……あれ? ねぇ大地くん。これ『HPポーション』じゃないよね?」


「あー……そうですね。ちょっと色が違う。それひょっとして『ハイHPポーション』じゃないですか? 武具店で見たの、そんな色だった気がしますけど」


「おーっ、『ハイHPポーション』だとしたら、結構なお宝だね。火垂ちゃん、一応確認お願い」


「ほいほいっすよ。それじゃ──【アイテム鑑定】!」


 結局のところ、弓月は【アイテム鑑定】を取得していた。


「黒装束」の【耐久値】を細かく把握しておきたい、というのが取得動機の大きな一つだ。


 これまで武具の【耐久値】に関しては、武具店のオヤジさんに頼むと、サービスで【アイテム鑑定】をして教えてくれていた。


 それは武具店で商品を買ったことに対するアフターサービスであり、次の商品を俺たちに買わせるためのオヤジさんなりのWin-Win戦略でもあった。


 ところが「黒装束」に関しては、そのどちらにも該当しない。

 ゆえにオヤジさんは、「黒装束」の【耐久値】の鑑定には、その都度の鑑定料として1000円を要求した。


 まったくもって妥当な采配だろう。

 タダで【アイテム鑑定】をしてくれることに感謝をすることはあっても、それをしてくれないことに恨み言を言うのは完全に筋違いだ。


 というわけで、ほかにもいろいろ便利なこともあって、弓月は【アイテム鑑定】を取得したのだ。


「ん、やっぱり『ハイHPポーション』っすね。『飲むとHPを50ポイント程度回復する』だそうっす」


 弓月は鑑定結果を、そう伝えてくる。


 通常の「HPポーション」は、HPを10ポイント程度回復する効果があるアイテムだ。

 武具店での販売価格は3000円。


 対して「ハイHPポーション」には、HPを50ポイント程度一気に回復する効果がある。

 武具店での販売価格は、たしか3万円だったはずだ。


 うちのパーティは回復魔法があるからさほど重要なアイテムではないが、HP回復がポーション頼みのパーティでは、【アイテムボックス】の容量問題などもあり重要なアイテムになってくるのだろう。


 手に入れた「ハイHPポーション」は風音さんの【アイテムボックス】に収納。


 その後、【アイテムボックス】から三人分のお弁当と飲み物を取り出して昼食休憩をとってから、俺たちはダンジョン探索を再開した。


作品を気に入ってもらえましたら広告下の「☆☆☆☆☆」で応援してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ