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第71話 奇妙な夢

 俺の視界に広がっていたのは、現実世界ではあまり見覚えのない風景だった。


 いわゆるファンタジー世界の風景、というのが一番しっくりくるだろうか。


 よく晴れた空の下、俺たちは丘の上にいる。

 あたりは一面の草原で、一本の道が青草の海原を貫いて、丘の下のずっと先まで続いていた。


「俺たち」とは、俺、風音さん、弓月の三人。

 三人ともダンジョン用の装備で身を固めている。


 ではダンジョンの中なのか、というと、そうではない気がした。


 道の先を目で追うと、しばらく進んだところに街のようなものが見える。

 さらに遠くを見やれば、山や森などの姿もあった。


 街は、俺たちがよく見知っている都会のビル街ではない。

 石壁にぐるりと囲まれた小規模な集落で、三角屋根の住居が多数あり、中には城のような建物も見える。


 街の周辺には、いくらかの田畑が広がっている。

 牛馬をひいている農夫の姿も見受けられる。


 街へと続く道には、行き交う人々や、馬車などの姿があった。


 道が街の壁とぶつかる場所には、街に出入りするための門があって、検問らしき作業が行われている。


 俺は風音さんや弓月と何かを話し合ってから、丘の上から道を下って、街へと向かっていく。


 俺の意識は俺になくて、状況を俯瞰しているような奇妙な感覚だった。


 やがて俺たち三人は門をくぐり、街の中へと入っていく。


 ファンタジーアニメで見るような中世ヨーロッパ風の街並みを通り、やがて一軒の建物の前へとたどり着いた。

 俺たちは、その建物の中へと入っていく。


 建物の中は集会場のようになっていた。

 俺たちと同じような武具で武装した、粗野な雰囲気の人々がたむろしている。


 そいつらが一斉に、俺たちのほうをぎろりとねめつけ──




 ──と、そこで目が覚めた。




 いつもの天井、いつもの自宅。

 ベッド脇の窓からは、朝日が斜めに差し込んで、ベッドの上に降り注いでいる。


 薄暗くこぢんまりとした部屋に、俺以外の人の姿はいない。


「ふあぁっ……変な夢を見たな……」


 俺は眠い目をこすりながら起き上がり、ベッドの上でうんと伸びをした。



 ***



 二日休んで、次の週の頭。


「えっ、大地くんも見たの、その夢?」


「先輩と風音さんもっすか? うちも見たっすよ」


 いつものようにダンジョン森林層を探索しながら、先日見た夢の話をすると、二人からはそんな声が返ってきた。


「えっ……じゃあ、風音さんと弓月も見たの? あの異世界みたいな夢」


「うん。ひょっとして、未来の正夢とかかな?」


「正夢って、三人で異世界旅行でもするっすか? そんなこと」


「そういう見た目のダンジョンかもな。森林層みたいなダンジョンがあるんだから、あんなのがあっても今更驚きはしないが」


 とはいえネットの情報でも、それに類するものは見た覚えがない。

 俺たちが探索しているこのダンジョン以外のダンジョンのことはろくに調べていないし、ないとも断言できないが。


 でも、そういう感じでもなかった気がするんだよな。

 もっとこう、本当に異世界って感じで……。


 まあ夢のことなんて、とやかく考えていても生産性がない。

 俺たちはもっと、目の前にある生産性のある労働に精を尽くすべきだ。


 そんなわけで俺たちは、第七層をメインの稼ぎ場として、レベル上げとお金稼ぎに勤しんだ。


 すでにモンスターの攻略はできている階層だ。

 特に問題もなく、毎日八時間、週四十時間程度の労働をこなしていった。


 パーティ収入は、一日あたり手取り25万円程度。

 ふと立ち止まってみると、結構な収入金額になっているなと思う。


 この収入だと各自の日当が25000円程度だから、月二十二日働くとして月収55万円、年収にすると660万円だ。


 企業から受け取る給料と単純比較はできないが、独身者ならまあまあ快適な生活ができる収入水準という気はする。


 ずっと貧乏生活に慣れてきた俺としては、持て余すぐらいだろう。

 ちょっとお高い焼肉とか、回らないお寿司とかを食べに行ってもいいのだろうか。


 あるいは、家庭や子供を持つにはいくら貯金が必要なんだろうかと、浮ついた考えなども持ってしまう。


 いや、浮ついてないのか。

 むしろ考えないほうが浮ついてるのか。


 何しろ俺は、すでに風音さんと関係を持ってしまっているのだ。

 しっかり責任を取らないとな。ふへへっ。


「……先輩、ニヤニヤしてて気持ち悪いっすよ。何考えてるんすか?」


「な、何でもいいだろ! お前には関係ない! ──ていうか風音さん! こいつのこういう『気持ち悪い』はいいんですか!? 俺だって傷つきますよ!?」


「大地くん、そういうの器が小っちゃく見えるよ? 男子ならもっとどーんと構えてないと」


「そうっすよ先輩。器が小っちぇえっすよ」


「ひどい! 男女差別だ! 断固抗議する!」


 ここのところ女子連盟が結成されていて、俺はどうも不利な戦いを強いられている。

 ていうか風音さんも、かなりずけずけ言ってくるようになったよね……。


 そんなこんなをしながら、今週五日間のダンジョン労働がつつがなく終了した。


 この間に俺たちは、各自2レベルから3レベルのレベルアップを果たしていた。



六槍大地

レベル:19(+3)

経験値:26421/27807

HP :110/110(+30)

MP :100/100(+10)

筋力 :19(+2)

耐久力:22(+2)

敏捷力:17(+2)

魔力 :20(+2)

●スキル

【アースヒール】

【マッピング】

【HPアップ(耐久力×5)】(Rank up!)

【MPアップ(魔力×5)】

【槍攻撃力アップ(+16)】(Rank up!)

【ロックバレット】

【プロテクション】

【ガイアヒール】

【宝箱ドロップ率2倍】

【三連衝】(new!)

【アイテム修繕】(new!)

残りスキルポイント:0



小太刀風音

レベル:20(+2)

経験値:27920/33985

HP :85/85(+25)

MP :90/90(+10)

筋力 :17(+1)

耐久力:17(+1)

敏捷力:29(+2)

魔力 :18(+2)

スキル

【短剣攻撃力アップ(+12)】(Rank up!)

【マッピング】

【二刀流】

【気配察知】

【トラップ探知】

【トラップ解除】

【ウィンドスラッシュ】

【アイテムボックス】

【HPアップ(耐久力×5)】(Rank up!)

【宝箱ドロップ率2倍】

【クイックネス】

【ウィンドストーム】

【MPアップ(魔力×5)】

残りスキルポイント:0



弓月火垂

レベル:19(+3)

経験値:22472/27807

HP :68/68(+8)

MP :185/185(+25)

筋力 :14(+1)

耐久力:17(+2)

敏捷力:20(+2)

魔力 :37(+5)

●スキル

【ファイアボルト】

【MPアップ(魔力×5)】

【HPアップ(耐久力×4)】

【魔力アップ(+8)】(Rank up!×2)

【バーンブレイズ】

【モンスター鑑定】

【ファイアウェポン】

【宝箱ドロップ率2倍】

【アイテムボックス】

【フレイムランス】

【アイテム鑑定】(new!)

残りスキルポイント:0



 第七層探索にもだいぶ余裕が出てきた。

 来週には第八層に向かう予定だ。


 その前に、今週購入した装備品のチェックをしておこう。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「関係ない」は非常に重い言葉だと思いますが、気軽に使われていますね。 理解して使っているなら良いのですが、見るたびに不愉快になります。 関係ない、とはその対象者との関係を区切ることだと…
[一言] 金額やら分配やらは作中にちゃんとあるけど、まあわかりにくいな
[一言] パーティ収入は、一日あたり手取り25万円程度。 この収入だと各自の日当が25000円程度 どういう計算なんだろ?
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